【STORY × DVERSE】「VRでスケール感を共有したコミュニケーションを」

筆者: 編集部

DVERSE Inc.は2014年10月に設立された企業です。VR技術を利用した直観的なユーザーインタフェースにより、3DCADを利用したコミュニケーション、合意形成が可能なソフトウェア「SYMMETRY(シンメトリー)」を提供しています。

今回は「SYMMETRY」の内容や現在の反響、またVRに関するお話などを伺ってきました。

ーーまず御社の事業内容についてお聞かせいただけますか?

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DVERSE Inc. 沼倉様(以下沼倉):
DVERSE Inc.は2014年10月にVR専門の会社としてアメリカで立ち上げました。ビジネス向けのVRのソフトウェア開発を事業として行っており、誰もが今使っているSkypeやメールといったツールでは共有できなかったデザインやイメージの、正確な共有ツールという位置づけで開発をしています。デザインやイメージを共有して、正確な打ち合わせをすることを実現するソフトウェアです。

今までは紙のスケッチでデザインしたり、3DのCADでお店のデザインをしたりして打ち合わせをしていましたが、やはりどうしても実際の現場のイメージと乖離してしまう。そこで我々はVR空間の中でデザイナーが作った3DのCADを読み込めるソフトウェアを開発しました。実際の大きさ、広さ、高さという、従来であればわからなかったスケール感をVRの中で正確にお客さんに見せるようにして、その上で打ち合わせができるようにする。お客さんとのイメージとの齟齬を少なくしたり、最終的に出来上がった時にイメージと違うというトラブルをなくすためのツールになっています。

ーーそのツールを開発している人数や、その中のメンバーの役割構成をお伺いできますか?

沼倉:
今は13人ですね。採用の最中なので、年内には30人ほどの規模になると考えています。少なくとも二倍くらいですね。13人のうち開発者が6人です。それ以外がバックオフィスであったり、戦略担当であったり、海外担当だったりと分かれています。基本的には開発チーム、デザイナーチーム、プロモーションチームに分かれています。

ーーVRの業界に入られた背景やきっかけをお聞きできますか?

沼倉:
もともと前職でゲーム・アプリの開発や、企業への提供といったことをしていたので、最新のテクノロジーを使ってそれをどう業務に結びつけるか、また実際にどう現場に下ろしていくかということは得意としていました。VRに関しても最新の技術を実際に使うところにどのように落としていくかという点では全く同じだと思っているので、そういう意味では行っていることはあまり変わっていないのかもしれません。

ーー現時点だと、どういった方がどのような使い方をしているのでしょうか?

沼倉:
最終的にはビジネスに関わるほとんどの方が使えるツールとして作っていますが、VR自体の認知度がまだ低いと感じています。2016年がVR元年と呼ばれて、今は第一世代のハードが出てきているところですが、今はまだ全体の中でも感度の高い方だけが持っているようなイメージですね。

ですので今使われている方は、新しいハードが好きで、さらに先ほど言ったように、顧客との打ち合わせの際にズレを感じている方。建築、土木、デザインといった業種で、顧客と打ち合わせやイメージの確認をしているような方が使っていますね。

使い方としては、オフィスの中でお客さんに見せるといった近場での使い方が多いですが、最終的にはネットを介して、距離を超えて今までよりも正確な打ち合わせができるようにしていくことを目的としています。

ーー造船業の方にも紹介されていると聞きました。

沼倉:
確かにいます。なぜかと言うと、例えば船の中の大きさを写真やビデオで見ながら説明されても、スケール感が伝わりにくいですよね。VRだと実際の大きさを体感することができるので、造船業の方も利用しています。ですので今までのやり方だとわかりにくい、大きさや広さや高さを伝えたい方がクライアントとしてはよく来られます。

ーーなるほど、そういった使い方もあるのですね。そうなるとさらに発展させていくこともできそうですが、今後の展開などをお聞きできますか?

沼倉:
この次に目指しているものはインタラクション性を付与することです。例えばスイッチを押すことで電気が点くとか、ドアを引いて隣の部屋に行くとか。そういった最終のイメージに近いものを見せています。さらに、立体音響を使って、音の聞こえ方をVR空間でシミュレーション出来る計画もあります。。例えばコンサートホールをデザインした時に、座っている位置や顔の向きによって、ホール内の音はどう聞こえるのかというシミュレーションが可能になります。

また、建物等で災害が発生したときに、そこにいる人たちが何分で脱出できるのかといったことをシミュレーションする事も可能です。そういった部分はビジュアルとして非常にわかりやすいので、我々のロードマップの中に入っていますね。いかにビジュアライズして、わかりやすく見せるかというところに重きを置いたものになっています。

そういった部分はビジュアルとして非常にわかりやすいので、我々のロードマップの中に入っていますね。いかにビジュアライズして、わかりやすく見せるかというところに重きを置いたものになっています。

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ーー今後御社から見たときに、VRの世界はどのように発展していくと思いますか?

