2020年は「5G元年」|5GでVRや360度カメラがこんなにも変わる

筆者:小林 悠樹

最近よく耳にする「5G」という言葉。日本でも注目をされるようになり、来年以降さらに目にする機会が増えていくことは間違いありません。そして、5Gでの通信が可能になると、私たちの生活スタイルも変わっていくと言われています。さまざまなサービスや商品が登場し、イノベーションが起きることが期待されます。5G関連のなかでも注目されているのがVRやARをはじめとする「360度コンテンツ」です。

この記事では5Gとは何か、5Gと360度コンテンツがどうして注目を集めているのかをわかりやすく解説していきたいと思います。

「5G」とは

5Gとは「5th Generation」の略。日本語で「第5世代移動通信システム」と言います。これまでの移動通信の規格は、1G→2G→3G→4Gと約10年おきに革新されてきました。

「1G」はアナログ方式の移動通信システム。肩から掛けるタイプの大型の携帯電話がこれです。「2G」からはデジタル方式に移行し、音声がデジタルデータに変換されて端末に届けられるようになりました。PHSはこの2Gに分類され、ドコモの「iモード」やKDDIの「Ezweb」、J-PHONEの「写メール」などもこの時期に誕生したものです。

その後登場したのが「3G」。3Gからは国際規格になり、携帯電話で国際電話ができるようになりました。そして、3G時代をもっともよく象徴しているのが、「スマートフォンの登場」です。iPhoneに代表されるスマホは、それまでのフィーチャーフォンと異なり、画質・通信スピードなどスペックが格段に上がり、いまでは持っていない人のほうが少ないほどにまで普及しました。

4Gでは3Gからさらに通信速度が上がり、高画質の動画や本格的なスマホゲームを楽しめるようになりました。このように規格が変わるごとにデバイスが進化し、新たなサービスがどんどんと登場してきました。

日本では2020年が「5G元年」

東京オリンピックをきかっけとして、日本では2020年から5Gの本格的な商用利用が始まります(世界的にはアメリカや韓国など、すでにスタートしている国もあります)。2019年8月時点では、ソフトバンクやauが5Gのプレサービスを始めたりしています。NBAプレイヤーの八村塁選手が出演しているソフトバンクの5GのCMを見たことがある方も多いのではないでしょうか。

5Gを提供するキャリアもすでに発表されています。2019年4月に総務省より5G周波数の割り当て結果が公表され、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルの4社の提供が決まりました。

ただし、2020年から開始といっても、全国に基地局を設置するのには時間がかかります。各社ともインフラ整備を徐々にすすめ、ひと段落するのが2024~2025年とされています。

【出典】総務省HPより

5Gの特徴とは? 4Gとどう違うの?

それでは具体的に4Gと5Gはどのように違うのでしょうか。

それは、5Gの大きな特徴として以下の3点が挙げられます。

・高速大容量通信
・多数同時接続
・超低遅延

それぞれ簡単に見ていきましょう。

高速大容量通信

まず5G最大の特徴は、通信速度が大幅に向上する点です。4Gの通信速度は下り最大約1ギガbps、上り最大数百メガbpsですが、5Gになると下り20ギガ bps、上り10ギガ bpsが水準となります。つまり、4Gから5Gに移行することで通信速度が数十倍、最大で100倍以上にもなると言われます。いままで数分かかっていたダウンロードが、ものの数秒で完了するということを意味しています。

※通信速度の下りとは、「基地局→デバイス」の向きの通信(例:アプリのダウンロード)。上りはその逆で「デバイス→基地局」の向きになります(例:SNSでの写真投稿)。またbpsとは「bits per second」の頭文字で、1秒間に送れるデータ量を表します。

