家にいても病室にいても外出ができる!360度VR・omoieizo
病気を患ったり歳を重ねたり、仕事が忙しかったり、事情は人によって異なると思いますが、思い通りに行きたい場所へと足を運べないという人は意外に多い気がします。今後は超高齢化社会が進む中で、そういう人の割合も増えていくのではないでしょうか。しかし暗い話ばかりではありません。技術が進歩したことで、家にいながらでも病室にいながらでも、旅ができるようになりました。
VRで思い出の場所を再訪「omoieizo」
VRにはゲームやスポーツ体験など様々な使い道がありますが、今回はその中でも硬派な用途にVRが用いられています。ビジュアル撮影やコンテンツ制作などを主力業務としている株式会社東地開発・omoieizo事業部(千葉市代表取締役:伊藤治)が2019年8月13日に発表したのは、外出を擬似的に体験できるサービスです。
終活サポート・人生の終末期 × 360°VR映像でかなえます。病室にいながら“外出を疑似体験”【最後にもう一度みたい風景】自宅や故郷・想いでの地など撮影サービス。
コンテンツのターゲットは病室にいる患者さんで、VR体験できるのは360度カメラで撮影された写真や動画になります。外の景色や馴染みの場所を訪れたいけれど、外出許可が下りないという人は少なくありません。
しかし、外の世界を見ることで、元気が出るという可能性も存在します。医療と思いの間にあるこの難しい問題に対して、同社は着目しました。病室にいる患者さん以外にも、終活を行なっている高齢者や地域の老人施設もターゲットに含まれています。また、個人にも需要がありそうなサービスなので、今後も需要は自然に広がっていくかもしれません。
8Kカメラで希望の場所を撮影
本サービスの申し込みをした場合、omoieizo自社カメラマンに撮影希望の場所を伝える必要があります。次に、それを受けたカメラマンが現地の様子を実際に撮影するのですが、この際8K3DVR専用のカメラが使用されます。
業務用の高性能カメラなので、作成された映像は非常にリアルなものとなるでしょう。また、事前に打ち合わせなどを行い正確な希望の聞き取りも行うので、訪れたい場所、見たい景色をちゃんと撮影してもらえます。
その後に映像が完成したら、VRヘッドセットを使い実際に体験するというのが一連の流れです。品質の高い映像を使ったVR体験は、とてもリアルで没入感の高いものになるでしょう。
当然注文後に撮影という流れになるので時間はかかりますが、その代わり希望に沿ったオーダーメイドの映像が実現します。観光地や有名な場所だけでなく、何気無い日常を撮影してもらえるのも魅力です。
もう一度訪れたい場所というのは、必ずしもメジャーな場所であるとは限りません。商店街の一角。自宅の中、観光誌にも載らない純喫茶。そういうマニアックな場所でも、現存さえしていれば撮影してもらうことができるのです。
目指すのはQOLの向上
東地開発はこのサービスで、利用者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を目指したいと述べています。超高齢化社会を迎えるにあたって、個人の人生の質を上げるということには重要な意味があります。
核家族が当たり前になった現代では、孤独というのは凶器になり得ます。同時に、雇用の延長などで社会に所属して働く時間も長くなるからこそ、それ以降の時間を充実させることを疎かにしてはいけません。
そうは言っても、金銭的な事情もあるので全ての家庭、全ての高齢者が行きたいときに旅行に、観光地に、行きたい場所に行けるというわけでもありませんし、体力的な壁も存在します。だからこそ、安価で、体力を使わず、それでいて満足度の高いサービスが求められているのです。
高齢者が増えていく以上、今後も高齢者をターゲットにしたサービスは次々と打ち出されていくでしょう。その中で360度カメラやVRにできることというのは非常に多いのではないでしょうか。
「今は田舎に住んでいるけれど、若い頃を過ごした東京をもう一度訪れたい」
「新婚旅行で訪れた観光地を最後にもう一度見ておきたい」
「20代の頃に住んでいたアパートが、今どうなっているのか知りたい」
人によって人生の内容が異なるように、最後に見たい景色も異なるはずです。インターネットで調べればその場所が出てくる場合もありますが、それが必ずしも求めている角度か、天気か、映像かといわれれば、そうでないケースの方が多いでしょう。
こういったサービスを利用すれば、そのギャップを限りなくゼロに近付けることができます。終活サポートにも様々な方法が存在しますが、こういった心に働きかけるサポートこそが、本当に今求められているものなのかもしれません。
VRを使った擬似旅行は他にも
今回ご紹介しているサービスは、前述したように360度カメラで撮影した映像をVR体験するというものです。VRを用いた類似のサービスで過去にご紹介したものには、少し毛色が違いますが「ANA VIRTUAL TRIP」というのも存在します。
「旅好き必見!「ANA VIRTUAL TRIP」で行く新しい旅のプラン– Wrap」
このサービスも、VRヘッドセットを装着することで旅行を擬似的に体験できるというものです。病気や体力、年齢や時間などの理由で旅行に来られなかった人に思い出のお裾分けをできるというものですが、終活サポートサービスと決定的に違うのは、撮影を仲間内で行うという部分です。
機材なども本格的なものよりは劣るのでクオリティも下がることにはなりますが、家族や知人に依頼すれば「ANA VIRTUAL TRIP」でも簡単に思い出の場所を再訪することができます(本来ANAが紹介しているサービスの趣旨とは若干異なりますが……)。
自分達でもVR映像は作れる
終活サポートサービスや「ANA VIRTUAL TRIP」など、既存のサービスに全く頼らないという選択肢も存在します。その方法はとてもシンプルで、自分達でVR映像を作成するというものです。「VRコンテンツを自力で作るなんて難しそう」と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。家庭用の360度カメラでもVRコンテンツに対応しているものは数多くあるので、撮影を行い、VRヘッドセットさえ用意すれば誰でも簡単にVRコンテンツを作成することが可能です。
中にはVRに対応していない360度カメラも存在するので事前によく調べる必要がありますが、オススメはリコーが販売しているTHETAです。エントリーモデルであれば2万円前後、中級機でも5万円弱というリーズナブルな価格で手に入れられるので、初心者の方でも手を出しやすい商品となっています。
勿論VRにも対応していますし、本体もシンプルなので操作も単純です。分からないことがあっても情報が多いので、ネットですぐに調べられるのも初心者向きである理由です。当サイトでもTHETAに関連するニュースを多数取り扱っているので、よければそちらも参考にしてみてください。
おじいちゃんおばあちゃんの大切な想い出の場所だからこそ、子どもや孫の手で映像を撮影してきてあげたい。サービスに申し込んで打ち合わせを行うだけの時間がない。将来自分達が終活をする際の映像作りを今からしたい。そんな方は、思い切って360度カメラを手に入れてみましょう。
終わりに
私も大人になる中でいろいろな地に引っ越したり、旅行に行ったりという経験をしましたが、その経験の中で「もう一度行ってみたい」と思う場所は何箇所も存在します。しかしお金や時間など、諸々の問題を考えると簡単に足を延ばすことはできませんし、だからこそこういうサービスの需要は若者であっても、健常者であってもあるのではないかと感じました。忙しい現代社会において、このようなコンテンツが与える影響というのは、予想以上に大きなものなのかもしれません。
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