子どもの成長をVR映像で記録し、体験できるコンテンツが始動

筆者:阿久津 碧

子育ての記録を残すということは両親の一つの楽しみであり、後になって残る、形としての大切な思い出でもあります。ビデオカメラや携帯のカメラなども高性能化した今、どのような方法で記録をするかということも重要なテーマとなっています。そんな選択肢の一つに、VRという方法も加えてみてはいかがでしょうか。

子どもの成長を主観的に記録できるサービス

株式会社シータ(東京都新宿区、代表取締役:鈴木雅彦)は、VR映像で子どもの成長を記録し、追体験できるサービス、「Baumkuchen.me(バームクーヘンドットミー)」のサービス提供を開始しました。

このサービスは実写VRコンテンツプラットフォームと名付けられており、全く新しい成長記録の保存方法として、その有用性を市場に呼びかけています。

・特定の時間の流れ

・空間ごとの切り取り

・事象の一部分ではない全体の保存

上記のような「記憶を体験するための記録」としての保存が従来は不可能だった点と、その重要性がプレスリリースでは語られています。

考えてみれば、思い出や記録を「体験する」という概念自体をこれまでは持ち合わせていなかったというのが、正直なところです。

思い出はあくまで思い出。ホームビデオをデッキに入れて見直したり、写真アルバムを眺めたりすることはあっても、それ自体を体験するなんていうことは想像もしていませんでした。

それを実現することで、より明確に過去の記憶や出来事を振り返るということが、このプラットフォームのコンセプトとなっており、それ自体は全く新しい考えや方針だと感じさせられました。

ホームビデオの進化系

方向性は若干異なる気もしますが、言うなればこのサービスはホームビデオの進化版と考えることができるのではないでしょうか。

決定的な違いとして、「見る」か「体験する」というものがありますが、その体験は親にとっても子どもにとっても重要なものとなるでしょう。

母親は育児に夢中で、子どもの細かい成長には気付かないということも珍しくありません。よく聞く話で「気付いたら小学生になっていた」、「必死に育てていたらあっという間に大きくなっていた」なんていうものがありますが、これらは大袈裟な表現ではなく、事実としてそう感じたのでしょう。

それほどに育児は大変なもので、同時に子どもの成長はあっという間なのです。しかし後になってから「もっと子どもの成長する様子を主観的に、それでいて第三者的に見られればいいのに」と思う人は一定数存在するでしょうし、その需要はサービスとして立ち上げるのには十分なレベルではないかと思います。

一番近くにいる母親でもそう感じるわけですから、仕事であまり家にいない父親や祖父母、親戚などは尚更そう感じるはずです。最後にお盆に会って、正月に再会した孫が驚くほど成長していた、なんていう話はどこの家庭でも聞くことができそうです。

バームクーヘンドットミーは、そういった驚きを、写真などの断片的なデータではなく、体験として届けることもできます。従来の記録手段が持っていた手軽さを損なわずに、より深い情報を共有できるという点では、代替できない手段なのではないでしょうか。

過去の追体験が子どもにもたらす効果

思い出を追体験できることの意義は子どもにとっても大きなものです。むしろ私は、子どもにこそ過去の記録を積極的に見せていくべきではないかと思っています。

「両親に、どのような愛情をかけて育ててもらったか」

「兄弟・姉妹たちと、どのように遊んでもらったか」

「今は亡き祖父母と、どんな生活をともにしたか」

上記もプレスリリースからの引用になりますが、バームクーヘンドットミーを通してこういったことも子どもに伝えることができます。愛情の感じ方というのは親の気持ちではなく、子どもの受け取り方に左右されるものです。

どれだけ親が我が子を愛していても、その子の感じ方やふとしたきっかけで、「私は愛されないで育ってきた」と思うようになってしまうことも当然あるでしょう。

そんなとき、このサービスはとても大きな効果を発揮するのではないかと思います。写真や動画よりも分かりやすく、直接的に「愛されてきた」という実感を与え、自己肯定感に呼びかけてくれると思います。

手軽さという課題

一方でバームクーヘンドットミーは、手軽さという面においてはまだ課題を抱えている気もします。記録の際には出張撮影と店舗撮影から選び、当日はプロのカメラマンに撮影してもらいます。

プロのカメラマンに撮影してもらえるというのは間違いなく利点ですが、同時に手軽さを欠いたとも考えられます。当然ですが、スマホを取り出して写真や動画を撮影するような感覚とは違うので、全てのシーンに対応できるわけではありません。

同時にこれは、従来のような記録手段と住み分けたとも考えられます。ホームビデオや思い出の写真に取って代わるのではなく、その両方を上手に併用することで、初めて空間や記録、記憶を完全なものとして保存することができるようになるのかもしれませんね。

だからこそ、写真館で人生の節目に写真を撮るような感覚で、特別なとき、特別な気持ちに合わせてこのサービスを利用してみてはいかがでしょうか。

終わりに

VRの登場で思い出の残し方は進化し、より鮮明に空間を保存できるようになりました。ホームビデオを見るような感覚とは異なる、過去を体験するようなサービスが実現したのです。場面や状況に合わせてこういったサービスを使い分けることで、曖昧な過去や色褪せた思い出のない、真空保存された記録が揃えられるようになりました。その価値は、私たちが考えている以上のものなのかもしれません。

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