乗り遅れるな!海外の注目VRベンチャーに見るVRビジネスのトレンド

筆者: 編集部

VRが普及していく近年、各企業が展開するVRビジネスに関心が高まっています。特に海外では注目を集めるベンチャー企業が多数存在し、大企業や投資家たちは積極的に出資をしている現状です。海外市場やベンチャー企業の取り組みは気になるところですが、日本での知名度が低いベンチャー企業に関しては、大きな動きを見せたとしてもそれについての情報を仕入れることは困難です。
 
そこで今回は、注目すべき海外のベンチャー企業を20個ピックアップし、調達額や行っているサービス内容をまとめてご紹介します。調達金額が高いベンチャー企業の特徴を比較しながら、トレンドを探ってみましょう。

VR市場動向

海外VRベンチャーの紹介に入る前に、まずはVR市場の動向を見ていきましょう。Degi-Capitalの発表したデータを参考にしています。なお、数字はVRとARを合わせたものになります。
 
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(画像引用元:Degi-Capital
 
こちらのグラフは各四半期のアメリカVR・AR市場の投資額をまとめたものです。青い部分が示すのが投資額、赤い線が示すのは直近12か月の投資合計額です。年ごとに見ると、投資合計額に関わらず投資額が上がっていることがわかります。よって市場は徐々に成長していると言えます。
 
2014年第4四半期、2016年第1四半期の数値の飛躍的な上昇を見せていますが、こちらは「Magic Leap」の影響によるものです。グラフを見れば、「Magic Leap」と言う企業がいかに注目を集めているか一目瞭然です。こちらの企業に関するまとめ記事がありますので、合わせてご覧ください。
 
▶︎謎に包まれたMRユニコーン企業Magic Leap!その全貌を徹底解明
 
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(画像引用元:Degi-Capital
 
こちらは2017年第2四半期の投資に関して業種ごとのシェアをまとめたデータです。「コア・テクノロジー」への投資が約半数、次いで「動画」「ゲーム」「周辺機器」が全体の1/4以上を占めています。

注目の海外VRベンチャー

それでは、注目すべきVRベンチャー企業をご紹介します。先ほど示した市場での4大投資分野を頭に入れつつ、ベンチャー企業の調達額やサービス分類を見ていきましょう。

8i

こちらの企業はVRなどに現実の人間を3Dで映し出す技術を開発しています。「ピクサー」「ドリームワークス」「SCE」など、分野を問わず様々な企業出身者が集まっています。2015年には写真からVRキャラクターを制作する技術を開発し、今年2017年にはホログラムを使うことで簡単にMRコンテンツを作成できるスマートフォンアプリを開発してます。
 

 

国:ニュージーランド
調達額:4,050万ドル
出資会社:Rothenberg Ventures、Boost VC、RSamsung Ventures、 Dolby Family Ventures、ワーナーブラザーズ、Baidu、Verizonなど
サービス分類:開発(ソーシャル)
URL:https://8i.com/

AltspaceVR

こちらは2013年に創業した企業で、ソーシャルVRプラットフォーム「AltspaceVR」の開発、提供をてがけています。会議や展示会などのイベントも催され、2015年時点で世界50か国以上で利用されていました。資金不足により日本時間2017年8月4日のプラットフォーム閉鎖を発表しましたが、同月15日に寄付の申し出があったなどの報告の上で、サービスの継続を表明しました。
 

 

国:アメリカ
調達額:1,600万ドル以上
出資会社:Google Ventures、Formation 8、Dolby、Tencent、Rothenberg Ventures、Haystack、Promous、Maven、Startcaps、Lux、Promus、Foundation、SV Angelなど
サービス分類:開発(ソーシャル)
URL:https://altvr.com/

VRChat

こちらの企業は社名と同じ「VRChat」というVRソーシャルプラットフォームを開発している会社です。こちらのプラットフォームで、ユーザーは全身アバターを作り、VR空間でコミュニケーションをとることができます。 また、アバターでアイトラッキングやまばたきなどを再現することができ、UnitySDKを使用して自分を表現しながら独自の世界を作成することができます。
 

