360度カメラ、VR×ジオラマで、タイムスリップを実現

筆者:阿久津 碧

学生時代に通っていた街。住んでいた地元、今はない古き良き光景。想い出の中に生きている映像は誰しも持っていると思います。そんな想い出の景色を、VRとジオラマの組み合わせで再現した例があります。タイムスリップを可能にする技術の今を、徹底的にご紹介します。

ジオラマ作家は魔法使い

1月4日にCBCテレビで放送された「あなたの思い出 ジオラマにしませんか?」の中で、ジオラマの世界をVRゴーグルで覗くという企画が行われました。

出演者でお笑い芸人、「南海キャンディーズ」の山里亮太さんは、番組での経験を通して、「ジオラマ作家は夢を叶えてくれる魔法使い」というふうにコメントをされました。

番組内では山里さんが大学生時代に住んでいた寮の部屋と、2018年1月に閉館した銀座キャバレー「白いばら」がジオラマとなって再現されました。

いずれの場所も、当時の関係者やスタッフの話を聞きながらジオラマで精巧に再現されており、高い完成度を誇っています。同番組では今後も、ジオラマにして再現してほしい今はなき想い出の風景を募集しています。

VRでジオラマの世界に

番組内では、想い出の場所をジオラマで再現するだけではなく、VRゴーグルを用いてジオラマの世界に入り込むという試みも行なっていました。ジオラマを見る際、普通は上から見下ろしたり、外から覗き込んだりして観察することになります。

しかしそれでは、どれだけ精巧なジオラマであったとしても、没入度には限界があるでしょう。VRゴーグルを併用することで、自分がジオラマの世界の住人になったかのような目線で観察することができます。

細かい部分まで作り込んでいるジオラマの場合、外から眺めているだけでは細部の作りに気付けないこともあります。VRゴーグルはこういった問題の解決策にもなるので、ジオラマ制作者としても、こだわりを伝えやすくなるというメリットがあります。

ジオラマ×THETAも相性抜群

番組内ではVRゴーグルがジオラマとセットで使用されていましたが、ジオラマと相性が良いのはVRだけではありません。360度カメラ、THETAをジオラマ世界に入り込ませるという試みも行われており、こちらの組み合わせからも目が離せません。

THETAを販売しているRICOHも『THETA VRコンテスト』なるものを開催しており、VRとTHETA、あるいはTHETAと別のコンテンツとの組み合わせに期待を寄せているようです。

上記のコンテストに対して、鉄道模型にTHETAを乗せ、ジオラマ世界を立体的に旅した動画がギズモード・ジャパンによって送られました。

出典:「鉄道博物館の巨大ジオラマ。360°カメラが模型を「リアルな世界」に変えた | ギズモード・ジャパン」

掲載されている動画を実際に拝見しましたが、まるで本物の街を、電車の中から眺めているような感覚を覚えます。このように、新しいテクノロジーとジオラマの融合により、小さな世界を旅する術を私たちは手に入れたのです。

ジオラマゲームも登場

本格的な販売ではなく、2015年の東京ゲームショウで出展された例ですが、ジオラマとゲームが組み合わされた例も存在します。360度カメラを搭載したラジコンロボでジオラマ世界に入り込み、街を侵略しに来た宇宙人と戦うというコンセプトのゲームです。

リアルに存在するジオラマを活かしたゲームは、テレビゲームともVRゲームとも違う不思議な体験をさせてくれます。

ジオラマは場所も必要ですし、安価に供給することが難しいので、一般に流通させるゲームとしてはハードルが高いかもしれません。

しかしVRアクティビティなどと一緒に展示して、ゲームセンター感覚で楽しんでもらう分には多くの可能性があるとも思います。それまで体験したどんなゲームとも異なる、リアルとゲームが混じり合った独特の世界観は必見です。

ジオラマほど精巧な作りというわけにはいかないと思いますが、3Dプリンターなどが一般家庭に普及したら、こういったリアルとゲームを混ぜ合わせたような娯楽は、更に幅を広げるかもしれませんね。

ノスタルジーは武器になる

擬似的とは言え、懐かしの光景や今は失われた想い出の地を、ジオラマやVRを用いて再び訪れることのできる時代となりました。これがサービスとして普及すれば、多くの人々のノスタルジーを刺激するのではないかと思います。

過去の街並みが再現されたジオラマを、博物館のように展示して、VRで没入できるサービスなどがあれば、高い需要が期待できるでしょう。再現する景色は国内限定である必要はありません。

新婚旅行で訪れた海外の、当時の景色。今は一般に公開されていない文化遺産。戻りたくはないけれど、もう一度見てみたい過去。あらゆるニーズにジオラマやVRは応えることができます。

小さな子どもや学生がテーマパークではしゃぐように、歳を重ねた大人たちがはしゃいでしまうジオラマ博。そんなものがあったら面白そうですね。

終わりに

青春を過ごした想い出の場所。惜しまれつつも今は無くなってしまった大切な風景。写真や記憶の中でしか振り返れなかったそんな景色の中へも、これからは再び訪れられる時代が来るかもしれません。人が過去に戻ることはできなくとも、過去を現在に再現する形でのタイムスリップなら身近になる。そんな未来がすぐそこまで来ているのでしょう。

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