仮想現実内で監督に。誰でも気軽にVRストーリーを作れる『Mindshow』

筆者:阿久津 碧

VRゲームやARアプリを普段使用はするものの、それらを作るなんて考えたこともない。VRに詳しい人であっても、大半はそうなのではないでしょうか。しかし今、誰でも簡単にVRストーリーを作ることのできるアプリがあります。「Mindshow」では仮想現実内で自由にキャラクターを動かし、役を演じ、出来上がったストーリーを共有することができます。今回はこのアプリについて詳しくご紹介していきたいと思います。

トラッキングを利用して演者の動きを抽出

Mindshowでは、トラッキングというシステムを用いて演者の動きを3DCGキャラクターに読み込ませることができます。トラッキングシステムとは、現実世界にいる被写体の動きを抽出し、CGで再現することです。

VTuberの中には、実際にトラッキングシステムを用いてキャラクターを動かしているパターンも多くあり、この言葉自体聞いたことがあるという人も増えているのではないでしょうか。

トラッキングという言葉自体は様々なジャンルで幅広く使われており、その意味を混同されがちですが、MindshowにおけるトラッキングはCGや映像に関する用語として認識すればおおよそ問題ありません。

Mindshowではこのシステムを利用してキャラクターを自由自在に操ることができます。ストーリーを作ることだけではなく、演じる楽しさも味わえるのが魅力と言えます。

VR動画を簡単に作れる

タイトルにもあるように、Mindshowでは誰でも気軽にVRストーリーを作ることができます。ただし同アプリはHTCとValve Corporationが共同開発したHTC Vive向けに作られているため、自身の持っているVRデバイスに対応しているかどうかを、事前に確認する必要があります。

アプリ内では様々な舞台が用意されており、自分の好きな世界観を選ぶことができます。キャラクターや小道具なども用意されているため、その中から必要なものを選んですぐに動画作成に入れるのも手軽なポイントです。

動きを記録したキャラクターに声を当てることもできるので、完成度の高いVR演劇を楽しめるでしょう。

共有するという楽しみ方も

作成したストーリー動画は全世界に共有することができます。VRで見ることももちろんできますし、2D動画としても閲覧が可能です。用意された道具の中から選んで作り上げた自分だけのストーリーを、家族や友達、あるいは遠い国の誰かと一緒に楽しむことができるなんて、わくわくしますね。

自分が考えたストーリーを展開するだけではなく、家族や友達、大切な人へプレゼントするためのサプライズ動画としても利用できるでしょう。現在は用意された舞台やキャラクター、小道具の中で物語を作ることしかできませんが、こういったものも自分で作成できるようになれば活用の幅も広がりそうです。

2017年に製品版がリリースされたMindshowですが、既にYouTubeには多くの人が作ったオリジナルストーリーが投稿されているようなので、気になった方はぜひそちらもチェックしてみてください。

Mindshowの遊び方

Mindshowの魅力は、アプリを無料でダウンロードができるところにもあります。せっかく安価で手に入れたVRデバイスがあっても、利用するソフトウェアが高ければなかなか手が出ませんよね。Mindshowはホームページで無料、それも簡単にダウンロードすることができるので、気軽に始められます。

ダウンロードが済んだら、ストーリーに登場させたいキャラクターを選択するところから始まります。キャラクターを選び、設置して、自分の望む世界を組み立てていきます。

世界観のセッティングが完了したら、役を演じたいキャラクターに入ります。トラッキングシステムによって、現実世界で動いた通りにキャラクターが動いてくれます。動きだけではなく、声や表情も工夫して自分だけのストーリーを作り上げていきましょう。

また、ストーリーはリアルタイムで録画できます。録画した動画は後からチェックしたり、先述したように誰かと共有したりすることができます。

どのように操作するのかは紹介動画でも見ることができます。ホームページは全て英語で書かれていますが、使い方に関しては画像と合わせて簡単な英語で書かれているため、比較的分かりやすくなっています。

Mindshowの紹介動画はコチラ

Mindshow HPhttps://www.mindshow.com/

誰もが表現者に

Mindshowについて調べていく中で私は、誰もが表現者になることのできる未来を想像しました。人の趣味は千差万別です。本を読むことが趣味という人もいれば、料理をすること、絵を描くこと、スキーをすることが趣味という人もいます。

そして未来には、仮想現実内で動画を作成するのが趣味という人も出てくるのではないかと思いました。何かを作り出したい、表現したいという人はいても、その何かがわからなかったり、術がなかったりしてできないという状況もまた多くあるはずです。

しかし今回ご紹介したMindshowのようなアプリは、そんなもやもやした思いを抱えた人たちにチャンスや術を与える手立てになるのではないかと感じました。そこから実際にVR空間を自分で作ってみたいと考えるようになる人もいるでしょうし、積極的にもっと物語を想像してみたいと思うようになる人もいることでしょう。

誰もが表現者になるチャンスを、技術が進化することによって手に入れられる。そんな未来の光のようなものをMindshowから感じることができました。

終わりに

仮想現実の中では様々なことを体験できます。忍者修行をしたり、戦場に出て戦ったり、現実では体験し得ないことを体験させてくれるのがVRです。漠然と何かを作ってみたいと考えている人には、Mindshowのような、監督や、あるいは「何か」にならせてくれるアプリが自分の可能性を広げてくれるのではないでしょうか。

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