リコーが360度映像のウェブ会議システムを開発。その概要と機能

筆者:阿久津 碧

パラレルワークやリモートワークが進む中、会社に出社しない働き方や、遠隔で行う会議などは当たり前になりつつあります。現在でもSkypeやzoomなど、様々なウェブ会議ツールが活躍していますが、それらとは異なる、全く新しい会議システムをリコーが開発しました。

360度の視点を共有できる会議システム

リコーは360度の映像を共有できる会議システム「RICOH UCS 360 VR Live」を開発しました。このシステムの開発にはおよそ2年半の歳月をかけており、満を持してのリリースとなります。

「RICOH UCS 360 VR Live / テレビ会議・Web会議システム | リコー」

これまでのウェブ会議とは比較にならない程多くの情報を相手に届けることができるので、様々なシーンでの利用が期待されています。特徴として動画の視聴者側は、映像を自由に動かして、好きな場所を見られるということがあります。

これによって、ビデオ通話で話をしながら、資料や映像の確認も自在に行うことが可能になりました。緊急性を要する話し合いや、詳しい観察が必要な映像を含む会議などを行う際に活躍してくれるのではないでしょうか。

既に2019年5月23日からサービス提供を開始していますが、利用にはアカウント登録が必要となります。またその際には手数料として3000円、その他に月額利用料を支払う必要があります。

料金は最大9アカウントの利用で5000円というプランの他、4つのプランが提供されています。アカウント数が増える程月あたりの料金は安くなる仕様となっていて、最安値のプランであれば「100コンタクトID~購入時の1ライセンスあたりの利用料は3000円」と記載されています。

法人などで大量にアカウントが必要な場合は、上記のようなまとめ買いがお買い得となっています。更に1年と3年でそれぞれ年間パックというのも展開されているので、導入を検討されている方は、最適なプランを探してみてください。初回は30日間無料トライアルも可能なので、とりあえず体験してみたいという人にもオススメです。

「Apps 価格 / テレビ会議・Web会議システム | リコー」

VRゴーグルの利用で没入感も倍増

リコーが開発したシステムは、単に360度の全天球通話を実現しただけではなく、VRにも対応しています。

VRを使わなくても360度映像を10倍までズームすることができるので、かなりの情報を得ることができるのですが、VRを用いれば没入感も得られる情報も一気に増えることでしょう。

リコーはこのシステムの利用ターゲットとしてオフィス以外に店舗や工場、病院、建設現場といった場所も挙げていますが、それらの機関に導入してもらうためには、VRは必須といえるでしょう。

例えば病院でこのシステムを導入する場合、遠隔で手術や診察、処置の指示を行うなどが、利用シーンとして想像できます。的確な指示を行うためには詳細な画像や情報が必要になりますが、その際、ただの360度映像では不十分に感じることがあるかもしれません。

しかしVRヘッドセットを使えば、遠方にいながらもまるでその場にいるような臨場感、没入感を味わうことができますし、細かい部分や見過ごしやすい情報なども残さず拾うことができます。

予断を許さない状況にある患者がいるけれど、どうしても医師がその場を離れなければいけないというケースもあるでしょう。そんなとき、VRヘッドセットだけ持っていれば、離れた場所にいても直ぐに対応できますし、適切な処置が下せるに違いありません。

病院以外のシーンでも同様です。建築現場などでは細かいミスが大事故に繋がります。しかしその現場に詳しい人がいつでも必ずその場にいられるという保証はありません。人間ですから仕事を休むときや、別件で足を運べないということもあるはずです。

そんなとき、従来であれば一度工事の手を止めるか、別の人材を頼るしかありませんでした。中断すれば全体に遅れが出ますし、代わりの人を連れてきたとしても、必ず対応できるという保証はありません。そうかといって電話で確認できるような内容でもないとき、このシステムの出番です。

建築現場などにおいては実習などで用いられることもリコーは期待しており、実現すればVR×360度配信で安全に建築現場を学べる時代が来るかもしれません。加えてAR技術などを取り込んでいくことも積極的に検討しており、2000アカウントの登録という目標をリコーは掲げています。