沼倉:
今はまだ第一世代のハードウェアが出たところで、これから第二世代、第三世代が登場します。いずれ300ドル以下で性能の高いVRヘッドセットも出てくるでしょう。さらに2020年からはモバイルも新しい第五世代の通信規格が出てきて、今よりも通信の速度が100倍早くなり、同時接続人数が飛躍的に伸びます。VRが本格的に普及するのは、2020年以降、ビジネスの現場ではまずは感度の高いイノベーターたちが使い始め、一般の方たちはモバイルでのVRが本格的に普及してからかなというイメージを持っています。

ーーサービスの料金体系はどのようになっていますか?

沼倉:
今は基本無料です。VRの中でイメージを確認してコミュニケーションする部分に関して、私たちが世界標準になろうと考えていて、まずはビジネスでVRが使えるということを知ってもらう、という思いを持って無料で提供しています。もちろん今後さらに、3DCADデータをVR空間内で加工、編集出来るようなエディターは料金を設定しますが、見る部分に関しては引き続き無料です。

ーーどちらかというと案件単価がいくらという形よりも、利用するユーザーが増えていくほどマネタイズできていくということでしょうか?

沼倉:
一般的な事業会社やVRの会社は受託で仕事を受けるところがすごく多いのですが、弊社はもう受託を一切行っていません。どちらかというと最初からグローバルの標準化を取りに行けるプラットフォーム、VRのビジネス向けとして行っているというのがうちの会社ですね。

ーー目指しているところからも、世の中に今まであるプラットフォームとは違うのですね。

沼倉:
不動産のVRはいろいろとありますが、私たちが目指しているものはVRの中でイメージを確認してコミュニケーションするというもので、別に不動産ではありません。ビジネスの現場では、常にイメージを確認し、コミュニケーションをするという流れがあり、それはずっと変わらない。変わっていくのはどういう風にやるのかという部分で、私たちは今それをVRを使ってやろうとしています。

ーー今感じてらっしゃる課題をお伺いできますか?

沼倉:
弊社はアメリカで設立し、日本で開発を行い、そして世界に対して販売を行っています。日本から世界に対してプロダクトを出していくというのは、今まであまり前例がありません。海外でのプロモーションや、現地での人の雇用など、今まで経験してこなかったことをしなければならないということが一番の課題ですね。人を雇うにしても、北米、ヨーロッパ、アジア、全域ターゲットの地域なので、北米の担当者、ヨーロッパの担当者、全部バラバラに必要です。ある意味僕らがやっているプロダクトで解決するべき問題を、自分たちの会社でも解決しなきゃいけないわけですよね。距離を超えてグローバルでどうやってセールスしていくのか、プロモーションしていくのか、打ち合わせしたらいいのか等、クリアすべき問題は沢山あります。

ーーターゲットは世界各国とのことですが、一番反応がいい地域や国はどこですか?

沼倉:
ダウンロード数の順番で言うと、北米、ヨーロッパ、日本、中国ですかね。北米は単純に人口が多いというのがありますが、ヨーロッパは建築家が多いのでその方たちが使っているのかと思います。第一弾のソフトウェアを2月にリリースして、2月から今までの継続率が今81.5%なんです。ですので「これを待ってた!」という人が今は使っているイメージですね。まだほとんど一般の人は使っていないんですよ。実際に業務として使われているそういう方たちにどんな機能が要るか、どうだったら使いやすいかというフィードバックをいただいている段階です。

ーーそもそもアメリカで会社を立ち上げたのは何か戦略があったからでしょうか?

沼倉:
2014年に会社を立ち上げようと思った時にVRに関してたくさんの企業と話をして、こういう市場ができるので投資をしてもらいたいということを伝えましたが、当時の日本ではVRがメジャーになんてなるわけないという考えが大局を占めていました。そういう経緯があったので、海外からの投資を受けてアメリカで会社を立ち上げました。今も状況はあまり変わっていないと思っていて、日本では新しいものを取り入れる土壌が育っていないので、VRをビジネスに使うというのはハードルが高いと思っています。結局のところ新しいものを取り入れる感度の高い人は世界規模で見た方が人数が多いことが、アメリカで会社を立ち上げた理由ですね。

ーー日本は海外と比べて遅れているということでしょうか?