多数同時接続

多数同時接続というのは、1つの基地局と繋がれる端末が4Gの時と比べて格段に増えるということです。「花火大会の会場で、やたらネットが遅い」という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。人口密集地においては、基地局の接続可能な端末数のキャパを超え、回線が混み合うことで遅延や接続不可ということがよく発生します。4Gでは一つの基地局につき「100台の端末で限界」というケースもありますが、5Gになればこれが100倍の1万台ほどまで接続可能になります。

そして、4Gでは基本スマホやパソコンが主なネット接続デバイスでしたが、5Gでは基地局のキャパをほとんど気にしなくて済むため、さまざまなものがインターネット接続できるようになります。テレビや車、時計、冷蔵庫、洗濯機、クーラーなど、家にある家電がネットワークにつながるようになると考えられています。

超低遅延

大容量通信、多数同時接続が可能になると当然、速度遅延がなくなっていきます。4Gと比べて遅延は10分の1になるとも言われており、YouTubeやNetflix、Huluなどの動画コンテンツもストレスなくシームレスに楽しめるようになります。そのほかにも、自動運転や医療ロボットなど、遅延やエラーがあってはならない場面でも使いやすくなり、産業面でも5Gの活用が進んでいくことでしょう。

5Gで私たちの生活はどう変わる?

2~3Gまでは写真コンテンツが主流であり、4Gになりユーチューブや本格的なネットゲームのようなデータ容量の大きいコンテンツを楽しめるようになりました。

そして、5Gになるとそれにさらなる拍車がかかります。スマホで動画を見る際、ストリーミング再生がいまは主流ですが、接続環境によっては「途中で止まる」ことも少なくありません。しかし5Gではそのストレスが限りなく0に近づいていくことでしょう。

万物IoT時代になる

先に述べた5Gの特徴を見ればわかるとおり、ネットにつながるのはスマホ・パソコンだけではありません。すでにテレビや時計などはIoT化が進んでおり、それが家にある家電すべてになることだってありえます。しかも、単体でネット接続するのではなく、家電どうしでもつながり、まるでクモの巣のようにネットワークが形成されていきます。

たとえば、財布と冷蔵庫がIoTでつながった場合。買い物のデータと、冷蔵庫にある食材のデータをかけあわせて、今晩に最適なレシピを提案してくれるかもしれません。車とスマホがつながれば、スマホで管理しているスケジュールをもとに目的地まで自動運転で向かってくれるかもしれません。ありとあらゆるモノどうしがつながり、生活が一変するということです。

※IoTとは「Internet of Things」の略で、いろいろなモノがインターネット接続され、モノどうしで情報交換がおこなわれる仕組みのこと、

5Gと360度カメラ・VRの相性は抜群

最後はすこし夢物語のように見えてしまったかもしれませんが、個人的にはそこまで非現実的なことでもないと思います。そう遠くない未来にそういった生活が待っていると考えています。

さて、話を本題に戻したいと思います。

5Gサービスが開始されるにあたり、注目を集めているのがVRやARのような3Dコンテンツです。VRやAR、MRなどを総称して「XR」などと呼びますが、XR関連の市場が5Gの登場でさらに伸びていくことは間違いありません。

通信速度が上がれば現在の動画のような感覚で、大容量データを要する3Dコンテンツを楽しめるようになります。現在はコンテンツの質、活用用途ともに発展途上であり、一般ユーザーを満足できる水準には達していません。しかし、2Gでiモードが出たように、3Gでスマホが登場したように、4Gで動画系SNSが人気を博したように、インフラ環境が改善されれば当然コンテンツの質・量ともに変化していきます。それが、5Gの場合では「XR」ということです。

最近では360度カメラが徐々に広まっていますが、こちらの未来も明るいでしょう。360度写真や動画は通常のものよりも容量が重く、データの取り扱いがネックにもなっています。たとえば、同じ尺の動画でも360度動画はスマホで撮ったものよりもデータ容量は5倍ぐらい大きくなってしまいます。これについても5Gの高速通信が実現すれば、カメラから一瞬にして直接クラウドストレージに保存できたり、一瞬にしてメール送信やSNS投稿ができたりと、使い勝手がかなり向上するはずです。

