プロ向け360度カメラDetu「Max」の利用用途を徹底考察

筆者:阿久津 碧

中国の企業、DetuがクラウドファンディングサイトIndiegogoに発表していた最新モデルの360度カメラ「Max」が注目を集めいています。最先端360度カメラとして素晴らしい性能を誇っているのですが、その詳細とスペックについて、詳しくご紹介していきます。

中国企業、渾身の開発

Detuは中国の浙江省に本拠地を構えている企業で、これまでも360度カメラの開発を3機種ほど行ってきました。そんなDetuが満を持して発表したのが「Max」です。

公式サイトはコチラ

360度の写真・ビデオ撮影、3D撮影、4Kライブストリーミングに対応しており、SONY製のカメラセンサー、IMX477を8機も搭載するという贅沢ぶりです。

ロボットの頭部を彷彿させる本体形状は独特で、普通のカメラとは明らかに異なるフォルムとなっています。本体はアルミニウムで作られており、重量も2キロと大型です。ジンバルや三脚などを使用しないことには、手持ちで操作するのが難しそうです。

グーグルカーのように、車などの天井部に装着して利用する例も存在しており、工夫すれば幅広い用途に用いることができそうです。iOSとandroidの両方でアプリをリリースしているので、モバイルガジェットとの相性も心配ありません。

プロ仕様の360度カメラ

「Max」の販売価格は2299ドル(日本円で25万円前後)となっており、個人では簡単には手が出ないものとなっています。一般利用にしてはオーバースペックな面も否めず、実質的にはプロ向けの製品といえるでしょう。

あらゆる面でこれまでの全天球カメラとは一線を画しており、メインカメラとしても、固定用カメラとしても活躍してくれそうです。静止画であれば12K、動画でも今話題の8K撮影を実現しており、テレビ局などでの採用も期待されます。

全天球カメラにおける課題の一つは対象の認識や画像の連結という部分になりますが、その点においてもMaxは対策済みです。AIチップを駆使することで対象をリアルタイムで検出することができますし、動画の連結も非常にスムーズです。

4方向に2つずつ、合計8つのカメラを搭載しているMaxですが、1方向辺りのカメラ同士の間隔は、人間の目と同じ63.5mmという間隔になっています。人の視界、目線と同じすることによって自然な360度画像の撮影を実現しています。

一般的な360度カメラの場合、画像連結の際に苦手とするのは近景です。離れている景色であれば比較的容易に連結し、全天球画像として加工することが可能ですが、反面距離が短いと画面の連結処理が難しく、不自然に歪みやすくなってしまいます。

Maxに類似する形状をしていて、DetuのCEOがインタビューでライバル視していると語った「insta360 Pro」の場合は、近景の最小連結距離は5フィート(1.5メートル)とされています。この範囲よりも短い距離になると、連結が上手くいかなかったり、違和感を覚えたりする仕上がりになってしまうのでしょう。

静止画であればまだ大丈夫かもしれませんが、リアルタイムで撮影している動画となると、もっと処理が難しいでしょう。対してMaxは、最小連結距離を1mとしているので、insta360 Pro以上に近景の処理が得意だということになります。

実際の撮影データも公開されているので、近景の処理に注目しつつ、そちらもご覧ください。

公式動画はコチラ

insta360 Proと比較するのは難しいですが、上記の動画を見る限り、近景の連結も美しく、スムーズに行えているという印象を受けました。二番目の動画では女性が素早いパンチを繰り出したり、顔を寄せたりするシーンがありますが、不自然な部分は見受けられません。

通常のビデオ撮影映像と比較しても、違和感はほとんどないと思います。全天球カメラ共通の問題を、これだけ見事に解決した機種というのは、現在販売中の製品でも数少ないでしょう。