沼倉:
遅れているというのもそうですし、そもそも日本と海外のルールも違いますし、法律も違う。だから海外は海外のルールで動いていたりとか、日本は日本独自のルールで動いているっていうのがありますね。例えば、VRヘッドセットを装着していると手元が見えないわけですよね。なので、弊社のソフトウェアも音声認識でメモが取れるようにしています。でも日本では音声で操作をする、やりとりする、という文化があまりありません。最近では日本でも、音声によるGoogle検索を使う人が増えてきましたが、海外だとメール出すのも、メモを取るのも全て音声。海外の方が音声での操作ややりとりに慣れているので、VR空間での音声操作についても、違和感なく使って頂けている印象です。

ーーそういう部分でもギャップが生まれてきているんですね。先ほど仰られた地域以外への展開は検討されていますか?

沼倉:
もちろんです。今は96カ国の国や地域で使われているんですが、アフリカ大陸などに対しても展開していきたいですね。

ーーどこの地域を重視しているのかお聞きできますか?

沼倉:
まずはヨーロッパと北米ですかね。特にヨーロッパでもドイツやオランダなどは建築家が多く、ヨーロッパ中の会社から発注を請けているんですよね。今までは打ち合わせを実際に会って行う事が多かったと思いますが、我々が8月にリリースした最新バージョンのSYMMETRY alphaを利用すれば、離れていても、同じVR空間の中で打ち合わせが可能になりますので、その利便性をアピールしていきたいと思っています。

ーーいろんなジャンルでの活用法がありそうですね。

沼倉:
うちのソフトをご利用頂いているユーザー様によって、使い方はいろいろです。イベント会社がイベントのブース作ったり、設計事務所がコンサートホールを作ったり。店舗設計を担当しているデザイン事務所もあれば、家電メーカーが直営店のデザインを行っていたりします。今まで、役員などの決済者に、平面図や完成イメージのグラフィックでデザインを見せてもあまり理解を頂けなかったものが、、SYMMETRYを使うと、VR空間の中で実物大で確認が出来るので、「ああこうなってるんだ」と合意形成を得やすくなります。

プロは図面を見ればどんな感じかだいたいわかるんですが、じゃあそれが役員やお客さんがわかるかっていうとわかりづらい。むしろそういったプロじゃない人に対して、プロが説明する際に適しているんだと思いますね。

ーー点群データを見ることも可能なのですね

沼倉:
工事の際に撮影した点群データなどをSYMMETRYに読み込めば見ることができます。工事する前の様子や、どんな風に変わっていくのかなどが見えるようになりますし、自分がその場に立っているかのような感覚で周りを見回すこともできます。

点群データを立体的に見られるようになったことで、工事の時間を大きく短縮できるようになりました。今までは担当者が実際に現場に行って距離を計測する必要があり、場所によっては7人が一週間がかりで計測する時もありました。ですが、点群データを活用することで、ドローンを使って2人で3時間ほど撮影し、そのデータを持ち帰ってVR内で距離を計測し、安全に、かつ低コストで同様の結果を得られるわけです。。

点群データというのは誤差が数ミリしかなく、さらに弊社のネットワークサービスを使って担当者がこの空間内に入って距離はいくつだとか測ればいいだけなので、容易に計測が可能です。ここで障壁になってくるのは国の法律だけで、国交省とかにも参加してもらって、むしろ法律を変えていこうと動いています。こういう技術があるので、法律のほうを変えることで、リソースが軽減できる、最適化できるということを狙っていますね。
※点群データを読み込めるSYMMETRYについては、現在開発中です。

ーーこういったツールを作れるクリエイターはまだまだ少ないと思うのですが、どのようにそういう人たちを集めたんですか。

沼倉:
別にものすごい魔法があるわけではなくて、たぶん普通にアプリ作るのと同じだとは思います。ただ、一般のアプリ作るよりは幅広い知識が必要だというだけです。例えば3DのCADの知識であったりとか、それこそVRの中でのユーザーインターフェースの知識であったりとかですね。結局やってトライするしかないんです。だからやってトライして覚えていくだけなので、別に誰でもできるんです。

ーーでは最後に、今後VRを使って何がしたいかを教えてください。

沼倉:
それこそまだ、日本で誰も「VRをやろう」と言っていないときに、私がとにかくやろうと思って、先にやっていたからそれがノウハウとして溜まって今のようになっています。その思いに賛同してくれる人とともに、日本発で世界に届けるサービスを提供したいと考えています。誰もできないことをやってみたいですね。

ー沼倉様、貴重なお話を誠にありがとうございましたー

DVERSE Inc.
〒151-0053 東京都渋谷区代々木3-45-2
西参道Kハウス 4F

 

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