大型の1.0型イメージセンサーを搭載した、超高画質の最新360度カメラ「RICOH THETA Z1」実機レビュー!THETA SCとZ1で撮影比較も。

筆者: 編集部

株式会社リコーが発表した、360度カメラ「RICOH THETA」シリーズの最新機種「RICOH THETA Z1」。
写真愛好家やビジネス用途を想定したTHETAのハイエンドモデルです。
発売開始は5月になるようですが、先行してTHETA Z1の実機を入手しましたので、改めてZ1の特徴と、実機レビュー、そしてTHETA SCで撮影した360度写真との比較をお伝えします。

RICOH THETA Z1の特徴

まずはTHETA Z1の特徴についてお伝えします。

Z1専用のサイトも用意されていますので是非御覧ください。
また、過去にもZ1についてお伝えしているので、こちらも合わせてご覧ください。

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ついに発表された新型THETA「RICOH THETA Z1」。既存モデルとの違いは?
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高画質

なんといってもZ1の一番の特徴は高画質の360度写真が撮影できるということです。1.0型のイメージセンサーが搭載されている小型360度カメラは、現状世の中に存在するものはTHETAだけです。

こちらは発表会でも展示されていた、クリアケースのTHETA Z1。中身がぎっしり詰まっていることがわかります。
360度カメラで1.0型センサーを2枚入れようとするとこのTHETAの形状では通常は不可能で、もっと厚みをとる必要がありますが、それを可能にしているのが新開発のレンズユニットです。

THETA SCやTHETA Vなどの従来のモデルでは、イメージセンサーはレンズの両脇にありました。しかし、1.0型の大きさになるとレンズ横には収まりません。

普通であれば、カメラの厚みを増して対応するところでしょうが、リコー社はTHETAの現在の形状(持ちやすく、すぐ出せる)にこだわりました。
そこでZ1では、1.0型のイメージセンサーをレンズの真下の位置にし、新開発のレンズユニットによって光を3回曲げることによってイメージセンサーに届けています。

まさしくリコー社の技術の結晶と言えるでしょう。

光は曲げれば曲げるほど画質が落ちるため本当は曲げない方が良いのですが、それでも1.0型イメージセンサーがゆえに高画質を実現できています。

高画質な360度写真撮影が実現することにより、例えばいままでは高画質の写真撮影用に一眼レフやミラーレスカメラを一緒に持っていく必要があったケースでも、THETA Z1であればこれ1台ですむようになります。

また、利用ケースとしてはそこまで多くないかもしれませんが、THETA Z1で撮影した360度写真であればVRモードで閲覧しても高画質で楽しむことが出来ます。

動画

360度動画が4Kで撮影できるということ自体はTHETA Vから変わっていませんが、手ブレ補正のアルゴリズムを見直して強化したものがZ1から反映されています。(これはZ1だからということではなく、Vも含めてアップデートされます。)

また従来は動画ではオート撮影しかできませんでしたが、露出設定でAv(絞り優先)、Tv(シャッター優先)、ISO(ISO感度優先)、M(マニュアル)を選択可能になりました。

これにより、例えば従来では綺麗に撮影出来なかった夜の花火なども撮影可能になります。

撮影機能

続いては撮影機能についてです。

既存のHDR合成機能、マルチブラケット撮影も引き続き備わっており、HDR合成機能などは、画質がよくなっていることもあり、従来よりかなりくっきりと撮影できるようになっています。

HDR合成とは、ハイダイナミックレンジ合成のことで、通常の写真とは違って同じアングルでいくつもの露出の違う写真を撮影して合成することで、カメラのダイナミックレンジの限界を超えた写真を作ることができる機能です。

1回の撮影で露出条件の異なる4枚の画像を撮影して合成し、幅広いダイナミックレンジの画像を得ることができます。ただし、合成する関係上、手持ち撮影はできません。THETAを固定して撮影する必要があります。

また、インターバル合成機能がVではありませんでしたが、Z1では復活しています。

さらに、スマートフォンから設定した撮影条件をマイセッティングとしてカメラ本体に記録できる「マイセッティングモード」が追加されました。
静止画と動画それぞれで1つずつ撮影条件を登録でき、本体だけで切り替え可能となっています。本体で切り替えができることで、いちいちスマートフォン操作が不要になるため、利便性が向上しています。

2段階の絞り機構が内蔵されていることも特徴的です。
実は360度カメラ(のレンズ)には正面と背面があり、レンズとレンズのつなぎ目を周辺部と呼びます。この周辺部は、それぞれのレンズで撮影した画像をつなぎ合わせる(スティッチング)などの影響で解像度が落ちます。

