離れた場所にいても同じ体験ができる。現代に登場した未来型交流

筆者:阿久津 碧

お互いが別々の場所にいても同じ体験ができるというのは、SFの世界ではおなじみかもしれませんが、ついにそれが現実世界でも体験できる時代が訪れるかもしれません。遠く離れた場所にいる人物が、まるでそばにいるかのような状況を作り出し、遠隔でのコミュニケーションを可能にした技術が開発されました。

遠隔共有技術とは

今回凸版印刷株式会社とTIS株式会社が共同開発したのは、遠隔共有技術と言われるものです。遠隔共有技術とは簡単にいうと、「時間と場所を超えて説明や指導を可能にする技術」です。

出典

「凸版印刷とTIS、離れていても体験を共有できる技術を共同開発」

この技術ではVRとARを組み合わせたXRを利用することで、物理的に遠く離れた場所にいる人同士がコミュニケーションを取ることが可能になります。現場作業員と指導者の情報共有であったり、遠隔から観光地のガイドを行ったりするなど、ビジネスの場では幅広く活用できそうですね。

ビジネスに留まらず、こういった技術が個人利用できるようになれば、人々の生活にも新たな広がりが生まれそうです。

VRとARを組み合わせたリアルタイム体験共有

遠隔共有技術は従来のVRの活用方法とは異なり、違う場所にいる人同士がリアルタイムで同じ体験を共有できるという特徴があります。遠隔共有技術と一言で言われても、一体どのような技術なのか想像するのが難しいですよね。

ビジネスの場でVRを活用したとき、従来であればVRで研修等を行ない、技術を学んだのち実作業に移ることになります。しかし一度や二度VRで学んだだけでは、記憶が曖昧になってしまう部分があることもしばしばです。

人間ですから当然すぐに作業を完璧に行えるようになるということはなかなかありません。しかし今回開発された技術を使えば、VR空間で作業指導をしながら、その姿を作業員がARで見て行程を学習・実践が行えるようになります。

それぞれの役割を持つ人たちが同じ空間にいる必要はありません。指導者はオフィスにいながらVR空間で指導を行い、作業員は現場にいながら確実な指導を目の前にして学ぶことができます。

実際にガイドされながら作業を行うのと、曖昧な記憶で作業を進めるのとでは仕事の質は格段に変わってきます。作業を覚えるスピードも変わってくるでしょう。

これは遠隔共有技術のほんの一例に過ぎませんが、実用化されることで日々の中で効率化される部分は数多くあるでしょう。

遠隔共有技術が活きるシーン

先述したシーンの他にも、遠隔共有技術が活きるシーンはまだまだあります。

観光施設案内

日本には様々な観光施設があります。博物館や記念館など、歴史やその土地の文化財に特化したものを展示する建物の中でも、遠隔共有技術は活用できます。現地ではガイドを行うキャラクターをARで投影し、観客と一緒にガイドが園内をまわってくれるというシステムなどが方法としては浮かびます。

観客は園内の作品や展示物を楽しむだけでなく、リアルタイムで共有される情報を楽しみながら園内をまわることができるでしょう。

ライブやコンサートの拡大

遠隔共有技術を使えば、ライブやコンサートの規模を拡大することもできるでしょう。抽選に外れた人や、事情により会場へ向かうことができない人でも遠隔共有技術を使って、映画館、あるいは自宅などでライブやコンサートを鑑賞することができるようになります。

映画館のような暗い会場で、アーティストをARで出現させれば、雰囲気はばっちりですし、音響設備も整っているのでライブ感をリアルに出すことが可能です。リアルタイムに環境を共有できるため、アーティスト自身も会場にいる観客だけではなく、遠く離れた場所で盛り上がる観客に声をかけることもできます。

機材さえ揃えれば自宅でも好きなアーティストを間近に感じることができるようになるかもしれません。もしそれが可能になったら、どんな人でもライブやコンサートを楽しむことができるので、参加するハードルも格段に下がりますね。

習い事を遠隔で

この技術を使って習い事やトレーニングを遠隔で行うこともできるのではないでしょうか。少し変わった趣味があり、それについて講習を受けたいけれど、近くにレッスン会場がない。そんな場合もあると思います。

私自身趣味の中にチェスがあるのですが、住んでいる地域にはチェス教室がなく困っていました。通うためには電車を乗り継いだり、ある程度自宅から離れた場所に通ったりしなくてはいけません。

しかし遠隔共有技術を使えば、自宅でも指導を受けることが可能になります。分からない場所があってもその都度講師に質問できますし、講師自身もより多くの生徒獲得ができるようになります。

将棋やチェスのように、実際に誰かとプレイしながらルールを学んだり、定石を覚えたりする必要がある趣味には遠隔共有技術が実用的だと思いました。

終わりに

今後凸版印刷とTISは遠隔共有技術の社会実装に向けて、独自コンテンツの作成や改善を行っていくそうです。さらには観光分野に向けた実証実験として、VR/ARコンテンツを用いた観光施設ガイドを行うなど、実用化に向けてどんどんチャレンジが行われます。今回のような技術の開発は、生活を豊かにしてくれるだけではなく、多くの人が新たなことにチャレンジできるチャンスをもたらしてくれるのではないかと感じました。

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