VRを使った企業研修|LGBTの人の気持ちを疑似体験

筆者:小林 悠樹

だんだんと浸透しつつある「LGBT」。セクシャルマイノリティの総称のひとつであり、電通ダイバーシティ・ラボが2018年10月におこなった調査によればLGBTという言葉の浸透率は約7割。
しかしながら、そういった方たちへの配慮や容認度、制度は決して十分とはいえません。企業内においても同様で、まだまだこれからといった状況。

そんななかある企業研修が注目を集めています。それはVRを使ってLGBTの方の気持ちを体験するプログラムです。今後はダイバーシティの重要性がさらに高まっていくと考えられており、こういった研修制度もさらに広がっていくでしょう。

今回は、このVRを使った研修がどういったものなのか、企業にどういった影響を与えていくのかを考えてみたいと思います。

参考:http://www.dentsu.co.jp/news/release/2019/0110-009728.html

日本生命は「LGBTに関するVR研修」を実施

2019年2月に生命保険大手の日本生命がLGBTについての社内研修を実施しました。その一環として導入されたのがVRを使ったプログラム。研修に参加する従業員はVR映像を通じて、LGBTの方たちが日常的に感じている課題を知ることができます。

たとえば、レズビアンの方の視点に立ったVR映像では、ランチ中に同僚たちから「そろそろ結婚ですか?」と質問されるシーンが登場します。質問する側から見れば決して珍しくない内容ですが、受け取る側からしたらストレスになりかねない。VR上で実際に相手の立場にたつことで、「知らぬうちに人を傷つけているかもしれない」ということを認識できます。

同性でも保険受取人になれるようになったのが背景

LGBTの受容度が社会で高まり、最近ではある条件を満たせば同性パートナーを保険受取人に指定することが可能になってきました。条件は会社ごとに異なり、パートナーシップ証明書(自治体発行のもの)が必要なところもあれば、住民票が同じであればいいというところなどさまざま。日本生命がLGBTのVR研修を導入した理由には、こういった背景があると考えられます。

VRだからこそ表現できる言葉にできない空気感

一般的な座学の研修において「人と人との違いを認め、ダイバーシティを高めていきましょう」と説明しても、理解はできるけれども、どこか現実味がなく実感がわかないという方も少なくありません。もともと関心の高い人であればいいですが、そうでない人にとっては「じゃあ、どう行動したらいいの?」となる可能性もあります。

VRを使った研修では、より実践的でリアルな疑似体験をすることができます。まさしく「相手の立場にたつ」。VR空間上では感情移入がしやすく、研修効果も高いと考えられています。今回はLGBTについてご紹介しましたが、介護施設や飲食店などさまざまな分野でVR研修が取り入れられるようなってきました。まだ「VR酔い」という技術的な課題はあるものの、その実効性はほぼ証明されており、今後さらに広がっていくと考えられます。

まとめ|VRで多くの人にとって生きやすい社会を

VRは人の想像力を引き出すためのツールといえるかもしれません。VR体験を通じて、よりリアルに「相手の気持ちを想像する」ということが可能となります。冒頭ご紹介した調査によれば、LGBT層に該当する人は全体の約9%。おおよそ11人に1人という計算になり、決して他人ごとではありません。

企業においてこういったVR研修がおこなわれることで、従業員の働きやすさが向上し、創造性豊かな社内風土につながっていきます。さらにVRの広がりによって、性についてだけでなく、病気や障がい、貧困など、社会的少数者にとって生きやすい社会になっていくことを願いたいと思います。

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