形にもこだわりたい。一風変わった形状の360度カメラ
一眼レフカメラなどのデジタルカメラの場合は、ある程度共通のフォルムが存在します。それらはデザイン性や持ちやすさなどを研究し尽くされて今の形になったのだと思われますが、360度カメラにはそういったものがまだ存在していません。だからこそ、機能性だけではなく、形にもこだわってみたいですよね。今が旬の全天球カメラの中でも、面白い形をしている機種に焦点を絞って今回は調べてみました。
本記事の内容
アクション型全天球カメラ『PIXPRO』
最初にご紹介するのは『PIXPRO』という、360度の撮影に対応しているアクションカメラです。販売元はアメリカに拠点を置く世界最大の写真メーカー、コダック(英語:Eastman Kodak Company)です。
使い捨てカメラなどで同社の製品を目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。そんなコダックが手がける『PIXPRO』は斬新な形状をしている全天球カメラとなっています。
『PIXPRO』公式サイトはコチラ
本体は非常に小型で、箱型のボディの前後に突起したレンズが備えられている形状です。前後のレンズは異なるもので、それによって一つの機体で、以下の3つの撮影モードが楽しめます。
・VRモード
・GLOBALモード
・FRONTモード
ライブストリーミングやSNSへのシェアなど、備えられていると嬉しい機能も一通り搭載されています。洗練された小型のデザインはスタイリッシュでもありますが、THETAのようにそのまま手に持って撮影するには少々難儀しそうなフォルムでもあります。
セルカ棒やジンバル、三脚を用いればそういった問題は解決するので、アクションカメラとして身体に固定したい方や、コンパクトな装備で出かけたいという方にはオススメです。
価格は『KODAK PIXPRO 4KVR360』で6万円弱となっており、全天球カメラの中では一般的な金額となっています。世界的なブランドが販売している点や、他の人と被らない点などは大きなポイントになるのではないでしょうか。
形を変えて、異なる撮影モードが楽しめる『QooCam』
続いてご紹介するのは日本の三友株式会社が販売する『QooCam』(クーカム)です。
三友株式会社自体は一般の方にはあまり縁のない企業かもしれませんが、放送・映像制作設備やライブの中継・配信、コンテンツ制作やAVシステムなどを手がける映像や音響、コンテンツに関する一流企業です。
そんな三友が打ち出した360度カメラ『QooCam』は特徴的な形状をしています。
『QooCam』公式動画
本体は一見、細長い棒のような形状をしているのですが、中心部分が稼働するようになっており、L字に変形させることができます。変形させる前では2Dの360度VR映像、変形後は3Dの180度VR映像を撮影することが可能になります。
片方の面には一つ、もう片方の面には二つと、合計三つのカメラを内蔵しているのも特徴です。撮影モードによって使用するカメラを切り替えるのですが、形状が変わったり、奇数個のカメラを内蔵したりする360度カメラというのはこれまであまり見かけなかったように思えます。
そのデザイン性は高く評価されており、「iFデザインアワード2018」や「CESイノベーションアワード2018」、「Red Dot アワード2018」、「エジソンアワード」のシルバー受賞2018に選出されるなど、国内外を問わず注目されています。
優れているのはデザイン性だけではありません。『QooCam』は「Depth map Technology」という機能を用いることで、撮影後に写真の深度マップを生成することができます。この深度マップを操作することで、撮影が完了した写真の焦点距離を調整することが可能になりました。
手前の映像をボケさせたかったのに奥がボケてしまった場合や、手前のピントが甘かった場合など、後から好きなように調整することができるのです。これによって、限られたシャッターチャンスを逃した場合でも、理想の写真を手に入れることができるようになりました。
操作もスマートフォンから簡単に行えるので、難しい編集技術を必要としません。「Depth map Technology」は写真そのものの編集にも役立ちます。クロマキーを用いずに写真の背景を違う景色に変えたり、雨模様を快晴の空に変えたりすることが可能になりました。
耐久性にも特徴があり、ボディは金属で構成されています。それでいてコンパクトな大きさを保っているので、旅行などに連れて行っても邪魔になりません。価格も49,800円(税別)とお手頃なので、様々な撮影方法を楽しみたいという方は、是非検討してみてください。
小型なのに3D撮影?『Vuze+』
三番目にご紹介するのはイスラエルの企業Humaneyesが販売している360度カメラ、『Vuze+』です。ここまでご紹介したカメラ同様、この機種も一風変わった形状をしています。本体は四角く、一見しただけではカメラだと分からないような見た目をしています。小型のBluetoothスピーカーや、昔のMDプレイヤーのようなものを彷彿させます。
その正体は紛れもない360度カメラで、なんと動画、静止画ともに4Kの画質で、3Dの撮影が行えるというのですから驚きです。四角い本体の一辺には2つずつ、計8つもの魚眼レンズが搭載されており、バッテリー駆動で外部メモリー(micro SD Card)による記録が可能となっております。
マイクも4つ搭載されており、映像だけではなく音声も全方向からしっかりと記録できるようになっています。本体操作による撮影も可能ですが、その形状からホールドはしにくそうですし、いずれかのカメラに撮影者の指や腕が入り込みそうなので、三脚を装着してスマートフォンからシャッターを切るのが主な使い方になりそうです。
本体の他に簡易的な三脚も含まれており、本体の裏側にあるネジ穴に装着することで、地面と本体を離れさせられます。ただしあくまで簡易的なものなので、屋外に出る際や、本格的に撮影を行う際には更に高さのある三脚を用意するのが安心でしょう。
本体価格はおよそ13万円と、ご紹介した全ての機種の中では群を抜いて高額な機種となっています。無論それに見合うだけの性能を搭載していますが、どちらかといえばプロ向けの機種となっています。別売りで防水ケースなども販売していますが、そちらも30万円以上するので、水中撮影を楽しむとなったら、それなりの出費を覚悟した方がよさそうです。
シンプルを求めるなら、やはりRICOH「THETA」
ここまでは変わった形状の360度カメラをご紹介してきましたが、シンプルな形状がいい、デザインで冒険したくないという方もいるのではないかと思います。
そんな方には、全天球カメラのパイオニアで安心の国内メーカー品である、RICOHのTHETAシリーズをオススメしたいです。三脚などを使わずに撮影ができますし、機能性と価格のバランスも非常に取れています。
エントリーモデルであれば価格も2万円台からあり、初めての全天球カメラにはうってつけです。色々なカメラで悩んだ末に、どうしても決められないという方は、一度原点に立ち返ってTHETAを調べてみるのも良いかもしれません。
終わりに
普段は見かけないような変わった形状の360度カメラを今回はご紹介させていただきました。360度カメラ初心者という方でも楽しめる機種が沢山あったので、プロアマを問わず、多くの方の選択肢に入れるような機体ばかりだったのではないかと思います。性能や価格も重要ですが、せっかくのカメラ選びですから、形や総合的なデザイン性にもこだわりながら、お気に入りの一台を探してみてはいかがでしょうか。
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