VRでポートフォリオが作れる。新型プラットフォーム「STYLY」

筆者:阿久津 碧

IoT化やインターネットの普及が当たり前になった昨今、クリエイターの課題は、どのようにして作品や自分をアピールするかという点にも集まっています。ポートフォリオサイトを作るか、FacebookなどのSNSを活用するなど、それぞれに工夫が見えます。今回はポートフォリオ問題に一石を投じる新型プラットフォームに「STYLY」についてご紹介します。

VRによるポートフォリオの作成

今回ご紹介するポートフォリオプラットフォーム「STYLY」はVRでポートフォリオが作れるという全く新しいサービスです。

「STYLY」公式サイトhttps://gallery.styly.cc

これまでもその利便性はクリエイターの間で話題になっていましたが、2019年2月のプレスリリースによると、大幅なリニューアルが行われたそうです。

一例としては、自分の持っているWebサイトに、既に公開しているVR空間を埋め込む機能が挙げられます。これまでVR空間をポートフォリオとしてまとめられるサービスはあまり多くなかったですし、個別に開示するというのが一般的だったと思います。

今回のアップデートによって、作品をサイトに埋め込めるようになったことで、独自に作成した3Dモデルや建築データ、ゲームやファッションデザイン、空間デザインといった多様な作品を一箇所に集められるようになりました。

他にも、アーティストや空間を、他のSNSのようにフォローする機能が搭載されたので、クリエイター同士の繋がりがこれまで以上に簡単なものになりました。

利用方法が簡単

「STYLY」の魅力は沢山あると思いますが、その中心となるものは何といっても使いやすさなのではないかと思います。

直感的な操作が可能

STYLYは直感的な操作を魅力としています。通常のサイト構築やポートフォリオページの作成であれば、ワードプレスなどを使っても、最低限のプログラミング知識が求められます。

対してSTYLYはVR空間のデザインがドラッグ&ドロップで完結するという単純さです。ポートフォリオページは作りたいけれど、知識も時間もない、という人にとってはマッチするサービスなのではないでしょうか。

多くのプラットフォームに対応している

STYLYは簡単に、それでいて多くのプロットフォームの作品を統合することが可能です。様々な作品の統合はポートフォリオ作りの課題ですし、この点が腰を重くしている要因でもあると思います。

写真作品、動画作品など、手がけているものも人によって様々ですが、STYLYは10以上のプラットフォームに対応しているので、Instagramにアップした写真から、YouTubeに投稿した動画まで、簡単に統合することができます。

他にも音声データや3Dモデルなど、とにかく作品を選ばずにインポートすることができるので、ネット上のあちこちに作品が散らばっているという人にも利用しやすいサービスです。

ポートフォリオの未来

かつてのポートフォリオは紙が主流でした。今でも業界によっては紙のポートフォリオが一般的に用いられていますし、私も郵送を求められた経験がここ最近でもあります。

しかしこれからの時代、特にWeb上で何かを作るクリエイターに対して、紙のポートフォリオを求めることはできなくなりますし、その行為そのものがナンセンスとなる時代が訪れようとしています。

「VRデータを紙で郵送して」なんていう会話が行われることは絶対にないように、現実的な問題が立ちはだかるからです。これが何を意味するかというと、ポートフォリオを作る側だけではなく、受け取る側の知識も求められるということです。

優秀な人材を確保したい、発掘したいと思うほどに、テクノロジーに迎合していかなければなりません。将来的にはこういったポートフォリオのプラットフォームや、表現の手段に疎いほど優秀な人材を逃すことになるでしょう。

フリーランスや個人事業主の発掘だけではなく、新社会人のリクルートにもこの影響は出てくるはずです。特に理系分野では、学生のうちから開発や研究に力を入れたり、成果を上げたりしている例がいくつもあります。

彼らがそういった成果をポートフォリオとしてまとめWeb上に公開しているにも関わらず、新卒採用というスタンスで応募を待っているだけでは競争に勝てません。

むしろ、待つしかない時代から、探し出せる時代になったとプラスに捉えることもできます。離れた場所にいる優秀な人材、海外に住んでいる技術者とも繋がれます。そして繋がれるだけではなく、オンライン上で仕事を頼んだり会議をしたりもできるようになりました。

積極的に企業の側からポートフォリオを探し出し、学生や優秀な人材に声をかけていく。こういう新しい就職活動、転職活動が将来的には行われると私は考えていますし、そうあるべきだとも思っています。

FAXが現役で活躍している企業や、契約書はクラウドサインではなく郵送。そういう環境が悪いとは思いませんが、加速していくテクノロジーと減っていく若者や人材ということを考えると、企業が嗅覚を尖らせるべき部分が見えてくるような気がしました。

終わりに

フリーランスで働いている人や芸術家の場合、私もそうですが、作品や能力をどうやって多くの人に知ってもらうかというのが一つの課題になります。それは単純にその後の可能性にも直結しますし、仕事などとも深く関わるからです。一方で技術という能力は人に伝えるのが難しいものでもあるので、こういったプラットフォームがどんどん整備されていくことで、仕事を貰う側、与える側の両方にとって大きな利益になるのではと感じました。

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