【STORY × ブループリント】「インタラクティブなコンテンツ制作でVRの可能性を広げる」

筆者: 編集部

株式会社ブループリントはスマートフォン向けゲームの提供を行っている企業で、ゲームを通じて世界中の人々をより「笑顔に」することをミッションに掲げています。またモバイルゲームアプリの開発で培ったノウハウを元に、マーケティング、プロモーションのソリューションも提供しています。今回はブループリント取締役CTO 久保一人様にVR事業についてのお話を伺いました。

━━御社で行われているVR事業について教えてください。

ブループリント久保様(以下久保):
現在取り組んでいるのはVRのゲーム制作です。世の中に出しているところだと、スマートフォンのカジュアルゲームをメインに制作しています。あとは研究開発で、まだストアには出していませんが、HTC Vive向けに作ったゲームが一本あります。

━━VRに着手するようになったきっかけは何だったのでしょうか?

久保:
もともと弊社はパブリッシャーとしてプロデューサーやディレクターが在籍しており、マーケティングやプロモーションを主業務に行っていました。開発の部分を社外の企業にお願いしていたため、開発的なノウハウが社内に残らないことを課題として捉えており、昨年の1月頃より開発体制を社内に作りました。次の事業の種になるものから小さく始めようと考えた結果、VRを選択しました。

それが昨年の1、2月くらいです。4月にHTC Viveの商用版が販売されるという話もあったので、そのタイミングでやってみようと考えました。

━━御社のVRのゲームは、どのようにプレイされることを想定されていたのでしょうか?

久保:
想定はほぼスマホVRですね。モバイルのカジュアルゲームを作る中で、VRの制作を試してみたので。「VRx(VRクロス)」という名前で、今まで通りのスマホゲームとしても遊べて、VR表示に切り替えても遊べるスマホアプリを3タイトル展開しています。

もともと開発チームを作ることと、R&D(研究開発)、あとは人材育成という観点で行っている事業なので、3ヶ月で作る想定の企画を募集して開発しました。

━━ジャンルなどはどういう基準で選ばれてきたんですか?

久保:
単純に「VRx」として、VRへの切り替えがうまくハマりそうなコンテンツを選んでいます。直近の車のゲームですと、どのVRプラットフォームにも持って行きやすく、わかりやすいものにしようと選びました。VR自体がとっかかりのハードルが高く、どのプラットフォーム、どのHMDの人気が出てくるかわからなかったため、一度作ったものをなるべくいろんなところに持って行きやすくしました。

━━今までリリースされた中で一番成功だと感じられたのはどちらですか?

久保:
GearVRが発売されたときに、GearVRのマーケットをまずは知ろうということで、「Motivator」というシューティングゲームを無料でリリースしました。これはいまだにダウンロードされ続けています。やはり無料で入手できる手頃なものを求めてダウンロードしているのだと思います。傾向として北米などのダウンロード数が多いという結果が出ており、日本よりも海外で遊ばれている事がわかりました。

━━どこからのダウンロード数が特に多いのでしょうか?

久保:
一番はアメリカで、次がイギリスですね。日本はGearVRのアプリのダウンロード数が今一つで、やはり海外が多いです。VRはグローバル展開を狙うべきという話はこういうことなんだろうなと感じます。

もともと日本国内だけだとパイは小さいだろうなと思っていたので、海外展開は視野に入れていました。最初から英語にも対応できるようにして、「VRx」の3タイトルともワールドワイドで出しています。1作目の「Motivator」も分かりやすいゲーム性で海外ウケしそうなデザインを意識しました。

━━海外に向けてプロモーションも行われたのでしょうか?

久保:
プロモーションは日本でプレスリリースしただけです。海外の一般の方で取り上げてくれた方がいて、レビューなどを書いてくれたりすることはありました。「VRx」3作目の「タップドリフトレーシング」を出すタイミングで、GearVRの新型コントローラに対応したアップデートをしたのですが、それだけでまたダウンロード数が増えてきています。「Motivator」だけは、波はあるもののダウンロードされ続けていますね。

━━「VRx」のコンテンツに関して、他の企業様とコラボされているものなどはありますか?

久保:
実現したものは今のところないですね。受託でやってきておらず、自社パブリッシングでやってきたためにあまり機会がないというのもあります。実は2作目の「スグマチ!」や3作目の「タップドリフトレーシング」はコラボしやすいようにしているところはあります。ゲーム内のロゴが入っている部分に何か広告を掲載したり、メーカーさんとコラボしたりもできるかなというイメージは持っていますので、我々にできることがあれば検討したいなと思っています。

━━VR内の広告における障壁とはどういうものになるのでしょうか?

久保:
コンバージョンまでたどり着かない環境だと思います。例えばスマホアプリでは、広告からストアに行って、ダウンロードすることが可能で、計測できる環境も整っています。一方でVRの場合は、どんな広告を出して、どこに飛ばしてコンバージョンさせるのかが課題としてあり、VR動画の広告を見せて終わりということもあります。その部分がVRコンテンツ内で広告を入れにくい要因ではないでしょうか。

━━確かに、広告から外部リンクに飛ばすかどうかというところはこれから開発余地がありそうですね。

久保:
弊社はGearVR版の「Motivator」でVR広告にチャレンジしました。VR内で「タップドリフトレーシング」のストアページに飛んで、そのままダウンロードできるリンクを入れたりしています。まだ詳しい数字を見ることができませんが、ここのデータが見えるようになっていけばよりVR広告の活用が進んでいくと思います。

━━なるほど。現状、開発途中のコンテンツもあるのでしょうか?

