VRはインバウンド対策になるか。海外を対象としたVRビジネス

筆者:阿久津 碧

様々な業界が注目し、続々と取り入れているVRビジネス。その可能性は大きなものですが、観光業界やインバウンド需要という面でも、ビジネスチャンスを秘めているのではないかと思います。VRで日本の観光、そしてインバウンド需要はどう変わっていくのか。2020年やその先の訪日外国人観光客増加を見据えた、最新のVR事情を考察していきます。

観光地のアピール手段にVRは最適

これは訪日外国人観光客だけではなく、日本人も対象にした話になりますが、VRは観光地をアピールする上で有効な手段です。国外にいても日本の魅力的な観光地をVRで疑似体験してもらうことができますし、その魅力を立体的に伝えられます。

主要な観光地を巡れるVRサービスは、東京駅の側にある「TIC TOKYO」でも2019年3月まで実施されており、既に実用ベースに至っています。同サービスでは日本の主要観光地47箇所をVRで訪れることができますが、北は北海道、南は沖縄まで網羅しています。

東京駅に着いた外国人観光客が、何処へ旅するか悩んだ際、判断材料としての役割を大いに果たしてくれるのではないでしょうか。

また、前述した通り、VRは国外からでも日本の魅力を伝えられます。TIC TOKYOにあるようなVRサービスを、今後アメリカや中国、ヨーロッパに配置することで、訪日外国人観光客に様々な影響を与えられるかもしれません。

日本政府観光局もVRの利用に前向き

日本政府観光局(JNTO)もVR技術には興味を示しているようで、360度VR動画をYouTubeにアップロードしています。

動画はコチラ「[360° VR] JAPON – Où traditions et futur se rencontrent | JNTO」

上記の動画は2019年2月現在、117万回以上再生されており、国内外を問わず高い注目を集めています。動画には、東京タワーや伏見稲荷といった国内の主要な観光都市の360度映像が登場します。

他にも歌舞伎や回転寿司、奈良の鹿や相撲、舞妓に嵐山の竹林と、伝統や日本らしさが詰まった内容となっています。

こういった動画やSNS、様々なキャンペーンを組み合わせることで、相乗効果が期待できるのではないでしょうか。少なくとも、日本という国について興味を抱くきっかけとしては、十二分なコンテンツだと思います。

日本の観光地や街並みを、ただ写真などで紹介する以上に魅力が伝わりますし、360度カメラの映りも手伝って、とてもオシャレに見えます。今後は日本という広い括りだけではなく、都道府県単位でもこのようなPR動画が出てきたら面白いですね。

訪日外国人観光客向けエンタメVR施設も

日本の主要な観光都市を疑似的に訪問するだけではなく、「日本といえば」を体験するVR施設も登場しています。その一例として東京の神田や京都には、「VR忍者道場」というものがオープンしました。

訪れた人は忍者となって、様々な訓練や修行を行い、最終的にはVR世界で敵と戦ったり、任務をクリアしたりします。神田の施設に関しては基本的に外国人専用となっており、観光に特化しています。

VR忍者道場に関しては別の記事でも詳しくご紹介しているので、そちらもご覧ください。これ以外にも、VRを用いた様々なエンタメ施設が日本全国に存在します。

新宿や大阪には大型VRアクティビティ施設も展開されており、こちらも多くの観光客から人気を集めています。これらに関しては訪日外国人観光客向けというわけではありませんが、その側面は非常に強いと言えます。

新宿のVRZONEでは「ドラゴンボール」や「ガンダム」、「ドラゴンクエスト」といった、世界的にも大人気なゲームやアニメをテーマにしたVRアクティビティを体験することができます。

当然これらのコンテンツを目当てにVRエンタメ施設を訪れる外国人観光客の方もいますし、他のアニメ同士や伝統文化とも組み合わせることで、多くの消費者ニーズに応えられる場所になるはずです。

大人気アニメやゲームタイトルには事欠かない国だからこそ、体験型VR施設は他の国以上に大きな観光資源となりうるでしょう。大型テーマパークや遊園地を一から作り上げるよりも、場所やコストを必要としなさそうな点も魅力です。

これまで観光資源が少なく困っていたような都道府県でも、VR施設の導入によって観光客が増加した、なんていう例も今後は出てくるかもしれませんね。

VRは旅の不安を和らげる

ここまではVRの楽しみ方や、VRと旅行の結びつきといったテーマに着目してきましたが、VR技術が活躍できる場面は他にもあります。

そのうちの一つが宿泊です。旅をする上で、身体を休めることになるホテルをどこにするかというのは、とても大きな問題です。特に海外の人の場合、平均的に日本人より身体が大きいこともあって、日本のホテルが小さいと感じることも少なくありません。

しかし宿泊施設が360度カメラやVR動画で撮影した映像を宿泊予約サイトなどにアップロードすれば、消費者は事前にミスマッチを防ぐことが可能となります。

思ったより狭かった(広かった)、汚かった(綺麗だった)のギャップを少しでも減らすことで、トラブルの減少にも繋げられます。他にも、タクシーや電車といった交通手段の仕組みを、事前にVR映像で把握することができれば、いざ訪れた際に迷うことも減るでしょう。

これはアウトバウンドに関しても言えることで、日本人があまり訪れたことのない国や、文化に馴染みがない国を想定してVRデータが作られたら、旅先でのトラブルを回避できるのではないかと思います。

このように、VRは旅を楽しくするだけではなく、旅を安全にする役割も担えるのではないかと考えています。

オリンピックの際には大勢の外国人観光客がこの国に訪れると予想されていますが、不要な混乱を避けるために、VRにできることがまだまだあるかもしれません。

終わりに

観光業や旅行業において、VRが活躍できる場面は無数に存在します。今後は海外でも、観光客獲得のためにVRを取り入れる例がどんどん増えてくるかもしれません。日本も2030年までに外国人観光客6000万人突破という目標を政府が掲げましたが、この目標の達成には、VRの力が不可欠だと思います。

Like@Wrap
Follow@Wrap

スポンサーリンク

特集記事

theta
VR関連データ・統計
VR オフィス
VR インタビュー