 

国:アメリカ
調達額:130万ドル
出資会社:Frontier Tech VC、Brightstone Venture Capital、GREE VR Capital、HTCなど
サービス分類:開発(ソーシャル)
URL:https://www.vrchat.net/

Improbeble Worlds

Improbeble Worldsは、「SpatialOS」というプラットフォームの開発を行っています。「SpatialOS」ではクラウドベース3Dグラフィックを製作するためのプラットフォームで、ゲームエンジンを用いてシームレスにつながった複数のサーバーと世界を作ります。ゲーム用途が主力である企業ですが、今後は医療や都市開発へと視野を広げ、現実をVRでシミュレーションする技術を開発すると発表しています。
 

 

国:イギリス
調達額:5億2,200万ドル以上
出資会社:ソフトバンク、Anderessen Horozitz、Horizon Ventures、Temasek Holdingなど
サービス分類:開発(プラットフォーム)
URL:https://improbable.io/

Realis

こちらは2015年8月に創立された中国の企業です。光学式モーションキャプチャー技術、モーション識別技術に関わるソリューションサービスを提供しています。今年2017年7月には自社開発のVR空間における複数人を同時に追跡できるトラッキングシステム「RTS(Realis Tracking System)」を発表しました。今後は海外市場の開発を意識し、日本での支社設立と、日本と米国でのVR研究室開設を予定しています。
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(画像引用元:Realis
 

国:中国
調達額:総額約1億元(約16.4億円)
出資会社:不明
サービス分類:開発
URL:www.realis-e.com/

Leap Motion

「Leap Motion」は、VRで使用可能なハンドトラッキング技術を開発しています。設立は2010年で、Oculusよりも創業が早い企業です。PC用のモーションコントローラー「Leap Motion Controller」に始まり、Oculus Riftが登場してからはVR向けハンドコントローラーとしての展開、今年2017年2月に発表したクァルコムとの提携が発表と、徐々にVRに移行してきました。VRに関するイベントでVR/ARでの操作について何度か言及しているので、今後はそちらも視野に入れた展開を見せるのではと注目されています。
 

 

国:アメリカ
調達額:9,400万ドル
出資会社:J.P.Morgan、ANDRERSSEN HOROWITZなど
サービス分類:開発
URL:https://www.leapmotion.com/product/vr/#113

Lytro

「Lytro」は、元々は撮影後に写真の焦点合わせができるカメラを開発、販売していた会社です。2015年にVRへと路線を変更し、それまで同様「ライトフィールド」の技術を使ったVR用ライトフィールド・カメラ「Lytro Immerge」を発表しました。「Lytro Immerge」で空間を記録することで、撮影した映像の中を動き回ることができます。
 
無題のプレゼンテーション (6)
(画像引用元:LYTRO
 

国:アメリカ
調達額:2億1000万ドル以上
出資会社:Andreessen Horowitz、NEAなど
サービス分類:開発
URL:https://vr.lytro.com/

High Fidelity

「High Fidelity」はフィリップ・ローズデール氏によって「セカンドライフ」での学びをVRで活用することを目指して創立されました。2016年にVR内で複数人で共同でVRコンテンツを作ることのできる「High Fidelity Sandbox Beta」というツールを発表しています。今年2017年8月には、Vive Trackerサポートが追加されました。
 
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(画像引用元:HIGH FIDELITY
 

国:不明
調達額:4,000万ドル
出資会社:IDG Capital Partners、breyercapital、true ventures、Kapor CAPITALなど
サービス分類:開発
URL:https://highfidelity.com/

uSens

こちらはモバイル向けVR/ARヘッドマウントディスプレイを開発している企業です。2016年、多額の資金調達をおこなった「uSens」は、この資金を「モバイル向けAR/VRデバイスなどに搭載するポジショントラッキング」、「高精度な3Dハンドトラッキング」のシステム開発にあてられたようです。その後これらの機能を搭載した「Impression Pi」というモバイル向けヘッドマウントディスプレイの開発を進めました。
 
