最強360度カメラ「Insta 360 TITAN」。その性能と価格
全天球カメラには様々なものがあり、1万円台で買えるエントリーモデルから、個人は手を出そうとも思わない高額なものまで価格も性能も実に多様です。今回ご紹介する「Insta 360 TITAN」は間違いなく後者にあたる代物です。これまでにない高額高機能な全天球カメラの詳細を、徹底的に考察していきます。
本記事の内容
「Insta 360」シリーズ最上モデル
日本国内ではリコーが販売しているTHETAシリーズが全天球カメラとしては最も有名なのではないかと思います。しかし海外にはTHETA以外の全天球カメラが多数存在しますし、それらは日々日本にも入ってきています。
「Insta 360」シリーズも日本人の間に徐々に広がりを見せており、既に知っているという方や、実機を持っているという方も多いのではないでしょうか。
「Insta 360」は中国にあるハードウェアスタートアップShenzhen Arashi Visionが販売する全天球カメラで、当サイトの記事でもこれまで何度かご紹介していますが、そのシリーズの最上位モデルとなる「Insta 360 TITAN」はこれまでの機種とは一線を画する一台となっています。
11Kの最強360度カメラ
「Insta 360 TITAN」はなんと11Kの高画質を実現しており、本体についている8基のマイクロフォーサーズセンサーを駆使して、美麗な映像を記録します。
マイクロフォーサーズセンサーとは、デジタルカメラにも搭載されているセンサーで、一体型の360度カメラに搭載することのできる画像センサーとしては最大となっています。
正直11Kともなると、実際に見たことがないのでどれほどの画質なのか想像もつきません。しかし間違いなく全天球カメラで現在実現できる最高レベルの画質であり、プロ向けのカメラだといえるでしょう。
販売予約ページで何枚かサンプル画像は見ることができるのですが、ノイズなども見事に低減されており、クリアな画質となっています。肉眼で映像や静止画を確認するよりも、VRなどで体験した方がよりクオリティを実感できるかもしれません。
価格は衝撃の188万
何もかもが規格外な「Insta 360 TITAN」ですが、その値段もまさに規格外です。税込みで188万円となっており、現在はハコスコで予約を受け付けています。
Insta360 TITAN | ハコスコ:https://hacosco.com/Insta360-titan/
発売元のShenzhen Arashi Visionは2015年から2017年にかけてこれまで5つの全天球カメラを発売してきていますが、「Insta 360 TITAN」が最も高額なモデルとなっています。
これまでに販売された他のシリーズも幅広い層を対象にしていましたが、基本的には360度カメラ初心者や中級者向けのモデルが中心で、プロモデルは2017年に発売された「Insta 360 Pro」くらいのものでした。
「Insta 360 Pro」も70万円ほどするので、プロ仕様の中では高価な部類でしたが、今回のTITANはそれを軽々と上回る金額となっています。それ故にどれほどの性能なのか、実際に手にとって使ってみたいという気持ちもかなりありますね。
同社は他にもスマートフォンに直挿しするタイプの360度カメラ「Insta 360 Nano」などでも世界中から注目を集めましたが、ローエンドからミドルレンジまで、とにかく様々な種類の360度カメラで市場を賑わせています。
手振れ防止機能による撮影の安定感
「Insta 360 TITAN」では手振れ防止機能も注目です。販売サイトのハコスコでサンプル映像を見ることができますが、ジンバルを使っていないにも関わらず、ほとんどブレていない映像を撮影することができています。
プロ仕様のカメラにとって手振れ防止機能は重要なポイントです。スタジオやレーンがある場所など、必ずしも撮影に適した環境が用意されるとは限らないからです。街中で歩き回りながら流し撮りをしたり、過酷な環境での撮影を余儀なくされたりするというケースも珍しくありません。
