自分の車をGoogleカーに!Insta360を車に乗せてGoogleカーを作ろう

筆者:阿久津 碧

Googleが提供しているサービス「Googleマップ」は立体的に地図を見ることのできる機能も搭載していますが、あれは元となる映像を「Googleカー」と呼ばれる、大型の360度カメラを積んだ車を用いて撮影を行なうことで実現しています。当然そんな車は一般向けには販売されていませんが、頑張れば自分で作り出すことは可能かもしれません。

自家用車をGoogleカーに

自家用車をGoogleカーのようにするなんて、何だか夢のような話ですが、実現不可能というわけではありません。方法はシンプルで、実際のGoogleカー同様、車のルーフに360度カメラを乗せてしまえばいいのです。

撮影映像にどれくらいの画質を求めるか、予算はどれくらいかなど、条件によって乗せる360度カメラは変わってきますが、まずはプロ用のカメラを想定して考えていきます。車に乗せる360度カメラとしてどのようなものが適しているかを考えるのは中々難しいですが、重視するのは以下の点です。

高精度なステッチング

ステッチングとは、複数のレンズで撮影された静止画や動画を繋ぎ合わせる技術のことを指します。ソフトなどを使って自力でステッチングを行うことも可能ですが、昨今の360度カメラであれば、自動ステッチングでも綺麗に映像を繋ぎ合わせてくれます。

車に360度カメラを乗せた状態で撮影を行うということは、当然その車は動いているということが前提になります。動きながら撮影した動画はリアルタイムでステッチングされることになりますが、その場合、ステッチングの精度は並大抵のものではいけません。この部分を突き詰めると、ルーフに搭載するのに適しているのは、ある程度プロ向けのカメラということになります。

高い手ブレ補正機能

撮影を行う車が綺麗に舗装された道路だけを走るとは限りません。傷んでいるアスファルトや舗装されていない悪路を走るということも人によってはあるでしょう。そうなったとき、カメラ側の手ブレ補正機能が中途半端だと、完成した映像も歪んだものになってしまいます。

動いている車に乗せることができて、尚且つ高い手ブレ補正機能を搭載しているカメラとなると、かなり限られてくるかもしれませんね。

遠隔操作が行える

カメラの録画を開始したり停止したりする際、遠隔で行うことができるというのも重要です。操作を行う度に車を止めるのでは面倒ですし、そうかと言って走行中に屋根に登るわけにもいきません。

スマートフォンなどから撮影操作を行える機種は安価なものや家庭用の360度カメラでも多くあるので、この部分はそれほど機種選びのネックにはならないでしょう。

長時間のバッテリー駆動

長ければ長いほどいいので具体的な時間はなんとも言えませんが、可能な限りパワフルなバッテリーを備えていることが好ましいです。撮影先で充電が切れてしまうなどのトラブルが発生すると、それだけ予定を押したり支障をきたしたりすることになってしまいます。

車に乗せるなら「Insta360 Pro2」

シュールな見出しとなってしまいましたが、諸々勘案すると、車に乗せて撮影を行うのに適しているのは「Insta360 Pro2」なのではないかという結論に至りました。

シリーズではおなじみの手ブレ補正「FlowState」を搭載しているので、走行中の車からでも安定した映像を撮影することができます。付属の「FarSight」機能を利用すればリモート撮影も簡単なので、車に乗りながらの撮影も問題ありません。

Insta360 Proではこちらはオプションという形でしたが、Pro2からは標準搭載な点もポイントが高いですね。「FarSight」は地上で300メートルまで離れていても利用可能なので、少々大袈裟な感は否めませんが、役立つことは間違いないでしょう。

手ブレだけでなく映像美も見事なものです。3D8K映像に対応しており、本体には6台の4Kカメラが搭載されています。それらのカメラで一瞬にして周囲の映像を捉えることができるので、ステッチングの美しさも折り紙つきです。

