ダリやブリューゲル、ゴッホも。VR絵画でアートの世界へ

筆者:阿久津 碧

これからは絵画を眺めるのではなく、絵画の世界に入る時代になるかもしれません。VR技術によって実現したそのコンテンツは、今密かに注目を集めています。ダリやブリューゲル、果てはゴッホまで。様々な芸術家の作品世界に入ることのできるVRコンテンツは必見です。

絵の世界に入り込めるVRコンテンツ

VRを使って絵画の世界にも入り込む。そんな夢のようなコンテンツを動画サイトのYouTubeで楽しむことができます。

体験できるVR絵画は有名どころばかりで、誰もが一度は目にしたことのあるような作品が多数です。

こちらはシュルレアリスムといえばでお馴染みのサルバドール・ダリの作品をVR映像化したものです。

まるで本当に作品世界に入り込んだかのような没入感を味わうことができます。VRヘッドセットを用いずとも動画は見られるのですが、その状態でも不思議な感覚を味わうことができます。

他にも、こちらはゴッホの作品をVR化したものです。

「星月夜」という作品の世界に入れるコンテンツですが、途中にはゴッホの別の作品「ファン・ゴッホの寝室」も登場します。

こちらもやはり、本当にゴッホの寝室に入って、星月夜の世界を眺めているような気持ちになります。作品の中で描かれている家の一つ一つも非常にリアルで、住人が飛び出してきそうな臨場感を味わえます。

何よりも印象的なのは星空です。絵画を鑑賞しているときには正面からしか見ることのできない星空を、地面からの視点で楽しむことができるのです。

渦を巻いたような独特のタッチと、繊細な油絵の具の質感、色合いを多角的に観察することができ、ファンにはたまらない内容となっています。

お次はピーテル・ブリューゲルの「叛逆天使の墜落」です。

こちらは他の2作とは違い、立体的な絵画をVRで鑑賞するタイプの作品です。

作品に対する解説が英語で付いているのと、作品に独特の動きが加わっているのが特徴です。

これまでとは違う美術品の楽しみ方

VRヘッドセットを通して鑑賞することで、これまで美術館で絵画を見るのとは全く異なる視点で作品を楽しむことができるようになりました。

美術品や画家には興味がないという人でも、この方法でなら楽しめるかもしれません。

展示されている絵をただ見つめるだけではなく、その絵の世界に入って作品を鑑賞するというのは、ある種夢のような体験です。

平面的な視点から作品を見ていたときには気付けなかったような発見もあるかもしれませんし、更に作家や作品を好きになるきっかけが見つけられそうです。

絵画だけではなく、歴史的な写真の世界に入り込むことのできるコンテンツなども増えれば、歴史や写真に対する興味というのも上手に育むことができそうです。

美術教育への応用も

絵画世界に入り込めるようになったことで、美術教育にも新しい風が吹くかもしれません。例えば絵にどうやって奥行きを持たせるかを教える際、実際に絵の世界に入ることができれば伝えやすいと思いますし、生徒も体感しやすいはずです。

色の使い方なども同様です。濃淡の説明や細かい技術解説を行う際、より詳細で直感的な説明がしやすくなるのではないでしょうか。美術というセンスや感覚に依存するジャンルだからこそ、作品と近い場所で技術を学ぶということが重要になるのではないかという印象を受けました。

VRと美術

VRと美術の関係性は既に深いところまで築かれており、様々なシーンで見られます。日本経済新聞と株式会社カヤックが共同で開発した、「Art Immersion Technology」(AIT)もその一つです。

これは、画家が作品を書く際に見ていた、絵に収まりきらなかった部分(世界)をVRで再現するというコンテンツです。2018年の9月に発表されたこの開発も、美術マニアとVRマニアの間で話題となりました。

対象となったのは19〜20世紀のフランス人画家、ピエール・ボナールです。国立新美術館の協力を受け、日経ナビゲーション・ラボ(日本経済新聞社の研究室)がピエール・ボナールの描いた作品のモデルとなる地を調査しました。

これによって、絵画には描かれていない部分も体験することができるようになったのです。絵として切り取られた部分には画家の意図やセンスを垣間見ることができますが、それ以外の部分も見ることができれば、より一層作品そのものを楽しむことができそうですよね。

何故その景色の中からこの部分を切り取ったのか。描ききれなかった部分に後悔や未練はあるのか。そんなことを想像しながら作品を鑑賞するのも面白そうです。

ピエール・ボナール以外の作家でもこういった試みを行うことができれば、美術品展示の新しい形として注目を浴びるのではないでしょうか。絵画として描き出された部分と、それを補助するVR映像をセットにしたアートなんていう考え方もできそうです。

終わりに

私も年に数回は美術館へ足を運ぶのですが、「この絵の中にはどんな世界が広がっていて、キャンバスで見えない部分にはどんな景色が隠れているのだろう」と想像してしまうことがあります。今回のVRコンテンツは、そんな疑問や欲望を叶えてくれる魔法のようなものだと感じました。これまで美術に興味がなかった人も、VRを入り口にして、美術作品や美術館に興味を抱いてくれるかもしれませんね。

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