【STORY × ネストビジュアル】「今後のVRはよりインタラクティブ性に富んだものに」

筆者: 編集部

ネストビジュアル株式会社は、さまざまな最新の技術を用いてクライアントへコンテンツを提供する制作会社です。VRやホロレンズ、プロジェクションマッピングなどを積極的に取り入れています。今回は同社が行っているVRに関する事業について、ネストビジュアルの山口様と和田様にお話を伺ってきました。

ーーまず最初に、御社の事業内容をお話しいただけますか?

ネストビジュアル山口様(以下山口):
実写で演出を考えて、企画構成を考えて、企画を立てていくということが多いですね。CGのVRみたいなものは結構いろんなところでやられていると思うんですけど、弊社にはもともと実写撮影の部隊がいるので、クオリティを保ちつつ、360度の実写を撮れる体制を整えられているというのが強みなのかなと思っています。

ネストビジュアル和田様(以下和田):
企画の段階から完成までを全てプロデュースしています。ただ撮影して、そのまま素材を渡すというものではなく、企画して演出して、撮影したものを編集して、あとはオンライン上やHMDだったりに格納して、お客さんはそれを見るだけ。トータルで制作できるという強みと、実写とCGの両方できるという強みがあると思います。

ーーメンバー構成はどのようになっていますか?

山口:
演出のスタッフが2人、CGのスタッフが2人。ディレクター含め、デザイナーから全部ひっくるめて、実質作っているのは4人ですね。パートナー企業に手伝ってもらうこともあって、カメラマンとしてパートナーに入ってもらうこともあります。でも編集とかは自分たちでやりますね。今4人でやっているので、だいたい1月に2本くらい制作しています。

ーークライアントで多い業種や団体はありますか?

和田:
行政や自治体が多いです。今取り組んでいる「& TOKYO」という東京をブランディングするコンテンツの一環で、去年は「TOHOKU & TOKYO」、今年は「CHUSHIKOKU & TOKYO」というインバウンド向けの360度コンテンツを演出しています。東京だけでなく、東北や中四国にもたくさんの良いところがあるから日本にきてねという東京の都会感やリッチさと地方の風情ある景色や歴史を比較する360度映像をYouTubeで配信しています。

YouTubeで「TOHOKU & TOKYO」「CHUSHIKOKU & TOKYO」と検索すると出てきます。去年は1年で30何本くらい撮って、今年は中国、四国を撮影します。去年と今年だけで日本の3分の1はいくはずなので、東北6県と、中・四国が7県くらいです。

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※スマートフォンでご覧になる場合は、YouTubeアプリで再生すると360度動画がお楽しみいただけます

自治体に加えて広告も多いです。旅行系の広告やイベントを360度でという問い合わせや制作が多いです。

山口:
僕の方に来るのはそれ以外という感じですね。イベントもあれば、アトラクションもありますし、建築、不動産、あとは医薬品関連のお客さんなどもいらっしゃいました。実写系以外、キャンペーンや広告など、さまざまな案件をご相談いただいてます。

ーーテーマパークや不動産というとイメージができるんですが、医薬品とはどのような案件ですか?

山口:
プロモーションをVRでやってみたいというご相談を受けました。癌の薬で、生存率が今までに比べて高いというプロモーションだったんですが、せっかくならVRでやってみようと。今までであればモニターでやるところを、いろいろ提案させていただいて、結果的にVRゴーグルをかけると癌生存率のグラフが正面に立体的に浮いているコンテンツを作りました。

ーーそれはイベントで使われたんですか?

山口:
そうです。イベントでブースを出すので、そこに来たお客さんに対して見せるためのVRコンテンツです。VRゴーグルをかけると、まずは360度空を飛んでる映像が流れます。しばらくするとムービーが始まって、医薬品の紹介が始まる。そのあとにグラフが出て、薬の効果が分かる、といった流れです。

ーー実際の反響はいかがでしたか?

