VR空間に触感が登場か。最新技術を活用したアイデアコンテストが開催

筆者:阿久津 碧

VRの進化は目覚ましく、仮想現実空間で体験できることの幅は日々広がっています。VR内で冒険をしたり、ショッピングをしたり、運動をしたり。将来的にはVR内で五感の全てが体感できるようになるとも言われていますが、その先駆けとして、ついに触感が体感できる時代が訪れそうです。

H2Lが研究開発中の触感体感技術

学習支援や技術習得支援の提供などを行っているH2L株式会社(エイチツーエル、東京都江東区)は現在、「BodySharing(ボディシェアリング)」という触感体感技術の研究開発を進めています。この技術は、ユーザーの身体の動きをロボットやVR・AR上のキャラクターに伝えて操作したり、反対にロボットやキャラクターから伝える信号をユーザーが触感などで感じ取ったりすることができるものです。

ボディシェアリング技術は、VRのような仮想現実と呼ばれる空間内で様々なことがリアルに体験できる技術や機器と、ARのような現実世界にCGなどを反映させる技術の二つを、人の身体と密接させるための技術と言えます。

VRでもARでもこれまでは、視覚や聴覚を使って仮想現実で起こる出来事や世界観を体験することはできましたが、実際に何か行動を起こすためにはコントローラーなどの機器が必要でした。

ボディシェアリング技術が確立すれば、仮想現実内で触感を体感できるようになるので、自分の手で何かに触れたり動かしたりすることもできるようになるのです。この最新技術を研究開発していることで有名なのが、先述したH2Lで、既に腕や手先の感覚を使って操作したり、感覚を味わったりすることのできるデバイスを多く開発しています。

今年の1月には、NTTドコモと連携して、5Gとボディシェアリング技術を活用した新サービスを考えていくことを発表しました。

ドコモと連携してアイデアコンテストを開催

既にご紹介したボディシェアリング技術と、次世代移動通信システム5Gを活用したアイデアコンテストが4月1日より開催されています。H2Lとドコモが連携して開催したこのコンテストですが、どういったコンテストなのか概要を見ていきましょう。

コンテスト概要

このコンテストは、5Gとボディシェアリングという2つの技術を使って、社会問題の解決や産業の振興に役立つアイデアを募集するものです。5Gとは、ドコモが2020年に商用サービス開始を目指している次世代移動通信システムのことです。この5Gが使えるようになれば、通信速度の加速や、大容量データのスムーズな行き来、同時に複数のデバイスに接続できるなどの、次世代に向けた様々な恩恵が受けられるようになります。

H2Lとドコモでは、この5Gと、人とVR・ARを繋ぐボディシェアリング技術を有効活用したアイデアを募集しています。それらを活用したものであれば、対象とする業界や分野、地域、規模は問わず、ビジネス・サービス・ソリューション・利用シーンなど幅広いアイデアを求めています。

特に先述したような、ビジネスにおける課題解決や生産性の向上が図れるもの。地域の社会的問題解決や産業振興に役立つアイデアが高く評価されるようなので、参加を希望する際にはその点を意識してみてください。

応募方法

応募に関してですが、規約に従って専用サイトにある「アイデアコンテスト応募フォーム」をダウンロードします。それが済んだら、応募フォームに必要事項を記入して、「応募する」ボタンを押します。するとメールが立ち上がるので、応募フォームを添付して送信しましょう。

募集期間と結果発表日

募集期間は2019年4月1日(月)から5月31日(金)となっています。最終日の12:00が締め切りとなっているため、時間に遅れないように気を付けましょう。締め切り後の書類提出は受け付けない旨が専用サイトに記載されているので、応募は余裕をもって行うのが確実です。

結果発表は6月頃を予定しており、専用サイトにて発表されるそうです。

表彰

審査基準に従って優秀と認められたアイデアには表彰があります。特に優れたアイデアであれば、アイデアのプロトタイプ開発が実現したり、ドコモの5Gオープンラボに展示されたりする可能性もあるそうです。

応募専用サイトはコチラ

VRの大躍進

ボディシェアリングと5Gを活用することで、VR体験が目覚ましい成長を遂げるのは間違いありません。H2Lとドコモが紹介しているアイデア例には、2つの技術を使ってリアルタイム遠隔観光体験というものがあります。例えばこれは東京にいたとしても、沖縄県で体験できるマングローブカヤックツアーを、VRを通して体験できる技術です。

従来のVRとは異なり、映像を見てその世界観を体感するだけではなく、実際にパドルを漕ぐ操作をすると、腕に巻いた筋変位センサーが動きを検知して、水の抵抗までも体感することができるようになります。

5Gの力があれば、遠隔地にいても観光地のアクティビティを体験できるようになるのです。さらにここにボディシェアリング技術が加わることによって、よりリアリティのある体験を全身で楽しむことができるようになります。

仮想現実の世界で五感全てを味わうことができるようになる時代は我々が思っているよりも早く訪れるのかもしれませんね。

終わりに

日々VRの大躍進は留まるところを知りません。VRが体験できる施設も全国各地に見られるようになりました。技術の進化によって、都会にいても地方の美しい大自然を感じたり、反対に田舎では体験できない都会的なアクティビティを地方でも楽しめたりするようになるのでしょう。それは人々の可能性すらも広げる手助けをしてくれることになるかもしれません。

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