VRで日本一周。日本の玄関口から観光の輪を広める試み

筆者:阿久津 碧

森トラスト株式会社は、東京駅の日本橋口前にある観光案内施設「TIC TOKYO」内で、VRストアを使った新しい試みを開始しました。VR技術を駆使して、日本全国47箇所の観光地を擬似的に訪れることができるという同サービスは、2019年の3月まで行われるそうです。

出展

「観光インフォメーションセンター『TIC TOKYO(ティーアイシー トウキョウ)』(東京駅隣接)にてVR技術を用いた観光案内の実証実験を開始  VR技術を用いた観光案内の実証実験を開始|ナーブのプレスリリース」

日本の玄関口、東京駅から全国の観光地を巡ることができるこの実証実験、その目的はとても興味深いものでした。

『どこでもストア』を導入

今回の実証実験では、ナーブ株式会社が提供している『どこでもストア』というVR無人店舗サービスが3台導入されました。

タブレット型のものやサイネージ型(40インチ)のものが置かれましたが、遠隔通話や低コストでの出店を実現できる『どこでもストア』の汎用性は高く、今回のような趣旨のVRサービスにもがっちりとマッチしていると言えます。

店舗自体にスタッフを配置する必要もないので、人件費が余分にかからず済むのも魅力ですね。特に今回のような限定的な試みでは、その期間のためだけにスタッフを育成する必要性が発生した場合、かかるコストも馬鹿にできません。

また、TIC TOKYO自体も日本政府観光局が認定している施設なので、森トラストとナーブ株式会社のタッグは、お互いにとってプラスの相乗効果を生み出したのではないかと思います。

現在は、北は北海道、南は沖縄まで、47箇所の観光地をVRで訪れることができますが、今後も新たに観光地を追加していくことが決まっているそうです。

候補地には横浜や浅草、鎌倉といった関東有数の観光名所も上がっており、目が離せません。

国外の観光客がメインターゲット

TIC TOKYOでの今回の試みは、VRストアを導入した実証実験という形式で行われています。調査の内容としては、観光案内のニーズ調査や、観光地への満足度調査などが含まれています。

その他に、実際にVRストアを利用した方の利便性なども実証実験の調査内容に入っています。日本人と訪日外国人、双方を対象にしたものですが、メインのターゲットは当然後者の訪日外国人です。

TIC TOKYOは2009年の開設以来、46万人と、世界中から多くの観光客が来館しています。日本語の他に英語、フランス語、中国語に対応しており、外国人観光客が必要な情報を収集する上で完璧な環境が整っています。

TIC TOKYOの役割がそうであるように、現在出店されているVRストアも観光客の周遊促進を期待しており、実証実験でどのような結果が得られるのか、非常に興味深いところです。

外国人観光客に関して言えば、この先の2020年に控えている東京オリンピックのことも考えていかなければいけません。オリンピックが行われる東京だけではなく、日本全国の主要な観光地で消費を促したいと、政府も企業も目論んでいます。

VRストアの導入は、それらを総合的に意識した布石だと言えるのではないでしょうか。少し気の早い話ですが、この先2030年には、訪日外国人観光客を6000万人獲得したいと、政府は発表しています。

2018年の12月18日時点で3000万人を突破したという政府発表がなされましたが、残り10年弱でこの数字を倍にするというのは、初めは突拍子もない話に思えました。

しかしVRストアや観光案内施設でのニーズ調査など、事前のデータ収集を徹底的に行うというのであれば話は別です。日本を訪れる訪日外国人観光客が何を求めて、どのように日本で過ごしたいと考えているのか。

その要望を正確に把握することができれば、6000万人という数字は決して途方もない目標ではないのかもしれません。

人気のホテルチェーンである森トラスト・ホテルズ&リゾーツと連携したことで、その勢いも更に増すはずです。東京オリンピックやその先に見込めるインバウンド収益を増やすためには、企業と政府の連携。そしてVRの力が不可欠となるでしょう。

北海道などでも類似のサービスが既に開始

実は当サイトで、私が以前取り上げたテーマに、VRで北海道旅行というものがありました。

「北海道VRツアー」と呼ばれた同サービスは、2億ピクセルの高画質360度カメラで撮影した北海道内の絶景観光スポットを、VRで楽しめるというサービスでした。

観光地の絞り込みやルート決め、諦めた観光地への訪問などが行えるというメリットを記事内でもお伝えしたのですが、そのときに「このようなサービスは今後全国、全世界で流行る」といった旨の内容を書きました。

TIC TOKYOへのVRストア導入は、その第一歩だと私は感じました。北海道であっても、全国でもあっても、擬似的なVRツアーのメリットは基本的に変わりません。

今後更にこのようなサービスが増えていくに違いないでしょう。企業などでVRやVRストアに注目しているという場合、どれだけ早くこの波に乗れるかが重要となります。

観光客の増加に興味がないという国は少数派ですし、旅行とVRの相性は抜群です。画期的なVRシステムを有している企業の場合、それだけで世界をマーケットにできる可能性を秘めていますし、ビジネスの幅も確実に広がっていくことでしょう。

終わりに

旅行代理店などで旅の計画や目的地の候補を絞る際、今後は『どこでもストア』のようなVRストアが更に活躍するかもしれませんね。写真や動画などとは違う、立体的な映像での擬似訪問は、多くの人にとって旅行における大切な判断材料になるのではないかと思います。

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