山口:
それが反響は良かったです。もうちょっと数年すると効果の有無がみんなわかってきて、やるやらないの判断が企画の段階で振り分けられそうですけど、まだ黎明期なので、いろんな可能性のものが出てきてある意味面白い時期なのかなとは思います。

ーー面白いですね。何か他に、VRを制作する上でクライアントとの認識の違いなどあったりありますか?

山口:
まずVRっていう言葉が一人歩きしていて、VRゴーグルをかけると本当に全然違う世界に行けるというイメージから始まっているんですね。まず予算的な話もありますし、現実的なところへクライアントの目線を下ろすということは考えてますね。VRゴーグルをかけると映像の中に怪獣が出てきて、そいつと戦ってクリアしてというときに、いろんな可能性が出てくるじゃないですか。それを撮影するのとか、CGでもインタラクティブであるものとか、そういったものもご提案させていただいてます。どこを目指していますかというのをまず明確にするのはいつもやっています。

ーーお客さんと認識を合わせるときは基本的にヒアリングベースで行われるのでしょうか?

山口:
そうですね。事例見ていただいて、VRって言いますけど、この予算だとこういうことですよとか。もしくはお金があるんだったら、みんなでVRかけて同じ空間に立って、みんなでバーチャルでモンスター倒すこともできますよみたいにすごく幅広い。そこをまずわかってもらえたらいいなと思います。

斬新過ぎて効果があるのかどうかが未知数だったりすると、悩みますね。それが効果が出なかった時に、VRの話なのか、そもそもの企画の話なのかがわからないので。必要な予算としての幅が大きすぎるので、毎回毎回試行錯誤する感じですね。

ーーVRコンテンツを制作する上で、どれくらいの予算がかかるのかというのは非常に掴みづらいところもあるかと思います。

山口:
VRコンテンツを制作するための予算というのは幅がすごく広いです。同じコンセプトでも10万円のものと500万円のものでは中身がまったく変わってきます。僕らも幅を知っているので、その予算ではこういったこともできる、ここまでできる、こんな表現、こんな新しい体験ができるという提案をして、クライアントがどこまでするかという形が多いですね。

以前、富士急さんの「ドドンパ」というジェットコースターを撮影した際には、映像にどういう付加価値をつけていくのかを相談しました。音を追加するのか、音を360度回すのか、風を出すのか、振動を入れるのかみたいなご提案させていただいて、落とし所探っていくっていう。一緒に考えているっていう感じですね。これやってよ、やったよ、終わり。じゃなくて、どうやったらもっと面白い体験ができるかなっていう。僕らも経験値はあるんですけど、一緒に提案しながら、実験しながら。案件ごとに違うので落とし所は。一緒にやって、見つけていくっていうような、VRは結構そういう流れが多いなっていう気はしています。

ーーCGベースのコンテンツは生成に時間がかかるかと思いますが、クライアントに共有される際にはどうされていますか?

和田:
360度見えるといっても結局一番見せたいものは決まっているので、絵コンテやテキストで説明します。平面の映像の制作プロセスとあまり変わらないです。

山口:
ある程度作らないと理解されないので、ちゃんとプレゼンできるくらいのレベルまで作った上で見せるという感じですね。そういう意味だとUnityとかUnrealとかである程度簡単に作れるようになって来たので、プロトタイプだけでもそれで作ってイメージを共有した上で今後の説明をしています。

ーーVRで360度見せる必要性は必ずしもないのでしょうか。

和田:
僕はそう思ってます。でもそれがVRゴーグルとかで見ると、周りの視野の情報まで得ることができて、もう全然違う映像になります。撮り切りの普通の平面の映像っぽいんですけど、それが余分な情報がくっついてくるだけで、バーチャルリアリティになるのかなと思います。

ーーそこにいる感覚が出てくるということですね。最近は360度ではなく180度の視野で見る映像フォーマットが登場していますが、どう思われますか?

