ARでメガネ試着。iPhoneで実現するバーチャルフィッティング
買い物をする際、気になるのはその商品が自分に合うかどうかです。特に普段身に着けるものだと、実際試着してから買いたいですよね。今回はARでメガネを試着するサービスというのを見つけたので、そちらを紹介しつつ、AR店舗のこれからについて考察していきます。
iPhoneの3Dマッピングを利用してAR試着
iPhoneX以降で利用することができる3Dマッピング機能を利用してメガネを試着するというサービスを、米国のブランド「Warby Parker」が導入しました。
これまでも気になる靴をARで試着する「Wanna Kicks」というアプリがありましたが、今回はそのメガネ版ともいえます。
今回のメガネ試着もアプリのダウンロードが必要で、その中から自分が気に入ったメガネを選びます。メガネが決まったら画面を下にスワイプして、フロントカメラを起動しましょう。
すると3Dマッピング機能を利用して、ARでのメガネ試着が可能となります。細部まで精巧に再現されたAR映像は実にリアルで、まるで本当にメガネを試着しているかのような自分の姿が映し出されます。
ディティールはもちろんのこと、顔を動かしたり角度を変えたりしてもAR映像はしっかりとついてきます。
正面からの試着姿だけではなく、様々な角度からの様子を確認でき、自分に似合うかどうかをじっくりと確かめられるので、とてもオススメです。
ネットで買い物をしたいけれど、どうしても試着をしたいという願いも叶えられるこのアプリは、インターネット経由の消費を加速させるのではないでしょうか。
出不精でも確実な買い物ができる
このサービスがあれば、普段あまり外に出かけない人や、店舗へ行くのに緊張してしまうという人でも容易に買い物を済ませることができます。
気になっているけれど店員さんに話しかけられたくない。落ち着いて一人でフィッティングしたいという人にもぴったりです。
仕事が休みの週末に、わざわざ混んでいる複合施設に足を運ぶ必要もありません。いちいち付けたり外したりする手間もないので、好きな態勢で、好きなだけ試せるというのも魅力的ですね。
お店側としてもありがたいサービス
このサービスは店舗側にとっても大きなメリットとなります。テナントが狭くて、今までは取り扱いできなかったような商品も、オンライン上であれば余すことなく紹介できます。
接客に携わるスタッフも必要ないので、人件費の削減にも繋がるでしょう。
こういったシステムがさらに進化すれば、店舗の消滅を加速させることになるかもしれませんが、ビジネスの上ではとてもプラスのことなのではないでしょうか。
テナント代、人件費をカットすることができますし、在庫管理も一括で行えるので供給も簡単です。せっかく店舗まで足を運んだのにお目当ての商品が売り切れていた、というシチュエーションもなくなるかもしれませんね。
そもそも近くに店舗がない場所に住んでいる人にとっては、オンライン上のプラットフォームが発達することにメリットしかありません。
メガネの場合であれば、実店舗は視力測定などの一部サービスに限定化し、テナントを小型化してスタッフを少数にしても問題なさそうです。
全員が全員、インターネットやARを使いこなせるわけではないので、あくまで将来的な予測に過ぎませんが、既に仮装店舗やAR試着の前例はいくつもあるので、そう遠い未来の話ではないのかもしれません。
ただ、試着をするために商品を発送することや、気に入らなかったという理由で返品される確率も減っていくと思うので、プラスの側面が多分にあるのは間違いないでしょう。
配送手段という課題
仮装店舗やAR試着、オンラインショッピングが発達したとき、心配なのは配送技術です。
現在でも配送業者の負担が問題視されていますが、ネットでの買い物が加速したら、その負荷は益々深刻なものになりかねません。
技術の発達を喜ぶ一方で、それを支えるインフラなどの見直しも大きな課題となるのでしょう。
現在はドローンによる荷物の配送などを行う例も出てきており、この部分も人間以外の力を頼る場面が増えてきそうです。
2018年10月には国土交通省から、離島や山間部等での無人航空機による荷物配送の実現を目指し、官民一体となって取り組んでいるという内容が発表されました。
出典
「報道発表資料:ドローンによる荷物配送が始まります!~効率的な荷物配送の実現に向けて~ – 国土交通省」
これはまだ一部地域での話ですが、今後全国的に行われることになれば、配送業者の負担を大幅に減らせるかもしれません。
一方で引きこもりの心配も?
配送技術の他に「引きこもり」という問題も考えられます。現在でも日用品や服など、欲しいものは自宅にいながら何でも手に入ります。
反対に、店舗の方が売り切れていたり値段が定価だったり、あるいは他の人に商品を触られているなどの理由から利用を避けているという人もいます。
どういった手段を選択するかは当然個人の自由ですが、これが極端なところまで加速して、人同士の付き合いが希薄になるのは少し怖いことだと考えています。
極端な発想をすれば、隣に住んでいる人の名前も分からなかったり、自分が倒れても誰も気付かなかったりするということもありえてしまうわけです。それは間接的に治安悪化や、孤独死といった問題にも繋がりかねません。
技術そのものは悪いものではありませんし、発達することで便利になることや、人が救われることは確実に増えるはずです。
しかし、何も考えずにそのことを流すのではなく、変わっていく世の中の動きをしっかりと諦観できるように心がけるのが大切なのではないかと感じました。
終わりに
幼い頃は映画の中でしか見たことのなかった技術が、着々と現実のものとなってきています。その便利さに感動する一方で、自分はこの技術と上手に付き合えるだろうかと、心配な気持ちも覚えます。素晴らしいものを素晴らしいものとして。画期的なものを画期的なものとして使うことができるかどうかは、一人ひとりの手に委ねられているのかもしれません。
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