店内に商品がない、ARを利用した「仮想店舗」がロンドンでオープン

筆者:阿久津 碧

ブロックのおもちゃで有名な、デンマークの玩具会社であるLEGO(レゴ)の公式洋服ブランドLEGO wear(レゴ・ウェア)とスナップチャットが、店内に“服がない”洋服店をオープンしました。このお店はロンドンに期間限定でオープンされましたが、洋服店なのに服がないというのは一体どういうことなのでしょうか。最新技術を利用した近未来を思わせる「仮想店舗」について、その魅力や可能性などを今回はご紹介していきます。

レゴ・ウェアとは

おもちゃコーナーには必ずと言っていいほど陳列してある「レゴ・ブロック」は、よく知っている人も多いと思います。前述した通り、そのレゴの公式洋服ブランドがレゴ・ウェアです。

日本のユニクロなどではたまにレゴとのコラボが行われ、Tシャツ等の商品が売られていることがありますが、公式であるレゴ・ウェアの商品が日本で買える場所は非常に限られているため、知っている人もあまり多くはないというのが現状です。

主に取り扱っているのは子供服で、上着からトップス、パンツ、帽子、スキーウェアなど、売られている商品は多岐にわたります。

公式サイトのオンラインショップでも日本から購入することは今現在できないため、Amazonなどの通販を利用するか、レゴランド内のショップで購入する以外は方法がないようです。

今回レゴ・ウェアは初の大人向け限定商品ラインの宣伝のため、ロンドンに期間限定でARを活用した仮想店舗をオープンしました。

洋服を置かない洋服店

ARは拡張現実のことを指しますが、現実の空間や景色にデジタルの情報を重ねて表示できることが特徴です。今回レゴ・ウェアとスナップチャットがオープンした店舗の中には、一切商品が置かれていません。

あるのはスナップコードという専用のQRコードが記された台座のみで、利用客はコードを読み込んで画面越しに商品を見る必要があります。

コードを読み込むと、仮想店舗内に用意された以下のような様々なものを見ることができます。

・双方向型のDJブース

・レゴの形をしたエア遊具

・アーケードゲーム機

・購入可能な限定商品

何もない店内で誰もが画面越しにショッピングを楽しむという光景は、今はまだシュールに感じるかもしれませんが、そんな店舗が当たり前になる時代はそう遠からず来るかもしれません。

ブランドとファンを繋げる新たなプラットフォーム

レゴのグローバルソーシャルメディアイノベーション責任者レア・サンデル氏は、ブランドファンとの交流を目的として今回のような試みに前向きな姿勢を見せています。

同社は今回の試みで大人向け限定コレクションを立ち上げると同時に、新たな販売経路を開拓することで、ブランドの魅力をさらに引き出す実験を行っているのかもしれません。

ブロックを組み立てるときに想像力を発揮するように、ブランドの持っている力とARやVRのような技術を上手に組み合わせていくことで、ファンとブランドを繋ぐ新たなプラットフォームが出来上がるのでしょう。

世界に広がる仮想店舗

スナップチャットを開発したSnap Inc.(スナップ)のEMEAクリエーティブ戦略部門ディレクター、ウィル・スクーガル氏は、今回のような仮想店舗は世界中で利用可能だと主張しています。

今回レゴ・ウェアがオープンした店舗では、スナップの『レンズ・スタジオ』というソフトウエアを活用して、ARで買い物が体験できる世界を構築しています。このような仮想店舗の魅力は顧客自身が店内を探索できることと、いつでもどこにでも開設できるという点にあります。

一見店内に商品がないというのは不思議な感じもしますが、新鮮なことでもあります。画面を通すことでそこにはないはずの商品が映し出され、ショッピングが楽しめるのは、宝探しをしているような気分にさせてくれるかもしれませんね。

オンラインショッピングとは違い、360度商品を観察できるのも魅力ですね。また、仮想店舗は場所を選ばずにオープンすることができます。

実際に新しい店舗を立ち上げようとする場合、テナント代や人件費といった費用がかかるのは避けられませんが、仮想店舗であればARやVRの機能を使ってそういった費用を抑えることが可能です。

ARの機能を使えば、自宅で靴や洋服などをフィッティングすることができたり、VRの世界でショッピングを楽しんだりすることができるため、ブランド側としてもそもそも実店舗を出店する必要がなくなるかもしれません。

人々に新しい形でのショッピング体験をしてもらえることと、電子商取引が融合することで、売り上げの向上に繋がる可能性もあります。

最近では、大手オンラインショッピングサイトのAmazon.comが、自宅にいながら仮想世界で服を試着できるARアプリを開発しているという話も出ているほど、たくさんの企業が仮想店舗に興味を示しているようです。

これからは洋服店だけでなく、靴や帽子、メガネ、はたまた食器や調理器具などの様々なものが仮想店舗で売られる時代が来るかもしれません。

終わりに

インターネットの進歩によって、自宅にいながら多くのことができる時代になりましたが、それだけに留まらずARやVRの技術によって私たちの生活はより便利になっていくのだと思います。今回ご紹介したような仮想店舗が自宅でも体験できるようになれば、様々な事情で実際に買い物に行くことができない人でも、ショッピングを楽しむことができるのではないでしょうか。スナップのウィル・スクーガル氏が言うように、いつでもどこにでも出店できるのが仮想店舗最大の魅力であり、その魅力は底知れない可能性を秘めたものだと感じました。

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