通常絞り込むと感度上がってしまったりしますが、Z1では感度を保ったまま、周辺部の解像感の向上を実現しています。

その他

RAWデータで保存できる

従来のJPEG形式に加えて、RAW(DNG)+JPEG形式での保存ができるようになりました。
Wrapのこちらの過去記事に、

RAWで保存できるということは、前述した通り編集の幅が広がるということです。生の状態で保存された写真には圧縮されていない様々な情報が乗っているため、大幅な編集を行っても画質を美しく保つことができます。

プロになればなるほど画像や動画編集にも力を入れるため、RAWで保存できるというのは必須条件でもあるのですが、Z1がそれを実現したことで、一眼レフなどで普段撮影をしている人やプロのカメラマンにも利用される可能性が浮上しました。

今以上に報道現場や映像作品といったジャンルでTHETAの活躍を見られる機会が増えるかもしれないと思うと、今からとても楽しみです。

とご紹介したように、写真愛好家、プロの写真家の方向けの機能と言えます。

マグネシウムボディ

堅牢性のある、見た目にも高級感のあるマグネシウム性のボディもZ1の特徴です。

薄くても堅牢性を保てるため、THETAのコンパクトで薄い形状を維持するのにマグネシウムは相性のよい素材だということです。

また、丈夫で高級感があるということ以外に、熱を逃がしやすいという特徴があることもマグネシウムを採用した理由だそうです。THETAは小さなボディにたくさんのパーツが詰まっているため、どうしても熱をもってしまいます。それを逃しやすい性質をマグネシウムは持っています。

金属製の三脚穴

細かいポイントですが、三脚や自撮り棒を装着するTHETA底面の穴も、いままでは樹脂プラスティック製だったのが、金属製にかわりました。

従来では、自撮り棒をつけ外ししていると、接地面が壊れがちでした。しかし金属製になったことで、穴が壊れにくくなり、例えば三脚で何度も使う不動産ビジネスにおけるニーズなどに応えることが可能となりました。

RAW画像のスティッチングができるPCアプリ「RICOH THETA Stitcher」

RAW画像を編集できる、無償のプラグインが用意されています。こちらはいずれ実際に使ってみて別記事でご紹介したいと思います。

豊富なプラグイン

Z1の目玉のプラグインが、「レンズ別時間差撮影」です。

RICOH THETAのフロントレンズとリアレンズを時間差で撮影します。撮影していない方のレンズ側に移動することで、撮影者が映り込まない写真が記録できます

プラグインをインストールして撮影すると、まずフロントレンズで半面のレンズで撮影されます。そしてその数秒後に、逆のレンズで撮影することができるというものです。

これは何に利用できるかというと、フロントとバックの時間差数秒の間に人が移動できるため、360度写真にした際に、人が映らない写真とすることができます。すると、たとえば不動産の物件の360度写真を撮影したいときなど、撮影者が全く写っていない室内360度写真を用意できます。

裏技的ですが、逆に自分が二人写っているトリック写真として撮影することもできたりします。

今後はシングルレンズ撮影ができるようになったり、オキュラスに直接写真データを飛ばせるプラグインもでてくるとのことです。

THETA Z1を実際に触ってみた

THETA Z1の実機を入手することができたので、実際に少し触ってみました。

今までのTHETAと異なる点

見た目の大きな違いとしては、LEDのパネルが搭載されていることです。

いままでのTHETAシリーズでは、カメラ側面のボタンのライトで、モードなどを見分ける必要がありました。これは玄人ならともかく、素人にはなかなかわかりにくいものでした。

しかしZ1では液晶パネルにモードや設定値などが表示されるため、いちいちスマートフォンに接続しなくても確認可能であり、THETA本体だけで完結することが圧倒的な利便性につながっています。

セルフタイマーも本体でワンボタンで切り替えられるようになっています。実際に体験してみて感じましたが、カメラ操作でセルフタイマーに切り替え、すぐにその場に置いて撮影することもできるようになっているため非常に便利です。

たしかにTHETA SCと比較すると重量は感じますが、持ち運びやすさや使いやすさを阻害するものではなく、「高級感のあるずっしり感」という印象を受けました。

THETA SCとの画質比較

高画質がウリのZ1なので、従来のTHETA SCと画質を比較してみました。

こちらがTHETA SCで撮影したもの。

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA

そしてこちらがZ1で撮影したものです。

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA

いかがでしょうか?こうして並べてみると、Z1のほうが色が鮮明で、高画質であることがおわかりいただけるかと思います。

まとめ

いままでのシリーズと比較すると価格帯が高いZ1ですが、その分機能も高く、ビジネスで360度写真や360度カメラを利用するニーズに当てたものだということがわかります。

いままで、画質が低いことが理由で360度カメラに手を出せなかった方にとっては、このモデルは十分にビジネス要件を満たすスペックになるかと思います。

Z1は間違いなくリコー社の技術を集約させた製品であり、世界に誇れる日本の技術といってよいのではないでしょうか。

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