ついに発表された新型THETA「RICOH THETA Z1」。既存モデルとの違いは?
リコーが販売している360度カメラ「THETA」シリーズは個人・法人を問わず多くのシーンで利用されていますが、今回そのシリーズの最新作となる「RICOH THETA Z1」の発売が決定しました。これまでのシリーズとの違いや、進化した点などについて見ていきましょう。
大幅に進化したTHETA
これまでスタンダードなモデルとして販売されてきた「RICOH THETA SC」や、ハイエンドモデルとして売り出されてきた「RICOH THETA V」は出力画素数1400万画素というスペックです。
それぞれ画素数だけで見ると決して高いといえるものではありませんでしたが、今回の「RICOH THETA Z1」は公式サイトの製品紹介によると2300万画素を誇っており、大幅な進化を遂げています。
そもそもTHETAは2013年に世界初の全天球カメラとして発売が開始されましたが、VRなどにも対応していたことで、当初からカメラファンやVRマニアから多くの注目を集めていました。
老舗のRICOHが開発しているということもあり、技術や性能は折り紙付きです。初めて全天球カメラを購入するという人はもちろん、既にある程度カメラを使い慣れているという人に対しても自信を持ってオススメできる機体といえるでしょう。
そんな同シリーズの最新作となるZ1は、これまでのシリーズにはなかったような新機能がいくつか搭載されています。一つは撮影機能で、Z1では絞り優先機能を搭載しています。
これによって、ボケ味のある写真を撮ったり、写真に遠近感をもたせたりすることができるようになりました。また、大幅に解像度も向上したことで、ゴーストやフレア、フリンジなども抑えられるようになりました。
保存方法でも進化が見られます。Z1では初めて、RAW(DNG)での保存が可能になったのです。RAWとは簡単に言うと、圧縮などをしない生の状態で写真を保存する設定のことです。詳細は後述しますが、この機能によって写真や動画編集の可能性が大きく広がったと思います。
そんな新機能が盛り沢山のRICOH THETA Z1ですが、価格は12万円前後で、これまでのシリーズで最高価格となっています。
その他の詳しい製品情報は公式サイトからも見ることができるので、よければそちらもご確認ください。
新たに有機EL情報パネルを搭載
RICOH THETA Z1に挙げられる他の特徴として、有機EL情報パネルの搭載があります。これもこれまでのTHETAには存在しなかったもので、THETAの操作性を大きく向上させる役割を担っています。
このパネルでは残りの撮影可能枚数や露出設定、バッテリー残量や現在の撮影モードなどを確認することができます。カメラ初心者の人などは、自分が今どういった設定で撮影をしているのかを把握するのにも苦労しがちです。
パネルによってそれを視覚的に確認することができるのは、とても親切な設計だと言えるのではないでしょうか。尚且つRICOH THETA Z1の場合、パネルや新機能を備えながらも、大幅なサイズアップはしていないのも魅力です。
従来の機種と比較すると、一回り程度は大きさや厚さが増している印象ですが、別段持ちにくさや取り回しにくさというものは感じず、手に馴染む印象です。
様々な新機能を盛り込みながらも、十分な操作性と携帯性を担保できたのは、やはりRICOHならではかもしれません。
RAW保存で導入する層も増えるか
今回のシリーズで初めてRAW保存をできるようになったTHETAですが、個人的にはその影響が、どのように出てくるのかがとても楽しみです。これまでのTHETAは画質上の問題から、利用できるシーンが限られることもありました。
趣味やちょっとした制作、記録として使う分には必要十分な画質でしたが、フォーマルな場面やビジネスシーンで使用するとなると、どうしても苦しい部分が出てきてしまいます。
以前ご紹介した、報道現場で扱われているTHETAの記事でも同様のことがインタビュアーによって語られていました。しかしZ1はその課題を見事に克服しており、あらゆるシーンで活躍できる全天球カメラとしての性能を備えています。
RAWで保存できるということは、前述した通り編集の幅が広がるということです。生の状態で保存された写真には圧縮されていない様々な情報が乗っているため、大幅な編集を行っても画質を美しく保つことができます。
プロになればなるほど画像や動画編集にも力を入れるため、RAWで保存できるというのは必須条件でもあるのですが、Z1がそれを実現したことで、一眼レフなどで普段撮影をしている人やプロのカメラマンにも利用される可能性が浮上しました。
今以上に報道現場や映像作品といったジャンルでTHETAの活躍を見られる機会が増えるかもしれないと思うと、今からとても楽しみです。
あらゆる目的に対応したTHETAシリーズ
今回のRICOH THETA Z1の発売によって、入門、ハイエンド、プロ仕様が揃った形となりました。趣味で複数のTHETAを使う撮影や、初めて全天球カメラに手を出す人、あるいは仕事として本格的に使いたい人など、幅広い層をカバーしています。
SCやVの機能はちょっと物足りないと感じていた人は、これまでは他社の全天球カメラを検討するしかありませんでした。しかしZ1の登場で同じシリーズの選択肢が増えたので、使い慣れた操作性はそのままに、モデルチェンジを行うことが可能になりました。
これは市場においてユーザーを囲もうと考えたとき、とても重要なことです。今後更にプロ仕様のモデルやエントリー向けモデルを開発、販売しようとする際にも、RICOHの立ち位置を有利なものとしますし、大きな一歩だったのではないかと思います。
終わりに
これまでも360度カメラのパイオニアとして、市場に多くの影響を与えてきたRICOHのTHETA。その新シリーズの発売は、全天球カメラだけではなく、VR業界にも大きな衝撃をもたらすのではないでしょうか。映画の撮影や報道、創作や趣味、記録など幅広い用途に対応できる同製品の登場を待っている人は数え切れないと思います。
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