アクションカメラの代表、GoProが出す全天球カメラの性能

筆者:阿久津 碧

GoProと聞くと、私なんかはアクションカメラや広角カメラを強く意識するのですが、実は2018年の1月にはアメリカで、360度カメラとしての性能に特化したGoProが発売されていました。多くの企業が全天球カメラ市場に足を踏み入れていますが、その中でGoProの製品はどのような性能なのでしょうか。

360度撮影ができるGoPro『GoPro Fusion』

GoProが販売した360度型のカメラは『GoPro Fusion』という名前で、冒頭でも述べたように、2018年の1月にアメリカで、4月頃には日本でも順次発売が開始されていました。

価格は8万8千円ですが、オンラインショップなどを見ると、現在は7万円以下で買えるところもありました。ライバルとなるinsta360やリコーのTHETAと比較すると、少々高めの値段に設定されている印象を受けますが、性能はどうなっているのでしょうか。

『GoPro Fusion』の基本性能

他の全天球カメラと共通している性能も含めて、『GoPro Fusion』の基本的なスペックを簡単に説明していきます。

5.2Kの高画質

『GoPro Fusion』は他の多くの全天球カメラと違い、5.2Kの高画質を携帯型360度カメラでありながら実現しています。巷では4Kが話題になって久しいですが、それを上回る美麗な映像ということになります。

そこまで綺麗な画質となると、言葉で説明するのも中々難しいのですが、デモ映像を見ても、その実力が十二分に伝わってきます。

公式動画はコチラ

THETAやInsta360のシリーズを見ても、5Kを発揮している機種はかなり絞られてきます。動画の出来事が目の前で起こっているような錯覚を起こしそうになるほどの映りです。

ここまでくると、再生機器の方が5Kの魅力を引き出すのが難しくなってきますが、動きの滑らかさなどから、その凄さは伝わってくると思います。

動画に劣らない優れたマイク

どれだけ美しい動画をどれだけ滑らかに撮ることができても、音声がチャチなものだったら一気に萎えてしまいます。音割れをしていたり、平面的な音だったりすると、映像の魅力も損なわれてしまいます。

『GoPro Fusion』では本体に4つのマイクを内蔵しており、映像同様全方位の音を的確に集めることが可能です。撮影した映像をVRで楽しんだり、音響設備の整った場所で鑑賞したりしても、満足度と没入感の高い作品として楽しむことができるでしょう。

5メートルまでの防水対応

アクションカメラとしてのイメージが強いGoProですが、その魂はFusionにもしっかりと受け継がれています。本体は5メートルまでの浸水に対応しており、マリンスポーツなどに連れて行っても安心です。

他社の全天球カメラを見ると、防水機能が備わっている機種は少数派で、ほとんどが別売りの防水ケースなどを買い足して、後からそういった機能を付与する形になります。

防水ケースは手作りすることも可能ですが、純正品となると結構な出費になるので、最初から備わっているのは嬉しいですね。海や川に連れて行くということがなくとも、街中でも雨天の日に気にせず使えるので、故障などを心配する必要がありません。

バイカーやツーリストがヘルメットやバックパックに固定する際も、天気を問わず利用できるので、記録用カメラにとって防水機能は、考えている以上に重要なものなのかもしれません。

作品はアプリで簡単共有

他社が販売する多くの全天球カメラ同様、『GoPro Fusion』にもiOS、Android用のアプリが存在します。撮影写真や動画を簡単に編集し、その場でSNSや友人に送信することができます。

オリジナルのビデオや簡単な編集も直感的に行えるので、通信環境さえあれば、どこでも一瞬で、完成度の高い作品を創り上げることができるでしょう。

ジンバル要らずの手ぶれ補正

公式映像でも動画の手ぶれ補正機能について触れられていますが、ジンバルなどを使わずに手ブレの少ない映像の記録が実現しているのが分かります。

この辺りは流石アクションカメラの代表といったところでしょうか。動きのあるものを撮っても滑らかに撮れています。5.2Kの高画質と相まって、文句なしの性能に仕上がっていますね。

『GoPro Fusion』の課題点

次に、『GoPro Fusion』の課題といえる部分を見ていきましょう。

スマホ接続の対応機種

iOS、Androidの両方に対してアプリがリリースされている本機ですが、残念ながら現段階だと対応機種が非常に限られています。iOSだとiPhone6以降で、Android端末も対応している機種は限られています。

対応デバイスについては以下をご参照ください。

https://jp.gopro.com/help/articles/block/fusion-supported-devices

スマホならばなんでもいいというわけではないので、購入の際にはまず自分の保有している端末がアプリに対応しているかを確認する必要があります。

全天球カメラの多くはスマホとの連携が実質的に必須ですし、単体で使うとなるとその性能を最大限引き出すのは不可能です。この部分は今後、改善されて対応機種が増えることを期待したいところですね。現状では、Androidユーザーには素直にオススメできないというのが正直なところです。

メモリーカードが二枚必要

メモリーカードを必ず本体に二枚挿す必要があるというのも、Fusionの課題です。理屈としては、前後のレンズ一枚ずつに対して、それぞれ別々のメモリーカードに撮影画像を保存しているからだそうです。

そして別個に保存された二枚の画像を、コンピューターが処理して一枚の360度画像に組み替えているわけですが、この処理を円滑に行うためには二枚のメモリーカードを挿す機構が最も合理的だという結論に至ったのでしょう。

最大容量は128ギガとなっているので、購入の際にはその範囲内のメモリーカードを必ず二枚用意するようにしましょう。

パソコンでの操作の場合パソコンの性能に依存する部分も

Fusionは撮影した画像をパソコンでも編集できるのですが、そのためには編集ソフトの「Fusion Studio」をパソコン側にインストールしなければいけません。ただこの「Fusion Studio」をパソコンにインストールする場合、パソコン側の性能が低いと、上手く動作しないという問題があります。

簡単な編集であればスマートフォンで十分かもしれませんが、本格的に動画編集を行う際にはやはりパソコンで作業するのが一番です。スマートフォンの対応機種と、パソコン環境を確認した上で購入するのが確実です。

GoProファンと、アクティブ仕様にはオススメ

総評すると『GoPro Fusion』は、これまでGoProを使い慣れてきた人や、アクティブな用途を検討している人に対してはオススメできる機種だといえます。反面、対応機種が限られている分、カメラ初心者や環境が整っていない人には、一概にはオススメできません。

価格もエントリーモデルとは比較にならないほど高価なので、2台目、3台目として活用するのがいいでしょう。シームレスな画像を高画質、高音質で楽しむことができる。そして過酷な環境でも耐えられる性能は、間違いなくトップクラスの全天球カメラですが、それ故に利用者を選ぶ機種かもしれません。

幾つか挙げられた問題点が今後少しずつでも改善されていくことで、更に多くの人にとって使いやすくなる機種となるでしょう。

終わりに

今後も多くの企業が技術の粋を集めた全天球カメラを開発して、市場を賑わせてくれることと思います。その中で消費者は、数ある選択肢の中から自分がどのような機種、機能を求めているのかを明確にする必要があるでしょう。悪い言い方をすれば、たくさん選択肢があるからこそ買い物に失敗してしまう可能性もあるのです。高い買い物になるからこそ、一つひとつの機種の違いを見極めながら、自分に一番合った全天球カメラを探してみてください。

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