多様化する働き方や、緊急性や慎重さが求められる職場において、360度会議システムは必須となるに違いありません。ここで挙げた例は想像に頼る部分もまだ多くありますが、これまでの全天球カメラの躍進を考えれば、遠い未来の話ではないと思えます。

リモートワークを推進する企業の強い味方

社員があまり出社しない、いわゆるリモートワークを推進している企業や、私のようなフリーランスに業務委託を頻繁に行う企業にとっても、「RICOH UCS 360 VR Live」は心強い味方になってくれるに違いありません。

遠方に住んでいる人やその場にいない人を交えて会議を行う場合、相手からすると情報の収集が難しく感じるという場合も少なくありません。特に複数人を相手に会議を行う場合や、ホワイトボードなどの書き込みを行う場合は尚更です。

「RICOH UCS 360 VR Live」は自由にカメラを動かしたり倍率を変えたりできるので、このようなシーンにおいても情報収集の遅れやストレスを感じにくくなります。リモートワークや業務委託、フリーランスというのが今後益々加速していく中で、優秀な人材を確保するためには社内の会議システム環境を整えることも重要になるかもしれませんね。

映像や音声だけでなく空間を共有する

従来の通話やテレビ会議というのは、音声であったりカメラ映像であったりといったものを共有することが主な機能でした。しかしこれからの通話は、発信者と受信者が互いに空間を共有できるようになるのです。

海外にいる友人や地方の山奥で暮らしている親戚とも、同じ場所、同じ空気を共有できます。それは私達が考えている以上に画期的なことで、遠く離れた場所にいても「会いたい」という気持ちを消化させてくれる上で大きな効果を発揮するに違いありません。

声を聞いていただけでは分からないその人の生活という部分も垣間見えることになるでしょう。口では「元気にしている」と言っていた子どもの部屋が実は散らかり放題だった。遠距離恋愛をしている恋人の部屋にいるような感覚で話をすることで寂しさが埋められた。

このシステムが一般にも浸透したら、上記のような体験をする人がたくさん出てくるのではないかと思います。利用料や全天球カメラの普及率などを考えると、それらはまだ先の話かもしれませんが、実現すればコミュニケーションや遠隔通話の概念が根本から変わるに違いありません。

災害現場などでも活躍が期待される

以前リコーは「災害クラウド(仮)」の実証実験においてもTHETAと「THETA 360.biz」の提供を行い、そのことについて当サイトでも記事としてご紹介しました。

「THETA 360.bizの「災害クラウド(仮)」実証実験 – Wrap」

この例からも分かる通り、360度カメラと災害現場というのは相性が良く、遠方にいる人に向けて災害現場の様子を伝える上で、非常に役立ちます。「RICOH UCS 360 VR Live」も同様で、災害が起こった際、迅速な対応と情報の共有において大きな役割を果たしてくれるのではないかと考えています。

録画機能も備わっているので、後から情報の整理を行いたいときや、遅れて到着した人に情報を共有するときなども活躍してくれるはずです。政府という大きな単位なのか、市区町村という単位なのかは別として、自分の住んでいる地域を管轄としている機関がこういったシステムを導入していたら、安心感を覚えますね。

終わりに

以前大阪にあるユニバーサルスタジオジャパンに遊びにいったとき、「ターミネーター」のアトラクションを体験しました。そのアトラクションの中では映像も観るのですが、その映像に登場する一人の男性が、バカンスを楽しみながら、旅先で遠隔作業による手術を行うシーンが出てきました。「ターミネーター」という作品自体が未来のテクノロジーを取り扱った映画なのでこういった演出が登場したのですが、非常に印象深く記憶に残っています。そして、今回登場したリコーのテクノロジーは、そんな未来的なシーンを現実にする第一歩なのかもしれないとも考えさせられたのです。

Like@Wrap
Follow@Wrap

スポンサーリンク