「Impression Pi」ではAR・VR双方の映像を見ることができ、手に何も装着しないまま全面カメラによるハンドトラッキングが可能です。
 

 

国:アメリカ
調達額:2000万ドル
出資会社:不明
サービス分類:開発
URL:https://www.usens.com/

Ultrahaptics(VR/AR参入予定)

こちらの企業は、触覚フィードバックの開発をする「Ultrahaptics」です。2013年設立の「Ultrahaptics」は、今後VR/AR産業へ参入を進める予定としています。触覚フィードバックは、具体的には「mid-air haptics(空中ハプティック)」という超音波による触覚フィードバックの技術開発をおこなっています。mid-air hapticsでは、専用の手袋などが不要であり、多方面で活躍する触覚ディスプレイになることが期待できます。
 

 

国:イギリス
調達額:4,000万ドル
出資会社:不明
サービス分類:開発
URL:https://www.ultrahaptics.com/

Immersv

「Immersv」はスマートフォン向けのVR広告配信プラットフォームを手がける企業です。「Immersv」によると、VRと360度動画を用いた広告の視聴率は85%にも登りのぼるそうです。プラットフォームでは資金集めなどの広告配信ネットワークとして活用することができ、他にもVRアプリを通したマネタイズ、アプリによる360度のVR広告の配信をすることができます。
 
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(画像引用元:THE BRIDGE
 

国:アメリカ
調達額:1,090万ドル
出資会社:Foudation Capital、The Venture Reality Fund、Intial Capital、HTC、グリー、MCJ、East Ventureなど
サービス分類:プラットフォーム(広告)
URL:https://www.immersv.co/

Decentraland

こちらの企業は、社名と同名のサービス内でユーザーが土地を買ったり、ギャンブルやコンテンツの売買などをして楽しむことのできるバーチャル空間を提供しています。「Decentraland」は上場していない新規の貨幣通貨を売りに出して資金を調達するICOという方法で2,550万ドルもの資金を得ました。発行された貨幣は「MANA」という単位で、『Decentraland』内でお金として使用できます。こちらのサービスは運営企業が存在しないため、一切のルールを課されることがなく、完全に自由にプレイできます。
 

 

国:不明
調達額:2,550万ドル(ICOによる資金調達)
サービス分類:プラットフォーム
URL:https://decentraland.org/#roadmap

Next VR

「Next VRは」、VR向けのストリーミング配信を行うプラットフォームを展開する企業です。2015年時点ではGear VR向けの生中継の他、様々なスポーツイベントや政治イベント、VR向けに360度(または180度)で中継してきいました。現在もRelevent Sportsなどと提携し、サービスを提供しています。
 
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(画像引用元:Next VR
 

国:アメリカ
調達額:3,050万ドル
出資会社:Formation 8、Comcast Ventures、タイム・ワーナーの投資会社など
サービス分類:プラットフォーム
URL:http://www.nextvr.com/news

Baobab Studios

「Baobab Studios」は、Zynga元バイスプレジデントの「モーリン・ファン氏」、Dreamworks Animationの元ディレクター「エリック・ダーネル氏」によって設立されたVRアニメーションスタジオです。2016年、初の試みとして発表された「Invasion!」は大ヒットを記録しました。今後はRoth Kirschenbaum Films社との提携による長編VR映画化や続編制作の計画があると発表しています。
 

 

国:不明
調達額:3,100万ドル
出資会社:Comcast Ventures 、HTC、Samsung Ventures 、Advancit Capital、Charnin Group他、Zynga共同設立者、マーク・ピンカス、ピーター・ティールなど
サービス分類:動画(アニメーション)
URL:http://www.baobabstudios.com/

Here Be Dragons

こちらの企業はVRを活用した没入型の映像を制作しています。最近ではハリウッド版攻殻機動隊『ゴースト・イン・ザ・シェル』のVR体験コンテンツをOculus社とRewind社、パラマント社、ドリームワークス社と共同で制作したことでを集めました。今年2017年のコミコンで、Microsoft HoloLensを利用した作品を展示していて、今後はMR、AR向けのコンテンツを制作していくのではと期待が寄せられています。
 

