360度カメラを宣伝に活用。今後一眼レフカメラと、どう住み分けるか

筆者:阿久津 碧

株式会社メディアオーパスプラスによって、360度カメラを利用した店舗や工場、観光名所等の宣伝サービスが開始されました。

出展

「施設紹介360°映像制作サービス提供開始のお知らせ|株式会社メディアオーパスプラスのプレスリリース」

これにより、施設や観光地の魅力を、これまでとは違う形で伝えられるようになりました。360度カメラをPRに用いることのメリットや、今後期待できることについて今回は考察していきます。

360度カメラは普通のカメラと戦わない

これまでは施設や観光地の宣伝方法として、写真が一般的な手段として用いられてきました。現在は一眼レフの画素数やセンサーサイズもかなり進化しており、明るいところ、暗いところを問わず美しい写真で魅力を伝えられるようになりました。

駅や街中で時折見かける観光関連のポスターも美麗なものが多く、旅に出たくなる気持ちを十二分に掻き立ててくれます。

カメラ対360度カメラという構図を描いてしまいがちですが、そもそもカメラの魅力と360度カメラの魅力は別の部分にあります。ですからこの二つは競合するのではなく、独自の路線でマーケティングを行っていくのではないかと私は考えています。

撮れる景色も全く違う

それぞれのカメラには向き不向きがあります。山頂のような高いところから、同じような条件で写真を撮ったとしても、両者の構図は全く異なるものになるでしょう。

通常のカメラの場合、山頂から麓の町を見下ろす形で撮影したり、別の山にフォーカスしたり、あるいは山頂の景色を収めたりすると思います。このように、特定部分の切り取りにカメラは特化しています。

広角レンズを付ければ写真に収められる範囲は広がりますが、それでも限界があります。しかしそれは悪いことではありません。

一方で360度カメラは、特定の場所ではなく、周囲一円を写真に収めることが可能です。山頂であれば、山頂付近の景色を丸々撮影できますし、山の麓であれば、360度の構図で麓を撮影できます。

それぞれのカメラに向いている活用法

一眼レフカメラなどによって、特定の構図で撮られた写真は、ポスターや広告と相性が良く、ピンポイントで場所の魅力を伝えることができます。撮影者が見せたいものを、見る人も瞬時に理解できるので、メッセージの伝達に齟齬が生じません。

対して360度カメラで撮影された立体的な写真は、場所の臨場感を伝えるのに適しています。観光地の紹介や、写真を用いた立体的な地図アプリなどとの相性が抜群です。

瞬間的な魅力を届けるなら普通のカメラ。場所全体の雰囲気や、具体的な情報を届けたいのであれば360度カメラを選択するのがベストです。

これを裏付けるように、冒頭でご紹介した映像制作サービスも、ターゲットを観光地や企業としています。観光雑誌やポスターなど、瞬間的な魅力を伝える仕事をしている企業をターゲットとしても、ニーズがないからでしょう。

ニーズは情報を届けたい場所

360度カメラの商用利用は、現在はまだそれほど活発ではありません。しかしそのニーズは計り知れず、「情報を届けたい」と考えている、あらゆる施設で活躍するのではないかと考えています。幾つかの例をご紹介していきましょう。

学校

高校受験や大学受験などのシーズンになると、学校見学に訪れる生徒が大勢います。しかし、地方から都内、都内から地方など、遠方の学校への進学を考えている人にとっては、学校見学は容易なことではありません。

新幹線や飛行機で現地に行き、日帰り、もしくは泊まりで行う一大イベントです。中には時間的な余裕がなく、泣く泣く学校見学を諦めて受験するという生徒もいるはずです。

そういう生徒は公式ホームページでなんとか学校の雰囲気を掴み、情報を集めようとします。しかしそれには、どうしても限界があります。

360度カメラであれば、学校内のリアルな雰囲気、広さを分かりやすく伝えることができるので、学校としても、受験生としても満足できるのではないでしょうか。

観光地

観光地を360度カメラで紹介するサービスは、北海道などで実際に行われています。限られた日数で、行こうかどうか悩んでいる観光地や、広さがイメージできない観光地などの、リアルな雰囲気を届けることができます。

「行ってみたら大したことはなかった」、「行かなかったことで後悔した」など、旅行における大きな失敗を両方とも避けることができるので、需要はかなりありそうですね。

企業

企業の職場環境や、工場などの様子を届けるのにも、360度カメラは適しています。ターゲットは主に就活生で、入社前、エントリー前の就活生が企業のリアルな姿をイメージするのに一役買ってくれます。

安全面の理由で就活生に見せられない工場や、社外秘などがあるため入れないオフィスなども、この方法であれば安全に、確実に伝えることができます。

撮影した写真は当然加工もできるので、外部に見せられない資料や、隠したいシーンなども自由に編集することが可能です。実際の職場を見たい就活生と、全ては見せられない企業の折衷案として、大いに活躍してくれそうです。

ホテル

宿泊施設においても、360度カメラは大活躍してくれそうです。私は過去にホテルマンとして数年間働いていましたが、海外から来られるお客様から「写真よりも部屋が狭い」、「ベッドが思っていたよりも小さかった」などのご意見をいただくことが頻繁にありました。

写真だとアングルや高さによって、実際よりも大きく見えたり小さく見えたりすることがありますし、平面的な画像からリアルな奥行きを想像するには限界があるからでしょう。

しかし360度カメラであれば、客室やフロント、廊下などの空間を立体的に分かりやすく伝えることが可能です。お客様の「思ったよりも〇〇だった」を少しでも減らしてくれるのではないでしょうか。

上記以外にも、ビジネスの現場で360度カメラが役立つ場面は無数に存在します。早期に取り入れれば、ライバル企業に差をつけられるかもしれません。

終わりに

360度カメラの登場により、景色や場所の情報をそのまま「空間」という形で届けられるようになりました。その場所に行ったことがない人、初めて行く人が目にしても十分な情報を得ることができるので、正確な情報の入手も容易になりました。様々な企業、条件下で応用の利く技術なので、これからも様々な場所で目にすることとなるかもしれません。

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