「VRはIT業界を変える大波だ」ITの巨人GoogleのVR戦略とは

筆者: 編集部

我々の日常に深く根ざしたサービスを提供している企業Google。世界最先端のテクノロジーを生み出し続ける彼らがVR事業に取り組み、そして作り出そうとしているものは一体なんなのか。今回はGoogleという会社の説明から、VRに携わる背景やサービスについてまとめました。

Googleについて

まずはGoogleという誰もが知っている大企業の基本的な情報や、VRに関する情報を説明します。

Googleとは

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(画像引用元:Google
 
検索エンジンである「Google」はもちろん、YouTubeやGmail、GoogleマップといったGoogleの提供するサービスは誰しも触れたことがあるのではないでしょうか。1998年にラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリンの2人によってGoogleが設立されてから今まで、約20年の間に日常に即したサービスが数多く開発・提供されています。
 
2014年には「Google Cardboard」という、スマートフォンを活用してVRを見るビューアをいち早く発売しました。安価でVRを体験できる機器の登場にIT業界はにわかにざわめき、VRに対する注目度が高まりました。その後も2015年にYouTubeの360度動画への対応やVRモードへの対応、2016年にはハイクオリティなVR体験の提供を目的としたVRのプラットフォーム「Daydream」の開始など、VRという分野で新しいサービスを提供しています。

VR事業を始めた経緯

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(IT業界に15年ごとに新たな波がくることを表した図)

 
GoogleがなぜVRに取り組むのかという質問に対し、VR事業に携わるアレックス・リー氏は、コンピューティングの歴史を振り返ると15年おきに業界のメインテーマを塗り替える「ビッグウェーブ(大波)」が来ており、今はスマートフォンを始めとする「モバイル」の波から、VRやARといった「空間認識コンピューティング」の波に乗り換える時期だと語ります。
 
Googleは果たすべき使命として「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」を掲げており、この大きな波が来ているタイミングでその使命をクリアするためにもっとも最適な選択肢としてVRを選択したのです。
 
最適だと判断した理由は2つあり、1つはVR自体の可能性の高さです。Googleは、VRが情報を体験として提供できる新たなプラットフォームとして育っていくことを見越しており、いずれ「Google検索」と同じ価値を提供できるようになると考えています。そしてもう1つの理由としては、スマートフォンの普及台数の高さです。現状スマートフォンは30億台以上が普及しており、それらを活用することでVRがより容易に普及するという考えです。

GoogleとVRの関わり

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(画像参照元:Google VR
 
Googleは2007年から、全天球カメラ付きの車で公道を撮影しWeb上に公開する「Googleストリートビュー」のサービスを開始しました。VRの先駆けとも言えるこのパノラマ写真のバーチャルツアーは今では世界各国の屋外・屋内のさまざまな場所を見ることが可能で、平面の地図を見るよりもリアルにその場の情報を与えてくれます。
 
上記で説明したように、その後2014年には「Google Cardboard」を発表します。さらに2015年にはYouTubeの360度VR動画への対応、そして専用ハードウェア「ODYSSEY」で撮影した映像を360度・3Dに変換するシステム「Jump」の発表、2016年にはスマートフォンVRのプラットフォーム「Daydream」を発表しています。
 
それぞれのサービスの目的から見たとき、Googleの狙いがわかります。下のサービス紹介ではその部分もあわせて紹介しましょう。

Googleが提供しているVRサービス

ここからはGoogleが提供しているVRのサービスについて詳しく説明します。GoogleはVRを使って情報の体験を提供するという狙いを持っており、それぞれのサービスがそのためにあるものだということがうかがい知れます。

Google Cardboard|ローエンドのVRビューア

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(画像引用元:POPULAR SCIENCE

 
Googleが2014年に発売開始し、そして今なお売れ行きを伸ばし続けているのがこの「Google Cardboard」です。非常に手軽かつ簡単にVRを楽しむことのできるVRゴーグルとして知られ、ダンボールで出来た簡易なものから、ナイロン製・プラスチック製のものなどの幾つかの種類があります。値段は安いもので1,000円以下のものもあり、VRに触れたことのない人にも向いています。
 
2017年8月現在、本体は1,000万台以上出荷しており、アプリは1億6,000万回以上ダウンロードされているとGoogleが公式で発表しています。ローエンドで安価のVRビューアを大量に提供することで、VRに触れる機会を作っています。

Daydream|スマホVRのプラットフォーム

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(画像参照元 Google公式HP

 
スマートフォンVRのプラットフォームとしてGoogleが提供しているのは、「Daydream」です。
 
「Daydream」が掲げている目的は「高品質なスマホVRの提供」です。「Daydream」とは特定のハードを指すのではなく、Android上で動く高品質なスマホVRのプラットフォームのこと。Google自らが、「OS/スマートフォン」「ヘッドセットなどのVRビューア」「アプリケーション」のすべてをVRに最適化していこうというものです。「Daydream」を用いて、GoogleはスマホVRの中でもハイクオリティなVR体験の提供を可能としました。

Jump|実写VRへの変換システム

 

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次に紹介するのはGoogleが提供している、撮影した映像を360度・3Dに変換するシステム「Jump」です。16台のカメラを組み合わせた機材「Gopro Odyssey」で撮影する際に使われる撮影システムになっています。このシステムを用いることで16台のカメラを1台のものとして扱うことができ、非常に高画質に撮影することで、より没入感の高いコンテンツを制作することができます。

VR View|WebVRサービス

「VR View」はWebページにVRコンテンツを埋め込むためのサービスです。通常であればパノラマ写真をただ貼り付けても、引き伸ばされた画像になるだけで、せっかく撮影した写真も対応しているSNSなどでしか活用できませんでした。またコードなどを利用して埋めこもうとしても非常に複雑な工程が必要で、簡単には行えませんでした。しかし「VR View」は今までの手順なくして非常に容易にVRコンテンツをWeb上に埋め込むことができます。
 
「VR View」を使うことで誰でも簡単にWeb VRに対応することができ、スマホVRだけでなくWeb上でもVRに触れる機会を生むことができます。

VR180|動画とVRの最適解

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VR180」はVR動画の新たなフォーマットです。YouTubeでの再生に対応しており、360度の視野を前面の180度に限定し、通常の動画では平面として、VRヘッドセットを装着することでVR動画として見ることのできるフォーマットです。
 
このVR180が登場した経緯は、ユーザーはVRコンテンツを見るときに前方の180度部分を主に見ていることがわかり、不要な部分を削ることで高画質の動画提供や、VR動画の制作をより簡単にすることを可能にしました。Googleが提供しているVR動画の最適解として生まれたフォーマットで、情報体験をより高品質で選択することができるようになりました。

VR Ad|VR広告


 
Googleは広告で大きな収益を上げている企業です。VRのコンテンツにも広告を配信するために、コンテンツ内にキューブ型の広告を配信できるフォーマットを考案しています。キューブ状のアイコンに触れることで動画広告が開始するといった形のVR広告です。
 
広告は開発者に対するマネタイズを促進し、収益を生むことができます。GoogleはWebで行っている広告をVRでも同じように運用していけるように開発を進めています。

まとめ

Googleが掲げている理念「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」に対して、同社はWebでできていたことをVRに移行させ、今まではできなかったVRで体験情報を検索できる未来を創造しようとしていることがわかります。Googleは今後も新たなサービスを提供していくことでしょう。そうすることで、いずれVRの時代への移行が完成したときにも世界中の人々が利用する土壌を作っているのかもしれません。

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