 

国:アメリカ
調達額:1000万ドル
出資会社:不明
サービス分類:動画(没入型映像)
URL:http://dragons.org/

Within

「Within」はVRスタジオで、設立したのはミュージックビデオディレクターのクリス・ミルク氏と、元グーグル社員であるアーロン・コブリン氏です。独創的な試みをしているコンテンツが多く、非常に注目度の高い企業です。映画VR体験やニューヨークタイムズとのコラボレーションを積極的におこなっていて、今年2017年1月には20世紀フォックスのFoxNext部門で「猿の惑星(Planet of Apes)」のVR体験を発表しました。
 
無題のプレゼンテーション (4)
(画像引用元:WITHIN
 

国:アメリカ
調達額:9,660万ドル
出資会社:Temasek、Emerson Collective、WPPとMacro Venturesなど
サービス分類:動画
URL:https://with.in/

Penrose

「Penrose」の創設者Eugene Chung氏は元ピクサーの人間です。他にも、ドリームワークスでシュレックやマダガスカルシリーズを12年間関わっていたJimmy Maidens氏など、ピクサー、ドリームワークス、ディズニー出身の実力あるメンバーが在籍していて、VRのピクサーを目指しています。2017年4月には、トライベッカフィルムフェスティバルで同社が制作したVR映画『Arden’s Wake』が上映されました。
 

 

国:アメリカ
調達額:850万ドル以上
出資会社:Accelerate-IT Ventures、TransLink Capital、Suffolk Equity
サービス分類:動画(アニメーション)
URL:http://www.penrosestudios.com/

Inception

「Inception」は2016年設立の企業で、同社のアプリケーションで数々のVRコンテンツを提供していますした。アプリはOculus RiftやHTC VIveにも対応し、PlayStation VR向けの配信を準備中です。これまで他社と提携しオリジナルのコンテンツを配信するというスタイルをとることが多かった「Inception」ですが、今後はRTLグループと提携し、コンテンツの提供をおこなっていくそうです。
 
スクリーンショット 2017-09-01 13.23.11
(画像引用元:INCEPTION
 

国:イスラエル
調達額:1,500万ドル
出資会社:不明
サービス分類:コンテンツ配信
URL:https://inceptionvr.com/(アプリケーション)

Survios

「Survios」はアメリカのVRゲームスタジオです。2016年の夏に発売されたVRシューティングゲーム『Raw Data』を制作しました。その時点で3人で、5年間共にこの仕事に取り組んでいました。『Raw Data』ゲーム配信プラットフォーム「Steam」におけるHTC Vive用VRコンテンツのヒット作品の1つとなっています。資金調達額はVRゲームスタジオとして最大規模と言えます。
 

 

国:アメリカ
調達額:5,000万ドル
出資会社:Danhua Capital、Shanda Holdings、Felicis Ventures、Dentsu Ventures、Lux Capital、Shasta Ventures
サービス分類:ゲーム
URL:https://survios.com/

Lucid Sight

最後にご紹介するのは、「Lucid Sight」というアメリカのロサンジェルスを拠点とした、VRゲームを制作する企業です。資金調達当初は、VRゲームの開発だけでなく、無料VRゲームで広告料を収益源にしようと、VR内広告用のソフトウェア開発キット作成に着手していました。今年2017年4月には『HeroCade』というホラーやシューティング、シューターなど様々なジャンルの9つのVRゲームをバンドルしたゲームをリリースしました。
 

 

国:アメリカ
調達額:350万ドル
出資会社:不明
サービス分類:ゲーム
URL:https://www.lucidsight.com/

まとめ

 
いかがでしたか。海外ではプラットフォームや技術開発の分野が盛り上がっていました。空間を撮影する技術や、手になにも装着せず触覚を得られる技術は日本ではまだ出てきていませんね。VRという新しいプラットフォームの覇権争いに遅れないよう、日本に住む私たちも海外マーケットに敏感になりましょう。

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