VRで交通安全・事故防止。360度動画でおこなう新たな安全教育とは?
交通安全の映像と言えば、教習所で見るような年季の入ったドラマ仕立ての寸劇を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかしながら、最近では最新のVR技術を用いた交通安全の取り組みが全国で
おこなわれるようになってきました。今回は、そんな「VR×交通安全」についてみていきたいと思います。
本記事の内容
VRが交通安全教育に向いている3つの理由
どうしてVRが交通安全に活用されているのでしょうか? その理由として大きく3つ考えられますので、順を追ってみていきましょう。
前後左右を実際に見ることができる
VRの最大の特徴として、360度ぐるりと見まわすことができる点が挙げられます。従来の交通安全教育では、ビデオのような2次元映像が使われることがほとんどでしたが、それでは映像に映っている部分しか見ることができません。一方で、VRでは実際に首を振って周囲の状況を確認することができ、「どういったことが起きているのか」現場の状況をより詳しく見られるというメリットがあります。
事故の怖さをよりリアルに知ることができる
VRを使えば現場の臨場感をよりリアルに感じれるため、「事故の怖さ」をより身近に体感することができます。交通事故の悲惨さを疑似体験することで、危険運転防止につながる効果が期待できます。
色々な視点から交通事故を体験できる
車や自転車の運転で大切なのは、相手の立場にたつということです。たとえば、車を運転している人、歩道を歩いている人、バイクに乗っている人から見える景色はそれぞれ違います。いろいろな視点からものごとを見ることで、周囲にやさしい運転マナーが身につきます。
VR・360度動画を交通安全教育に活用している事例 5選
実際に交通安全・事故防止にVRを活用する例が増えてきました。続いては、VRを活用している実例を挙げて、どのような取り組みがされているのかを確認していきたいと思います。
Dri-VR
仮想実体験型交通安全VR「Dri-VR」は、凄惨な事故を体験できるVRプログラムです。安全な運転学習のため、事故の追体験ができるほか、危険予測学習ができたり、正しい走行パターンを学べたりと豊富なコンテンツがそろっています。
参考:http://thunderbolt-i.jp/
JAF
ロードサービスでおなじみのJAFのホームページでは「高速道路編」「車の水没編」「車輌衝突編」「自転車編」など、安全に関する360度VR動画が公開されています。たとえば高速道路編では、高速道路を走行中にトラブルが起きた場合のシーンを想定して、救援を待つ際の注意点を学べます。
参考:http://www.jaf.or.jp/eco-safety/360video/bicycle/
大分県警
大分県警は事故を減らすことを目的として、2013年から安全運転教育アプリを開発するなど、さまざま先進的な取り組みをしています。その一環として、「VR交通安全動画」がYouTubeの「大分県警察公式チャンネル」にアップされています。これらは株式会社カーメイトとの共同開発で制作されたもので、スマートフォンとVRゴーグルさえあれば簡単に自己の疑似体験ができます。大分県では、中高生の自転車事故が多いということもあり、「二人乗り自転車」「猛スピードで走る自転車」など、自転車に関するコンテンツが主に公開されています。
参考:http://www.carmate.co.jp/press/2019/02/vr-oita.html
参考:https://www.youtube.com/channel/UCXgB2Mfl6FYkx0kWomBd2pA/featured
愛知県警
愛知県警でもVRを使った交通安全の取り組みがおこなわれています。映像の内容は交通心理学者による監修を受けており、加害者視点・被害者視点・第三者視点それぞれから気づきを得られるような工夫がされています。愛知県内にある学校や事業所などでおこなわれる交通安全教室で活用されているそうです。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000127.000033034.html
BeRISE
広島に本社を置く株式会社ビーライズが手掛けている「BeRISE VR安全シュミレータ」は、作業現場の危険性を学べるプログラムです。動画を見ていただいてわかる通り、フォークリフトを運転する際に、「どういったところに危険が潜んでいるのか」ということをリアルに体感できます。「座学から、体験する教育へ」をコンセプトに、2019年1月にリリースされたばかりの最新コンテンツです。
参考:https://vrsim.berise.co.jp/
まとめ|当事者意識を芽生えさせるVR交通安全プログラム
VRを通じてリアルな交通事故体験することで、体験者には当事者意識が芽生えます。それにより普段はあまり意識しない歩行者やバイクに乗っている人の気持ちにも配慮できるようになり、事故防止につながっていくのではないでしょうか。最近では自動運転技術も進歩しているので、そういった技術開発が進んでいけば事故のない世の中が実現するかもしれません。
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