核家族化の救世主。場所や年の離れた家族と360度カメラで交流

筆者:阿久津 碧

核家族化が進む今、いわゆる「サザエさん一家」のような暮らしをしている家族は少なくなっているのではないでしょうか。その良し悪しはさておいて、このことによって生じる年の離れた家族との間に浮上するコミュニケーション問題は深刻です。そんな現代の闇を、360度カメラが解決してくれるかもしれません。

住んでいる場所と年齢が離れた家族

子どもは東京に、両親は地方にという生活スタイルをしている家族の割合は年々増えています。都内一極集中型となっている今の人口密度を見てもそれは明らかでしょう。子どもと親が離れているということは、孫と祖父母が離れているということでもあります。

「孫と会うのは正月とゴールデンウィーク、お盆くらいのもの」、「久々に会ったら随分成長していた」、「大きくなってからは孫が顔を見せなくなった」といった話も珍しいものではないでしょう。

年齢は仕方ないにしても、住んでいる場所が離れてしまうと、中々会いに行くことができませんし、孫と祖父母の交流が断絶されてしまいます。私も祖父母が健在だった頃、「おじいちゃんやおばあちゃんに会いたい」と思っても、どうしても距離という問題がネックになっていました。

中学生、高校生だと頻繁に、それも気軽に地方に赴くだけの財力もありませんし、学業などの問題もあるので中々まとまった時間も確保できません。そうなると結局、夏休みや正月など、年に数回しか会いに行けないということになってしまいます。

結局そうこうしているうちに祖父母側も身体の自由が利かなくなっていきますし、気がつくと「もっと沢山会いに行っていれば」、「色々な場所に旅行とか行きたかった」という無念な気持ちだけが残ってしまいます。これは私にとってだけでなく、母や父にとっても苦い思いとなったのではないかと、今にしてみれば考えられます。

離れた場所でも繋がれる360度カメラ

ここまで話したような問題や、私が経験した無念な気持ちに対して、360度カメラやVR技術は一つの解決策として活躍できるのではないかと思います。例えば九州に住んでいる祖父母に対して東京の景色や空気感を伝えるという場合、平面的な写真などよりも立体的に、かつリアルな景色を360度カメラは届けることができます。

このとき重要なのは、ただの360度写真や動画ではなく、必ずVRヘッドセットと組み合わせて利用するということです。全天球写真や動画は興味深い写りになりますが、それ単体ではどうしても立体感を伝えられませんし、没入感を得ることもできません。

しかしその画像や動画を、VRヘッドセット越しに見れば、たちまちその場所に足を運んだかのような没入感を味わうことが可能となります。年の離れた祖父母に対してVRヘッドセットの使い方を伝えるのは簡単ではないかもしれませんが、早い段階から教えておくことで、その難易度も一気に下がるかもしれません。

最近は高齢者でもスマートフォンを使ったりパソコンを操作したりという例が当たり前にあるので、苦手意識さえ取り除くことができれば、スムーズに操作方法も覚えてくれるかもしれませんね。

ヘッドセット自体はオンラインショップや家電量販店で簡単に購入することができるので、予算と相談してみてください。かなり安価なものも出回っているので、少ない予算でも購入することはできます。しかしどうしても映像のリアリティや細い作りなどは値段と付随してしまう部分があります。

後になってから性能に対して不安を抱くよりは、初めにある程度のものを購入しておいた方がいいかもしれませんね。また、VRに対応している360度カメラを選ぶということも重要です。

ヘッドセット同様、360度カメラも多種多様なモデルが展開されており、価格や性能も千差万別です。全ての360度カメラがVRに対応しているというわけではないので、購入前にしっかりと調べるようにしましょう。安さ重視で選んだらVRに対応していなかった、なんていうことになったら勿体ないですからね。

オススメとしてはリコーが販売しているTHETAという360度カメラがあります。当サイトでもTHETAのニュースについて度々取り上げていますが、個人だけでなく法人にも様々なシーンで利用されており、幅広い業界から信頼を得ている360度カメラです。

もちろんVRにも対応していますし、日本製のカメラなので故障時のサポートも安心です。海外製の360度カメラだとサポートセンターが国内になかったり、インターネットで得られる情報が限られたりするので、この部分はとても重要です。

価格はエントリーモデルであれば2万円前後、中級機の「THETA V」でおよそ6万円、上級者向けの「THETA Z1」は11万円弱となっています。ヘッドセットもそうですが、カメラも価格によって画質や性能が大きく変わってきます。

リアルな景色を家族と共有したい場合や、夜景や動画の撮影も積極的に行うという方は、中級機の「THETA V」以上の機種がオススメです。他にも海外製になりますが、中国のInsta360なども360度カメラとしては有名で、世界的なシェアも高い製品となっています。

こちらも日本での販売に力を入れていて、年内には日本支社の開設も予定されている勢いのあるメーカーとなっています。

中国の360度カメラInsta360、日本支社が年内にも開設か

VRトリップは既に現実のものに

個人で家族との交流にVRを利用している人がどれほどいるかは分かりませんが、企業単位では既に類似の提案をしている例がいくつも存在します。例えばVRで北海道旅行の計画を立てられるプランなどもありますが、家族でこういったサービスを見ながら計画を立てるのも面白そうですね。

VRで旅行のプランニング。北海道の絶景を家でも楽しめるサービス

他にも株式会社ジョリーグッドの取り組みで、病院で過ごす子ども達に、VR旅行をプレゼントするというイベントも過去にはありました。病気の子どもだけでなく、老人ホームや介護施設に入っている高齢者に対しても、これはそのまま流用できそうですね。

病院で過ごす子供たちのためのVR旅行。リノリウムの上から世界へ

有名どころではANAの「ANA VIRTUAL TRIP」があります。こちらはリアルタイムで旅先の様子を伝えられるので、より一緒に旅をしている感覚がリアルになります。都内で執り行われている孫夫婦の結婚式を地方の自宅から見る、なんていう用途にも使えそうですね。

旅好き必見!「ANA VIRTUAL TRIP」で行く新しい旅のプラン

他にも株式会社ハコスコが、高齢者向けの360度カメラ、VR旅行を提案する取り組みを行っている例もあり、これらのテクノロジーは人生百年時代に寄り添う必須アイテムとしての立場を着実に確立しています。

VRを介してテーマパークに足を運んだり、買い物をしたりということも着実に実現していますから、今後は孫と祖父母、子どもと両親の距離が離れていても、それを感じなくなる時代が訪れるかもしれません。それは素晴らしいことである反面、直接会いに行く動機を消し去る恐ろしいものであるかもしれません。

だからこそ私たちは、その技術を日常生活で当たり前に扱えるようになったとき、技術でカバーしきれない温もりの大切さを忘れないようにする必要があるのではないでしょうか。

終わりに

360度カメラやVRの技術は素晴らしいものですが、完全なものではありません。可能な限り直接足を運んで会いに行って、実際に色々な場所へと足を運んで思い出を築くのが望ましいでしょう。しかしそれが容易には行えない人や、身体的な課題がある人、360度カメラやVRを一つの思い出作りとして利用したいと考えている人にとっては、とても大きな役割を果たしてくれるのではないかと思いました。今後更に技術が発達する中で、味覚や触覚なども共有できる術が生まれれば、よりリアルな遠隔コミュニケーション手段として確立されるかもしれませんね。

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