Matterportって何?360度カメラで広がるビジネスのカタチ
当サイトでも過去に何度か取り上げているMatterportですが、概要やビジネスモデルについては中々理解が難しい部分もあります。そんなMatterportが行なっているビジネスの一つに3Dマッピングがあるのですが、今回はそのビジネスの詳細や、Matterportとはそもそもどのようなサービスなのか、どんな業界にオススメなのかということについて網羅的にまとめていきます。
本記事の内容
Matterportって何?
Matterport(マーターポート)とは、撮影サービスの一つで、まず専用のカメラを使って空間の撮影を行います。その映像を元に、距離感や位置、奥行きなどを丸ごと3Dモデルとして再現します。
再現された3D映像は様々なシーンや業界で役立てることができるのですが、注目するべきはその再現度です。6つのカメラと3つのセンサーが搭載された特殊なカメラで撮影された空間映像は非常に鮮明で、実物に近いものとなっています。
現在は専用のカメラの他にInsta360による撮影にも対応していますが、精度や画質といった面を考えるのであれば、専用カメラで撮影するのが実用的だと言えます。
3Dマッピングの実用性
精度の高い3Dマッピングを作り出せるのが凄いことだというのは何となくお分りいただけたかと思うのですが、それがどのような用途で役立つかという部分も気になるところですよね。そこで、完成した3Dマップの利用用途として考えられそうなものをいくつか挙げてみました。
立ち入り禁止施設の見学
世の中には立ち入り禁止の場所が沢山あります。その理由は安全上の問題だったり衛生上の問題だったり、国が立ち入りを制限していたりと様々ですが、そういう場所に入れたらと思うことはありますよね。
歴史的にとても大きな意味を持っている場所でも、崩落などの危険があるので入れないということは珍しくありません。そんな場合でもMatterportでその場所の撮影を行えば、自宅にいながらそこに足を運んだかのような体験をすることができます。
日本国内だけでなく、海外の歴史的建造物などもこの方法を使えば、いつでも好きなときに訪れることができますね。また、将来的にそれらの遺跡などが自然に失われてしまうとしても、Matterportで記録しておけば、調査や研究を継続して行うことができます。
会社見学
企業のPRや広報活動にもMatterportは役立ちます。遠方や地方に本社を構えている場合や、反対に求職者が遠方に住んでいる場合などでも、Matterportがあれば両者の距離を埋めることができます。
実際に会社見学を行ったらある程度業務も制限されますが、バーチャルで行う分には一切影響がないので、作業を止めることのできない工場や企業でも、Matterportによる会社見学を利用することができます。
小学校などではよく、工場見学の授業がありますが、Matterportの技術が更に発達すれば、それらは学校にいながら完結してしまうかもしれませんね。
記録としての3Dマッピング
期間が限られている個展や展示会、お祭りの様子などを形として残しておきたいというときにも、3Dマッピングは有効です。一度撮影してマップを作成してしまえば、いつでもそれらのデータを振り返ることが可能です。
自身の個展経験などを人にプレゼンテーションする場合にも、Matterportの空間データがポートフォリオ代わりになるので、自分の過去の活動を人に伝えやすくなります。
観光マップの作成
観光地に足を運んだ際、どの観光地にどんな順番で足を運ぼうかというのに悩んでしまう人は多いと思います。私も旅先で、ルート選びによく迷います。Matterportで観光マップを作成して観光客向けに公開すれば、現地に足を運ぶ前にそういった問題を解決することが可能です。
Webマップや案内看板、マップ作成は実績も多数存在するので、作成を検討している企業や自治体は、前向きに検討してみてください。分かりやすい観光マップが流通すれば、観光客の増加にも直接的に影響を及ぼすのではないかと思います。
施設改修のモデリング
施設や博物館の展示などを大幅に改修したいと思ったとき、チームメンバーとイメージを共有することができなくて苦労するということはよくあります。Matterportを使えば具体案を複数提案することや、自分が抱いたイメージを他のメンバーと視覚的に共有することが可能です。
実際作業に取り掛かる際も、事前に共有されたイメージに沿って取り掛かるだけなのでリスクも抑えられますし、コスト面でも最小限に留めることが可能になります。
従来であれば立体的なジオラマ等を実際に組み立てるなど、手間と時間が大幅にかかりましたが、Matterportが一般に普及すればそれらは全てカットできるようになるでしょう。
未来のアミューズメントの鍵を握る
Matterportが今以上に一般的になり、多くの企業や自治体から注目を集めることができれば、将来的にはアミューズメント業界にも大きな影響を及ぼすのではないかと考えられます。類似する技術としては360度カメラとVRの組み合わせというものが真っ先に浮かびますが、Matterportはそれらの技術と似て非なるものです。
勿論VRを利用して空間を「体験」することも可能ですが、普通の360度カメラで撮影された写真をVRで見るのとは少し趣が異なります。例えるならば、Googleストリートビューの世界に入り込むような感覚に近いかもしれません。全ての空間を保存するだけでなく、その正確な奥行きや臨場感まで含めて記録することができるので、本当の意味でのバーチャルツアーを味わうことができるでしょう。
遠からず、アミューズメント業界はその技術に目をつけるのではないかと私は思っています。VRのホラーコンテンツなどは既に存在しますが、実際の廃病院や心霊スポットをMatterportで記録したお化け屋敷などが出たら、そのリアリティは相当なものになるのではないでしょうか。
現在は空間を静止画で記録することに特化した技術なので、それが現実になるのはまだ先のことになるとは思いますが、決して不可能な話ではないと思います。
技術がコストをカットする
Matterportを利用することで、これまでは莫大なコストをかけていたようなことでも、大幅に経費を抑えながら実現できるようになりました。前述したジオラマなどもそうですが、これまでは実際に見てみなければ分からなかったこと、人と共有するのが難しかったことなども簡単にシェアすることができます。
それは作品そのもののクオリティにも直結しますが、制作過程で必要となる費用にも大きな影響を与えることになるでしょう。補修が難しい遺跡や洞窟、寺院を360度カメラで撮影し、デジタルアーカイブとして残す試みも行われていますが、Matterportにもそれが可能だと私は考えています。
補修する費用や危険性を鑑みると、採算が合わずにどうすることもできなかった歴史的建造物も、Matterportで正確に記録が行えます。その制度は普通の360度カメラを遥かに凌ぎますし、資料としての価値も十分にあります。
補修はしたいけれど現実的な問題でどうにもできなかった。コストを理由に自治体が諦めた。そんな歴史の断片もMatterportが救ってくれるかもしれませんね。
終わりに
今回ご紹介した以外にも、Matterportが活躍できるシーンというのは無数にあると思います。企業や個人の工夫次第で、この技術はいくらでも応用が利くはずです。今後の日常生活の中で、Matterportを目にする機会は徐々に増えていくのではないかと考えられますが、企業毎のアイディアにも注目していきたいところです。そして360度カメラの性能が更に上がれば、家庭用の機種でも、3Dマップが作成できる時代が訪れるかもしれません。
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