映像にとどまらず、4つの内蔵マイクを駆使して360度の音響も正確に録音します。映像と音、両方をリアルに体感することができるのは、流石プロ用360度カメラといったところでしょうか。3DVR映像などの形で映像を「体験」すれば、その没入感に一目惚れすることでしょう。

ただし価格は60万円以上するので、誰でも手が出せるというわけではありません。360度カメラを使ったビジネスに興味を抱いていたり、趣味と実益を兼ねた用途での導入を検討したりされている方にはオススメですが、簡単には手が出せなさそうですね。

弱点も理解しよう

車用360度カメラとしては非の打ち所がなさそうな「Insta360 Pro2」ですが、注意点もあります。まず、防水性能は備わっておらず、雨天での使用は推奨されていません。そのため、撮影を行う場合は晴天か曇天の日に限られてしまいます。

次に、バッテリー駆動時間です。前のモデルに当たる「Insta360 Pro」と比較すると、「Insta360 Pro2」のバッテリー駆動時間は25分短い50分となっています。高い画質を始めとした性能の向上により、バッテリー消費速度も加速してしまったのかもしれません。

ただしこれらの問題は、上手に付き合えば大きな障害とはなりません。まず、雨の日にわざわざ車の上に360度カメラを積んで撮影に行くことがどれほどあるかと考えると、その機会はそれほど多くはないでしょう。

バッテリーに関しても、1時間未満しかもたないのは一見して大きなネックに感じられますが、「Insta360 Pro2」はホットスワップに対応しているので、実質的には給電環境さえ整っていれば50分以上の撮影も可能です。こう考えると、防水非対応やバッテリーの課題は小さなものに思えます。

個人的に一番気になるのは、ストレージに関する部分です。「Insta360 Pro」は128GB以上のSDカードを一枚用意すれば、それで撮影データを保存することができました。しかし「Insta360 Pro2」はレンズそれぞれにmicroSDカードを挿入し、その上でメタデータやプロキシファイルを保存しておくためのSDカードを準備しなければいけません。

レンズは前述したように6つあるので、全部で7枚の記録媒体を準備しなければいけないという計算になります。「Insta360 Pro2」を購入している時点で相当な設備投資を行なっていることになるので今更という感も否めませんが、地味に面倒な仕様ではあると思います。

とは言ったものの、大容量のmicroSDカードを入れておけば頻繁に抜き差しすることはありませんし、この仕様のおかげで美しいステッチングと美麗な録画が実現すると思えば、小さな手間かもしれませんね。

家庭用360度カメラでも地図作りはできる

冷静に考えるまでもなく「いくら何でも趣味の範疇でGoogleカーは作れない」という方が大半だと思います。しかしご安心ください、そういう方でも簡単にGoogleマップのような地図を作成することは可能です。方法は至ってシンプルで、車ではなく自分の足を使えばいいのです。

歩いて撮影する分には家庭用の360度カメラのステッチング能力でも十分ですし、手に持ちながら簡単に撮影も行えます。撮影できる場所は自分で歩いて回れる範囲に限定されてしまいますが、車が入れないような場所でも撮影が行えるという強みもあります。

リコーのTHETAなどは小型で荷物にもなりませんし、Insta360の一般ユーザー向けモデルも「FlowState」が普通に搭載されていますし、GoProなどが出している360度カメラは水にも強く、いずれも10万円以下で手に入るモデルを多数発売しています。

高い投資を行わずとも個人でGoogleマップのような地図を作ることは可能なので、360度カメラや地図作り、VRに興味を抱いているという方は、予算に合わせて色々と模索してみるのも楽しいかもしれません。

終わりに

個人でも映画撮影や映像製作が気軽に行え、新しいサービスを提供する会社も簡単に設立できる時代になりました。何を軸にしてビジネスを行うかは様々ですが、360度カメラやVRといったテクノロジーの勢いは今後益々勢いを増していくことが予想されます。もしもその業界に足を踏み入れたら、自家製Googleカーを作らなければいけないという場面に遭遇するかもしれませんね。

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