和田:
結構いろんな人の話を聞いてみると、180度でいいという方も結構います。後ろにはロゴとかを置いて。そうなると画像をつなぎ合わせる必要もないですし、立体視も簡単にできるからという人が結構多いなと思います。

ーー360度じゃなくて270度であったり、背面が黒く塗りつぶされているものがあったりします。

山口:
ものによっては360度でなくても全然いいと思うんですけどね。イベントとかでVRゴーグルを付けている人も、あんまり動かないんですよ。ぐるっと後ろまで見ることがないんです。たぶん180度っていうのはそういうことなんですよね。そういう意味でも360度必要なのかはコンテンツによるのかなっていう気はちょっとしています。

ーー確かにコンテンツによってはあまり後ろを見ないものもありますね。

和田:
360度に向いているコンテンツって言うのは、演出されていないものだと思います。それは180度より360度あったほうがいい。そのときのコンテの描き方は、「ここを見てね」、「ここにこんなのがいるよ」じゃなくて、世界観がこういうので、そこを渡って、巡っていくコンテンツです、みたいな書き方をします。なんとなくこんなイベントが起こりますくらいで、そういうときはあえて明確には描かないですね。

ーー何か360度に向いているコンテンツを制作された事例はございますか?

和田:
明治のきのこの山、たけのこの里のVRコンテンツですね。きのこ鉱山、たけのこの谷っていう二つのコースがあって、道が分かれていて、違うコースを見に行くっていうやつですね。フルCG、3分のコンテンツです。内容としては、船に乗ってゆっくりコースを巡るというものです。演出がないので、ずっと好きなように風に見ていられるんですね。中には見つけた人だけ嬉しいような小さい種をたくさん仕込んでいるので、3分見ていられる作りになっています。

ーー3分・フルCGのVRコンテンツを制作するのにトータルでかかっている期間はどれくらいですか?

山口:
4ヶ月くらいですかね。3月くらいから企画でちょこちょこやっていました。最初は間違い探しやろうとか、ゲームっぽいのにしようとか、クイズみたいなVRにしようとか。最後には今のこれが残ったんです。本当は、もっと時間をかけて作り込めば半年くらいかかります。予算も多分1000万円以上かかってしまうかもしれません。

ーーなるほど、ありがとうございます。最後に、今後このVRの世界がどうなっていくと思われているかお聞かせいただけますか?

和田:
今だと、映像を自動回転させることで風景を見せたり、自分の意思とは無関係に映像の中で歩いたり、受動的な視聴が多いと思うんですね。見る人によって見たい場所っていうのは違うじゃないですか。ああここもっと見たいのにとか、ここちょっと飛ばしたいなとか。ですので、まさしくGoogleストリートビューのようなもっとインタラクティブ性に富んだものになるなと思いますね。でもそうすると、どんどん作家性というか、クリエイティブを発揮することというのはなくなっていくと思います。大元の企画は前より具体的に考えられる反面、細かい演出とかはどんどんなくなるんだろうなとは思いますね。

山口:
今のVRっていうのは撮影して天球体に貼り付けるという状態だと思います。それがいつか撮影したものの中を動き回れたらなという思いがあって、多分もう少しかかると思うんですけど。それができたときに初めてバーチャルリアリティって言えるんだろうなというように思っています。もう一個は、VRとかARというものの垣根がなくなってくる気がしています。これはVR、これはARって、仮想現実と拡張現実って今は明確に分かれてるじゃないですか。いつか「これはVR専用のデバイスです」みたいなものが曖昧になってくるんじゃないかなっていう気がしています。ある瞬間に、例えば机をポンと叩いた瞬間に、別世界に入れるみたいな。その瞬間VRとしてその中を動き回れるような、視覚を利用してVR・MRってものを行ったり来たりするようなっていくのではないかと思います。

ーーより見ている人が能動的にアクションを起こせるようになってくるということですね。

山口:
そうですね。能動的になると思いますし、正直VRがどうって言っているのは作り手くらいなんじゃないかなと思っていて。見ている人は別に、楽しければなんでも良いわけで。インタラクティブ性っていうのも当たり前になってきて、もっと幅が広がるんじゃないかなと思っています。

ー山口様、和田様、貴重なお話を誠にありがとうございましたー

ネストビジュアル株式会社
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