建設現場における360度カメラの役割。点検や調査の新しい形
360度カメラの技術は様々な分野で活用されており、日々注目を集めています。そんな業界の一つに建設業界があり、近い将来、360度カメラは建設業界の必須アイテムになるかもしれません。今回は実際の現場で360度カメラがどのように活躍しているのか、通常のカメラと比較してどのように優れているのかという部分をご紹介していきます。
本記事の内容
建設業界でTHETAが活用
建設業界ではTHETAという360度カメラが活躍しています。THETAはリコー株式会社が開発・販売している360度カメラで、ご存知の方も多いのではないでしょうか。Insta360など、世界的に有名な360度カメラとも互角に渡り合える機種で、業界のパイオニア的存在ともいえるでしょう。
発売されたのは2013年で、一般向けに販売された世界初の360度カメラとしても有名です。スタイリッシュなデザインと確かな性能から、世界中にも多くのファンを獲得しています。充実したラインナップも特徴で、多くのユーザーのニーズに応えることができるでしょう。
シリーズを通して形状や基本デザインは一貫しているのですが、エントリーモデルからハイエンドモデルまで網羅しているので、初めて360度カメラを購入する人から、上級者向けモデルを求めている人まで、幅広く人にオススメできる、守備範囲の広い360度カメラです。
その特徴から、個人利用だけでなく今回ご紹介するように法人からも高い支持を得ています。建設業界以外にも多くのシーンで利用されている様子を当サイトでもいくつかご紹介しているので、気になる方は是非そちらも確認してみてください。
設備点検で360度カメラが大活躍
建設業界で360度カメラが活躍する一例としては、設備点検が挙げられます。ワンショットで全方位を撮影できるというその特徴から、建物や建設現場の点検、確認作業で重宝されています。
本体の小ささを武器に、狭いスペースや屋根裏の点検ができる
人間が入り込めない狭い場所や、視界の悪い暗い場所、危険な場所でも360度カメラは入り込むことができます。THETAは本体がとても小型なので、アームなどと組み合わせてダウンライトの穴から屋根裏に差し込むこともできます。
個人でTHETAを所有している人もこの方法はある程度真似することができるので、直ぐに屋根裏の点検をしたいときや、目に見えない場所に異常を感じたときなどにオススメです。
別の道具と組み合わせて危険な場所を点検できる
アーム以外にも360度カメラと互換性のあるアクセサリーは存在します。例えばドローンなどと組み合わせて足場の危険な建物を点検したり、人が容易に立ち入れない崖を調べたりすることも可能です。
このように、別の「何か」と組み合わせて能力を底上げできるのも360度カメラの魅力です。他に考えられるものとしては、水中ハウジングケースが存在します。THETAをはじめとした360度カメラの多くは防水性能を備えていないのですが、別売りのハウジングケースと組み合わせることで、防水性能を得ることができます。
THETA専用ハウジングケースの場合、IPX7の防水性能を備えているので、時間のかかる水中作業にも対応できる仕様となっています。ハウジングケースそのものに三脚ネジも空いているので、装着したまま他のアクセサリーと組み合わせることもできます。
上記のような方法で、これまでは苦戦していた場所やコストのかかる場所の設備点検を容易に行えるようになりました。
トンネルの点検でも活躍
建設現場の他に、トンネル点検でも360度カメラが活躍します。日本は山間の多い地形なのでそれに合わせて多くのトンネルを掘っています。しかしこれらのトンネル点検は容易ではなく、常に危険と隣り合わせです。かといって定期点検を怠れば大事故にも繋がりかねないので、無視することもできません。
老朽化したトンネルはひび割れや水漏れ、剥離などを起こす危険性を孕んでおり、これが進むと崩落などに結び付きます。トンネル点検の主な問題は高所作業と車通りです。
トンネルのアーチ状になっている、いわゆる天井部分は高さもあり点検も一苦労です。また、高速などに掘られたトンネルは交通量も多く、規制などを行う手間もあるので時間とコストがかかってしまうでしょう。
360度カメラは、それらの問題を解決してくれる可能性を秘めています。まず大きなポイントとして、作業の効率化が図れます。従来であればトンネル内を撮影した複数枚の写真を繋ぎ合わせて問題点を探していましたが、360度カメラは全方位を撮影できるのでその必要がありません。
特殊な形状をしているトンネル内写真の結合作業はストレスフルで煩雑極まりないものでしたが、この部分に光明を見出す形となりました。人工的に繋ぎ合わせた写真ではなく、機会がステッチングした画像なので、写真の完成が早いだけでなく、その精度も高いものとなっています。
結果的に問題の発見も早くなり、交通規制の時間や作業時間の短縮も実現します。手書きでの記録や高所作業を減らすことができれば、安全面での飛躍的な変化が起こるだけでなく、コスト面でも大幅な変化が見られることでしょう。
実際にトンネル内検査カメラの提案をしている企業も存在し、今後は導入事例も着実に増えていくかもしれません。民間と行政が上手に協力して、道路整備やトンネル点検などを効率化していくことができれば、長い目で見て国にとっても大きなプラスとなることでしょう。そして360度カメラは、その上で大きな役割を担うはずです。
点検以外の活用方法も
360度カメラが建設業界で役立つのは点検のときだけではありません。全天球写真をベースにして3Dモデルを作る例なども出ており、活躍の幅は日々広がり続けています。建物の建設段階を記録することもできるので、ミスや事故を減らしたり、新人の教育に役立てたりすることもできます。
現場にいなくとも正確なデータを収集することが可能なので、オフィスにいながら現場の人間に指示を出したり、情報を共有したりすることができるようになります。
担当者が地方や海外に行っていて不在だったり、ダブルブッキングしたりしても対処することができるようになるので、業務の効率化にも直結するでしょう。
THETAのようにAndroidベースのOSを採用している360度カメラは、プラグインを開発、インストールすることで機能の拡張をすることもできます。ITが根付いた現代なら、現場に寄り添ったTHETAを提供するサービスなんていうのも、そのうち生まれてきそうですね。
他にも建設業界で360度カメラが活躍している例は沢山あるのですが、それについては別の記事でもご紹介しているので、そちらも参考にしてみてください。
『建設業界で使われる360度カメラTHETA – Wrap』
終わりに
今回は建設現場で活躍する360度カメラにスポットを当ててご紹介しました。他の業界でも着実に活躍の場を広げているTHETAや360度カメラですが、その能力を最大限に引き出すためには、利用する人の発想力が不可欠となっています。これまでは360度カメラと無縁だった業界でも、アイデア次第で大活躍させることができます。これからは360度カメラを使いこなす力だけでなく、360度カメラの能力を理解する力も求められるようになるかもしれませんね。
スポンサーリンク