既に注目している企業も多く、様々なパフォーマンスの撮影やスタジオ収録、スポーツ・コンサート撮影などの事例が存在しています。それらはMaxの確かな性能を裏付けていますし、価格に見合った能力を発揮してくれるという評価を生んでいます。

今後もテレビ局や各法人の高性能全天球カメラ導入は活発化していくと考えられますが、高性能な撮影機器に目をつけているのは必ずしも法人だけではありません。

個人の可能性を広げる3Dライブストリーミング

Maxをご紹介する上では、ライブストリーミングが3Dで行えるという部分も見逃せません。リアルタイムでの配信を高画質、高音質に加えて3Dで実現できるので、視聴者は臨場感のある映像を楽しむことができます。個人の動画配信者でも、少し頑張ってMaxを導入すれば間違いなく大きな武器となるはずです。

コンテンツの画質や品質はコンテンツそのものの有益性や娯楽性と同様、重要な要素として上位にランクインすると個人的には考えています。どれだけ面白い映画であってもモノクロだからという理由で避けられることや、同じ動画でも画質のいい方が選ばれるということは当たり前に存在します。

生配信と呼ばれるリアルタイムでの動画配信は、日本国内でも数年前から活発ですが、それがいきすぎて飽和状態な感も否めません。だからこそ今後は、コンテンツの面白さという面だけではなく、配信者がそこに存在しているかのようなリアルな画質という要素でも、競争が激化していくのではないかと思います。

考えられるライバル

これだけ高性能な全天球カメラで価格も高級志向となると、競合するメーカーや製品も限られてくることになります。パッと思いつく中でも浮かんでくるライバル製品は以下の三機種です。

insta 360Pro

「Max」同様プロ向けカメラとして真っ先に思い浮かぶのは、8K360度カメラを搭載したアルミニウムボディが特徴的なinsta 360 Proです。前述した通りDetuのCEOもライバル視している点を鑑みても、ライバル筆頭といえるでしょう。価格は35万円前後とMaxを大きく上回っていますが、こちらも相当な高性能全天球カメラです。

値段と性能の部分の兼ね合い、細かいパフォーマンスを消費者がどのように捉えるかという部分に注目していきたいですね。

GoPro

デジタル一眼レフカメラ同様、カメラブームの火付け役として大いに活躍したGoProもMaxのライバルです。個人の愛用者も多いですが、昨今はテレビ番組でGoProを目にする機会が本当に多くなりました。

演者の生の反応を記録したり、水中で使用したり、エンタメコンテンツとの抜群の相性が最大の強みです。性能面や価格面では直接争うことはないでしょうが、ニーズという面ではかなり被っている気がするので、密かなライバルといったところでしょうか。

RICOH THETA Z1

RICOHが販売する全天球カメラ「THETA」シリーズの最新機種、Z1もMaxのライバルとなり得るでしょう。製品自体はまだ販売されていませんが、細かいスペックは既に発表されています。

価格も10万円を超え、性能も小型全天球カメラの中では最高クラスのものとなっています。直接的な市場競争はGoProや他の小型全天球カメラと行いそうですが、MaxとZ1のどちらを購入するかを悩む法人も存在するのではないかと予想しています。

ライバルとしてパッと思いつくのは上記の3機種ですが、この他にもダークホースがいるかもしれません。今後も益々苛烈を極める全天球カメラ市場ですが、Maxがその中でどのような活躍をしていくのか、そして他の製品にどのような影響を与えていくのか、もう少し見守っていきましょう。

終わりに

ご紹介した価格や性能からも分かる通り「Max」はプロカメラマンを対象にした製品です。一眼レフカメラやビデオカメラなどでもプロ向け(業務用)製品というのは出ていますが、全天球カメラ市場では、まだそれほど多くはありません。テレビ局やプロカメラマンなど、多方に需要が見込めそうな本製品ですが、自分でも買ってみたいとは簡単に言えない値段でもあります。一先ず、視聴者の立場でその活躍を目にするのがとても楽しみです。

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