久保:
今動いているものでいうと、ARでゲームコンテンツを開発しています(※)。私は今後ARやMRを中心に面白いエンタメが生まれていき、VRの市場はその手前に立ち上がると思っています。ただApple社がARKitをリリースして、数千万台規模で世界に普及するということを聞いて、これはARが先にくるかもしれないとは最近感じています。

今のARは空間認識の技術が変わってきていて、多彩な表現ができるようになっています。ただゲームに関して言うと、過去にARゲームがそれほど盛り上がらなかったこともあったので、その辺りは試行錯誤してより良いものを作っていかなければならないと思います。

(※)2017年11月現在リリース済み 「ARで対戦!タップドリフトレーシング

━━VRやARも含めて、新しいものを開発する時にこだわられているところはどんなところですか?

久保:
技術的な知見を貯めようとしているところと、作った後に展開しやすそうなところは意識しています。もしかしたらこういうコラボができるんじゃないか、こういう応用ができるんじゃないかというところで、企画などを選んで制作してきた部分ですね。

━━確かに応用という部分は鍵かもしれないですね。今後、ゲーム以外の領域も携わる予定はあるのでしょうか?

久保:
実際に不動産でVRを活用するという話もありました。ルームトラッキングで部屋の中を歩き回り、ものを動かせて、さらに視点を上下できることで身長の高低にも対応したコンテンツです。VRでやりやすいかなと思っているので、機会があればやってみたいと思っています。

またVRで教育コンテンツを作るのも面白いですね。ゲームの制作過程で得たノウハウは、インタラクティブで娯楽の要素もあって、ビジュアル面もサウンド面も良い物にしていかなければいけないというものです。このノウハウはどの分野でも活用することのできると思います。例えば教育分野でも、ゲームらしくわかりやすいUIであったり、面白い効果をつけるなど、ゲーム性を活かした知見を用いることができます。VRでつかんだノウハウでチャレンジできるものがあれば、ぜひ取り組んでみたいですね。

━━ありがとうございます。今後VRがどのように使われていくとお思いですか?

久保:
教育の分野の一つとして、ジョブトレーニングはすごく親和性が高く、今後増えていくと思います。例えば観光業でも、お客さんに見せるというよりもガイドに見せて、どういう案内をすると良いか学べるようなものです。

ゲームに関していうと、課題は移動の部分だけだと思っています。酔うことなくどう移動させるかが難しく、そこをクリアすればさらに没入できる面白いものが作れるでしょう。またVR空間上で人が会って遊ぶようなものがどんどん増えていくのかなとは思っています。あとはVRは立体で把握できるメリットがありますので、VRのツールには多くの可能性があると思いますね。

━━実写VRにはない可能性が、ゲームにはまだまだありそうです。

久保:
自由に移動できるところがインタラクティブなコンテンツの面白さですね。また実写とインタラクティブなコンテンツをうまく合成したら面白いのではないかという思いもあります。

それから弊社の試みとして、視線だけで操作するUIの特許を出願しています。今まではメニューにカーソルを一定時間合わせると選択できるものでしたが、視線で「はい」や「いいえ」を選ぶことのできるシステムです。今後はアイトラッキングで動くものがどんどん出てくるのではないかと考えているので、そうなった時に目だけで動かせるものを作れないかなと思って特許出願しています。

━━簡単な操作で決定が行えることは今後のVRコンテンツの鍵になりそうですね。

久保:
あとはVRゴーグルの値段が安くなっていけば、市場も立ち上がってくるのではないでしょうか。一体型とモバイル型のどちらが主流になっていくのかはまだ掴めませんが、もう少し手頃な価格で手に入るようになれば市場もより広がるのかなと感じています。弊社としてはその時までにVRの開発ノウハウをしっかり蓄積しておくことが大事ですね。

━━御社はBtoB領域にチャレンジすることはあるのでしょうか?

久保:
検討はしています。具体的には漫画喫茶のアプレシオでVRの体験会を行いました。近年、大きい施設ではVRが体験できるようになってきたと思いますが、もっと気軽にVRを体験してもらわないといけないという思いから漫画喫茶で体験会を開催しました。

枠も90%くらい埋まる大盛況でしたが、アンケートを見るとアプレシオという場所を知らなかった人がほとんどでした。そういった誘致のためのプロモーションにも役立っていることは実証できたので、集客のためにVRを設置したいという企業とはコラボしやすいと思います。

━━小規模なVR体験会で気軽にVRが体験できる場所を用意するということですね。

久保:
そうです。こういった話も去年の春くらいから動いていまして、VRは体験してみるとそのすごさがわかりますが、側で見ているとよくわからないじゃないですか。だから体験できるきっかけを一個でも多く作っていかないと、なかなかVRも普及しないのではないかと思いました。スマホゲームはスマホゲームで手軽にやれるようにしつつ、ハイエンドな体験もできる場所を増やすことが、よりVRの発展に貢献できるんじゃないかと考えています。

今はまだVRがなんだかよくわからないという方も多いので、弊社の公式サイトで何を揃えればVR体験ができるかをフォローできるようにしています。そういうことを地道にやっていって、一人でも多くに体験してもらうっていうのが大事だと思います。

━━何よりもまず体験してもらうことが大事なのですね。最後に、御社がVRを用いて挑戦してみたいことを教えてください。

久保:
やはり弊社はゲームを制作していた会社というコンテクストがあるので、繰り返し体験できるようなインタラクティブなものを作っていくことが一番良いと考えています。ユーザーが実際触って遊べるインタラクティブなものの制作で何か力になれることがあれば、お声がけいただければいいなと思います。

ー久保様、貴重なお話を誠にありがとうございましたー

株式会社ブループリント
東京都文京区後楽2-3-28 K.I.S 飯田橋2F

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