神戸~西宮の酒どころ「灘五郷」で、酒づくり道具や蔵元の暮らしを見学できる酒蔵をご紹介

筆者:市川 弘美

酒蔵といえば、柱や梁が太く、内部が広くて、瓦屋根の横長の古い建物がイメージされます。「灘五郷」とは、神戸~西宮の沿岸部で栄えた酒どころ、西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷のことです。室町時代が勃興期だったとされる灘五郷は、戦災や震災を越えて、令和の今に引き継がれています。

「山田錦」に代表される兵庫県の良質な酒米と、江戸時代末期に発見された「宮水」で美味しいお酒がつくられることでも、全国的に有名です。今回は、酒造りの様子を伝える資料館や、震災後に再建された酒蔵のある酒造会社をご紹介します。

※参考サイト:灘五郷酒造組合
http://www.nadagogo.ne.jp/

沢の鶴資料館

沢の鶴資料館では、昔の酒づくりの工程のままに、使われた道具が展示されています。小さな桶から高さ2メートル弱ある大桶まで、数多くの工程を経て酒ができるのが想像できます。

江戸時代末期に建てられた酒蔵は、兵庫県から「重要有形民俗文化財」に指定されていましたが、残念ながら1995年の阪神淡路大震災で全壊。その後復興・復旧に全力がそそがれ、1999年に再建を果たしたそうです。ミュージアムショップでは、ここでしか味わえない生原酒、利き酒、お酒を美味しいくいただくための器など、蔵元ならではの日本酒のお楽しみがあります。

【沢の鶴資料館】
〒657-0852 兵庫県神戸市灘区大石南町1丁目29番1号
電話番号:078(882)7788
http://www.sawanotsuru.co.jp/site/company/siryokan/

白鶴酒造資料館

大正初期に建てられ、昭和40年代のはじめまで、実際に酒づくりに使われていた酒蔵を、今は資料館として開放しています。蔵が使われたころの酒造を再現し、等身大の人形が作業をしているので、往時の酒造りの様子が手に取るように体感できます。

また、白鶴酒造は、糀の効用や発酵技術など酒づくり技術を応用した化粧品開発も手掛けており、洗顔やローションなどの基礎化粧品が大人気です。

【白鶴酒造資料館】
〒658-0041 神戸市東灘区住吉南町4丁目5-5
http://www.hakutsuru.co.jp/community/shiryo/

白鷹緑水苑

戦前まで蔵元の家族は、酒蔵と地続きの母屋で暮らしていたそうです。その家族の暮らしを再現しているのが、ここ白鷹緑水苑にある「暮らしの展示室」。伝統的な商家建築の中に生活用品を配置し、むかしの暮らしがよみがえっています。端午の節句や桃の節句など時候に合わせて、部屋の趣を変えているので、昔の人の歳時記を大切にする暮らしを学ぶことができます。

【白鷹緑水苑】
〒662-0926 西宮市鞍掛町5-1
https://hakutaka-shop.jp/

神戸酒心館 福寿

ノーベル賞で振る舞われて一躍有名になった清酒「福寿」の蔵元です。神戸酒心館には、福寿をつくる酒蔵、ショップ、料亭、そして多目的ホールの4つの蔵があります。酒匠が飲み頃を見極めて持ち込まれた生酒がショップで振る舞われたり、ホールでは展覧会やコンサートが開催されたり、4つの「蔵」それぞれで美味しいものやイベントを楽しんでいただけます。

酒蔵まとめ

灘五郷の「灘」は、海域という意味でも使われるそうです。江戸時代、灘の酒は、そのほとんどが海運により江戸へと運ばれて好まれたとか。

日本の酒づくりとその道具は、文化遺産で後世に伝え引き継いでいかなくてはいけないと思います。米づくりから長い月日をかけて完成にいたる酒は、現代まで残る「スローフード」なのです。

360度カメラTHETAで「蔵」などの日本伝統建築をぜひ撮影してみてくださいね。昔の酒づくりや人々の暮らしがリアルに、臨場感たっぷりに再現されることでしょう。

 

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