【STORY × 株式会社BiPSEE】「VRを使い、自らの”治す力”を最大化する」

筆者: 編集部

株式会社BiPSEEは、VRで一人ひとりの「癒える力」「治る力」を引き出し高めることを理念に、能動的な治療の成功体験を提供している企業です。今回は同社が行っているVRでの取り組みについて、BiPSEE代表取締役 松村雅代様(写真右)と、CTO 河﨑純真様(写真左)にお話を伺いました。

──御社の事業内容についてお聞かせください。

BiPSEE松村様(以下松村):
弊社は医療、ヘルスケアの世界でVRを活用しており、受動的になりがちな治療において能動的な体験を提供し、自らの「癒える力」「治す力」を最大化することを目指しています。小児歯科の治療時に活用する「歯科VRプレパレーション」というサービスを提供しており、お子さんが自然に治療に参加する機会を作っています。

──VR事業を開始されたきっかけは何だったのでしょうか?

松村:
私のバックグラウンドは心療内科医としてのキャリアです。医療に携わる中で、患者さんは「病院で薬をもらうことで良くなった」と思い、治療に対して受動的な姿勢を育んでしまうのではないかと思っていました。VRをツールとして活用することで、治療に能動的な参加の機会を与えられるのではないかと思ったことが、VRに携わり始めたきっかけです。

──なるほど。「歯科VRプレパレーション」はどのような内容のサービスですか?

松村:
小児歯科の治療において、お子さんに特製のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使って体験してもらうサービスです。小さなお子さんは歯科治療を怖がってしまうので、身体を押さえつけた上で施術することがあります。このサービスは、治療の際にHMDを装着しアニメなどの映像を見せることで、不安や恐怖を和らげる効果を発揮します。そのためお子さんが落ち着いた状態で施術をすることができるのです。

また映像にも工夫がしてあり、「正しい姿勢(治療に最適で、お子さんにとって楽な頭の位置)」を取った時のみ映像全体を見ることができるよう、視界の一部に映し出すようにしています。頭を動かしてしまうと映像が切れてしまうので、お子さん自身が治療に最適な姿勢を保持できるよう誘導することが可能です。

映像を見ることで不安や恐怖を軽減させることができ、姿勢を誘導することで自然に治療に参加する能動的な行動を取らせることができます。そしてその後、周りから褒められることで誇らしい気持ちが生まれ、「自分にもできた」という感覚が得られます。この一連の流れが「歯科VRプレパレーション」というサービスです。

──体験したお子さんの反応はいかがですか?

松村:
今までに40人以上のお子さんに体験してもらっていますが、概ね好評です。ただここで大事なことは、決して痛みが消えているわけではないということです。ヘッドホンは装着しませんので、治療中の音もカットされずに聞こえてきます。私達が目指しているものは逃避ではないからです。

体験してもらったお子さんに感想を聞いたところ、痛みがあってもアニメが面白いから頑張れたという意見がありました。これは私達の目指す、自分が治療に参加するという意識の表れだと思っています。

──なるほど。アプローチの流れがとてもわかりやすいです。

松村:
今お子さんに見せている映像はアニメが主ですが、これを教育コンテンツにすることも可能で、治療の不安を和らげながら学ぶことができる一石二鳥の作りにすることも想定しています。

中には幼い頃からVRを見せることで良くない影響を与えるのではないかと心配される方もいらっしゃるのですが、今後こういったテクノロジーは医療の世界においても必須のものになっていくと考えます。そのため、むしろ幼い頃から親御さんと一緒に正しい付き合い方を学ぶ機会になるのではないかと思います。

──幼い頃からHMDを装着することによる身体への影響はあるのでしょうか?

BiPSEE河﨑様(以下河崎):
確かに二眼のHMDですと対象年齢が13歳以上となっています。これは幼い子供が視差のあるHMDを利用すると斜視になる可能性があるということと、アメリカの児童オンラインプライバシー保護法(the Children’s Online Privacy Protection Act (COPPA))の規則に合わせて、子供がインターネットを使用できる年齢(13歳以上)に合わせているためです

松村:
そのため弊社の使用するHMDは一眼のオリジナルのもので、3D(立体)ではなく2D(平面)の映像を見せるものを利用しています。低年齢のお子さんでも問題なく使っていただくことができます。

──HMDをお子さんに装着する際、スムーズにいくのでしょうか?

松村:
初めて装着する時は、いつもと違うことをするため違和感を覚える子もいます。また装着した際に画面が真っ暗だと嫌がられることもありますので、オペレーションが重要ですね。HMD自体はお子さん用のサイズで、顔に触れる部分はクッションの柔らかい素材です。アルコール消毒をすることもできる作りなので、衛生面でも問題ありません。

まだまだ試作段階ですので、今後どういう風に改良を加えていくかは検討中です。

──ありがとうございます。実際このアプローチはいろんなところで使えると思うのですが、お問い合わせなどはあるのでしょうか?

松村:
小児科からはいくつかお問い合せをいただいています。ただ今の時点では手広くやるよりも、一つの分野でしっかりやった上で今後展開していくべきかなとは思っています。お問い合わせに関していうと、医療の部分だけではなくVRの分野でも何かアドバイスをいただけると嬉しいですね。

──なるほど。それでは今後どのような展開をお考えかお聞かせ願えますか?

松村:
VRに期待していることの1つはシミュレーションでの活用法です。不安を取り除くことや、怖いものに対して慣れていく使い方などができると思っています。HMDで徐々に慣れていくことができますし、嫌になった時点ですぐに外すことができるのも利点ではないでしょうか。

心のあり方が治療にも大きく関わってきますので、VRをこうして活用することで、能動的に治療に参加するとっかかりになればと考えています。

ー貴重なお話を、誠にありがとうございましたー

株式会社BiPSEE
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-27-15 坂上ビル6F
e-mail : bipsee.vr@gmail.com
Web : http://www.bipsee.co.jp/

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