「5G × XR」のサービスはどんなものが生まれるか

さて最後に「5G×XR」関連の新サービスを勝手に予想して考えてみたいと思います。

VRライブストリーミング

VRのライブストリーミングは、すでに似たようなサービスが出始めています。たとえば、ソフトバンクの「LiVR」。スポーツ中継をVRコンテンツとして見られるサービスです。プロ野球のソフトバンク戦や格闘技、舞台などがラインナップされています。そのほかにもNTTドコモが2019年7月にオープンした「PLAY 5G 明日をあそべ」も「5G×XR」を体感できるサービスです。ここのイベントブースではいろいろなVRコンテンツを楽しむことができ、5Gが実際に採用されているので、高速通信・低遅延を肌で感じることができます。

このようにVRライブストリーミングは既出のサービスですが、まだまだ発展途上です。こういった関連のサービスは、今後も注目を集めていくことでしょう。

360度コンテンツ専門SNS

こちらはまだ登場していないサービスです。フェイスブックやインスタグラムは、写真・動画の投稿がメインですが、将来的には360度写真や360度動画専門のSNSが登場するかもしれません。4G環境下では、360度コンテンツはデータ容量が重く、投稿するにも閲覧するにもどうしてもストレスがついてまわります。

5Gになればそのボトルネックが解消され、通常の写真のように楽しむことができます。そして、SNSを楽しむデバイスも変化していきます。今はせいぜいパソコン・スマホ・タブレットといったところですが、将来的には「ヘッドマウントディスプレイやスマートグラスのような身体拡張型のデバイスが主流になる」と言われています。そうなると2次元よりも、未開の可能性を持つ3次元コンテンツが人気になっていくかもしれません。

すでにフェイスブックはヘッドマウントディスプレイ大手のオキュラスを買収しており、この予想はあながち間違ってはいないと思います。

VRによる体験シェアサービス

5GではライブストリーミングでVR映像を見られるほか、その映像を複数人で同時共有することができるようになります。そうなるとどうなるか。VR上でみんなで旅行に行く、スポーツをする、ゲームをする、こういったことが可能になります。いうなれば、体験のシェアです。いままではリアルで友人どうし集まって、楽しんでいたものが、それぞれ別の場所にいながら遊べるようになります。

JAXAとリコーが開発している360度カメラの外観

また、普通ならできないようなこともVRなら体験できます。たとえば、先日JAXAとリコーが宇宙用の360度カメラを共同開発していることが発表されました。宇宙船にカメラを乗せ、宇宙の様子を360度写真や動画を記録することを目的としているそうです。5Gならこの映像をリアルタイムで配信して、VRで宇宙旅行を疑似体験できるようになるかもしれません。VRであれば体が不自由な人でもさまざまな体験ができるので、これから高齢化が進む日本ではこういった体験シェアのサービスが人気になっていくと考えられます。

まとめ

5Gの特徴は「高速大容量通信」「多数同時接続」「低遅延」の3点。これまでの通信と比べ、劇的に速く、そしてたくさんのモノがネットにつながるようになります。まだ本格的にはスタートしていないため不透明な部分はあるものの、それにあわせて数多くのサービスが登場することでしょう。

そのうちのひとつが「360度コンテンツ」です。「360度コンテンツ」のネックだったデータの重さを5Gが解消してくれるので、将来的にはヘッドマウントディスプレイや360度カメラが市民権を得ていく可能性は決して少なくありません。5Gとともに、今後世界でどのようなイノベーションが生まれるのかとても楽しみですね。

【参考URL】
平成30年版 情報通信白書のポイント|総務省
5G特設ページ|ソフトバンク
次世代のワクワクを、5Gで広げよう。|au
LiVR|ソフトバンク
「PLAY5G 明日をあそべ」|ドコモ
JAXAとリコー、宇宙空間で使用可能な小型全天球カメラを共同開発|リコー

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