そういった利用シーンを仮定しても、「Insta 360 TITAN」は文句の言いようがありません。流れるような映像を誰でも気軽に撮ることができるので、環境を選ばずに連れていくことができるでしょう。
人々がエンタメに求めるものの変遷
一昔前であれば、200万円近くする全天球カメラに需要が生まれるなんていうことは、到底想像できなかったのではないかと思います。テレビや映画など、映像コンテンツにおいても360度カメラというものが入り込む隙間が生まれると、誰が想像したことでしょう。
ところが今は、確実に時代が変わりつつあります。200万円の全天球カメラを販売しても売れるという時代へと。その理由の一つには間違いなく、人々がエンタメに対して求めるものが変わったという点が挙げられます。
映画館などの施設を見てもそれが分かります。2Dの映像に対して当初求められていたことは、「どれだけリアルな音を表現できるか」ということです。その結果「IMAX」や「DOLBY ATMOS」といったものが生まれたのです。しかし今、それだけでは消費者が満足できなくなってきているのです。
その結果3Dや4DXという新しいエンタメコンテンツが登場したわけですが、360度カメラやVRというのは、更にその先にあるものではないでしょうか。そしてそれを裏付けているのが、現在の360度カメラ市場です。
美しい全天球映像の撮影や、VR体験に対しての需要は着々と上がりつつあります。個人単位の消費で見ても、ローエンドモデルやミドルレンジモデルのものを中心に、全天球カメラは人気を集めています。
そうやって自宅でも十分なVR体験やAR体験が楽しめるわけですから、映画館やテーマパークといった有料コンテンツに求めるクオリティは必然的に高いものとなっていきます。その欲求を満たす上で、高性能の360度カメラを導入することは、コンテンツメーカーにとっての必須事項ともいえます。
テレビはゴーグルを付けながら鑑賞し、映画館ではVRゴーグルが配布される。そういう光景が当たり前になるのは、そう遠い話ではないのかもしれません。
全天球カメラは360度、ブルーオーシャン
GoProなどのアクションカメラを除くと、ミドルレンジモデルや一般向けのカメラがプロの現場で活躍する機会というのはあまり多くはないと思います。勿論例外はいくつもありますが、テレビ撮影用のカメラは基本的に業務用のものですし、家庭用のビデオカメラで映画を撮影することはありません。
その中で全天球カメラや360度カメラと呼ばれる機種は異質かもしれません。中級者向けのTHETAが報道機関やプロカメラマンに利用されたり、災害時の記録用カメラとして採用されたりしているのがその一例です。
業務用、プロ向けとされている機種でなくとも十分に戦うことができるという意味では、市場という視点でも、ユーザーという視点でもブルーオーシャンとして見ることができるのではないでしょうか。
テレビ局などでも、いきなり高級な360度カメラを導入するのは予算的にも使用頻度的にも厳しいかもしれませんが、10万円前後で導入できるとなれば考え方は変わるかもしれません。今後製造・販売会社が狙うべきはこういった隙間の部分なのかもしれないですね。
気軽に購入できるけれど性能はある程度のラインを保証していて、それでいて企画としても面白い。こういったことをアピールできるようになれば、付随して「Insta 360 TITAN」のような高級カメラの需要も上がりそうですし、360度カメラそのものの認知度もアップしそうです。
広い視点を記録できるという能力では広角レンズのGoProよりも圧倒的に有利ですし、その立場に取って変わる可能性は十二分にあるでしょう。
終わりに
機能、金額、全てが圧倒的な「Insta 360 TITAN」ですが、今後日本国内でも見かける機会があるかもしれません。ゆくゆくはテレビのロケや映画撮影などのシーンでも利用されるかもしれませんが、まだまだ不確かな部分も多いので、その機能の全貌は正直分かりきっていません。気軽に「買ってみませんか?」とオススメすることのできる一台ではありませんが、360度カメラ市場を賑わせるShenzhen Arashi Visionと、Insta 360には今後も注目していきたいですね。
スポンサーリンク