360度静止画VR編集・制作サービスをアクセリア株式会社が提供開始
Webデータのコンテンツ配信プラットフォーム提供事業などを行うアクセリア株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:牧野 顕道、以降アクセリア)が、画像を編集して自分で簡単にVRコンテンツを制作できるサービスの提供を開始しました。同社ではこれまでにもVRコンテンツに関連するサービス『Accelia VR』を提供していましたが、新サービスにはどのような違いや特徴があるのでしょうか。
本記事の内容
『Accelia VR PanoStudio』でVRコンテンツが手軽に
アクセリアが新しく提供を開始した『Accelia VR PanoStudio(アクセリア・ヴイアール・パノスタジオ)』は、写真などの静止画を編集することで、オリジナルのVRコンテンツが作り出せるサービスです。
冒頭でも述べた通り、同社ではこれまでにも『Accelia VR』という類似のサービスを提供していました。こちらもVRコンテンツに関連するサービスで、編集や配信など、コンテンツの制作や拡散に必要な操作を一貫して行えるものでしたが、『Accelia VR PanoStudio』は『Accelia VR PanoStudio アルファ版』を改良した正式版という扱いになっています。
自分で撮影したり人から譲り受けたりした360度画像を元に、VRコンテンツを制作できるというオンライン・オーサリングツールとのことですが、最大の強みは操作の手軽さです。編集したい画像はドラッグ&ドロップで簡単にアップロードすることができ、編集画面も平易なものとなっています。
アップロードが完了した後の流れとしては、画面にプレビューが表示されるので、それを見ながら静止画同士を矢印で繋いでいきます。この作業を繰り返すことで、複数枚の360度画像が、一つのVR空間に変わっていきます。
「誰でも使えるVRコンテンツのオンライン・オーサリングツール」をコンセプトとしているので、マニュアルなどがなくても簡単に操作が行えてしまいます。完成したVRコンテンツは、専用の埋め込みタグをWebページに貼り付けるだけで公開が完了します。
動画や他サイトへのリンクを貼り付けるような感覚で手軽にVRコンテンツを公開できるので、コンスタントにアップロードが必要な場合もストレスフリーで行えます。
新機能でよりリアルなVRを
『Accelia VR PanoStudio』には『Accelia VR PanoStudio アルファ版』には実装されていなかった「音声挿入」や「画像挿入」などの新機能があります。VRで音声が入っている例はまだまだ少なく、これまで没入感を上げる主な要素は画質でした。
高性能な360度カメラで撮影を行い、同じく高性能なVRゴーグルで空間を体験することが最良の手段だったのです。しかしその方法では、あくまでVR空間という枠から抜け出すことはできません。動きがなく、音もない空間は現実とは異なるもので、どこかで限界を感じてしまいます。
ですがそこに音や画像が加わればどうでしょう。海のあるVR空間に波の音が加われば没入感は格段に上がります。人の多い場所に足音や話し声を足すのもいいでしょう。『Accelia VR PanoStudio』では、そういう一歩進んだVR作りを実現することができます。
他にもテキストの追加などが行えるので、VR観光案内やプレゼントといった使い方を模索することもできます。視覚だけで相手に届けるのではなく、音や文字、画像などの手段を組み合わせることで、より空間として、そして情報としての精度を上げられるはずです。
『Accelia VR PanoStudio』の料金プラン
『Accelia VR PanoStudio』にはスタンダードとプレミアム、二つの料金プランが用意されています。それぞれの違いは以下のようになっています。
用途によって最適なプランを選択する必要がありますが、目安としては1万PVならスタンダード、100万PVを超えるサイトならプレミアムが推奨されているようです。
上記の表からは保管できる枚数や運用できるアカウント、プロジェクト数に大きな違いがあるのがお分かりいただけるかと思います。メディアやブログを立ち上げた当初はスタンダードから加入して、PV数が増えたり複数アカウントを展開したりするようになったらプレミアムに移行するという使い方も良いかもしれませんね。
詳しい料金体系や注意事項に関しては公式サイトをご参照ください。
『Accelia VR PanoStudio』の導入シーン
かなり多くの利用シーンが考えられそうな『Accelia VR PanoStudio』ですが、ぱっと思いつくものでは以下のようなものがあります。
観光地のPR
県や市の観光情報サイトで、PRに利用するという方法が考えられます。VR内で土地の歴史を説明したり、名所をVRで紹介したりします。普段は入れないような場所を掲載するのも面白いかもしれません。
大型複合施設の案内
建物の案内にも『Accelia VR PanoStudio』は有効です。総合案内などを設けるのではなく、VRヘッドセットを用意することで、訪れた人の疑問に対して空間で答えていきます。人件費をカットできるのも利点です。
施設見学
小学生の頃、工場や施設の見学に足を運びましたが、そういった用途にも『Accelia VR PanoStudio』は使えるのではないでしょうか。テキストで説明を入れられるため、ただ施設を見学する以上に学びがあるかもしれません。実際足を運ぶ前の予習教材としての使い方も考えられます。
不動産業
既にVRによる不動産見学は実際に行われており、当サイトでもその有用性を過去にご紹介しています。
VR不動産見学は近い将来、間違いなく高い注目を集めることになりますが、『Accelia VR PanoStudio』はその勢いに拍車をかけるのではないかと思われます。自宅にいながら簡単に不動産見学が行える上、解説が必要な部分、物件の注意事項などについて、事前にVRに入れ込めるのは画期的です。
遊園地や結婚式場の紹介
遊園地にどのようなアトラクションがあるのか、結婚式場がどんな雰囲気なのかなどは、平面的な画像では中々伝わりません。園内地図や写真を見る限りは広そうだったけど、実際には思ったよりも狭くて陰気な空気だったなんていうこともあるでしょう。
HPの写真などは綺麗に撮影されているので尚更です。VRであれば、良くも悪くもありのままの、そしてリアルな雰囲気を届けることができるので、顧客のミスマッチを防ぐ意味では非常に効果的です。広い施設や、普段一般の方にとってあまり馴染みのない場所を紹介するのにも、『Accelia VR PanoStudio』は役立つはずです。
『THETA360.biz』との競合も
アクセリアのサービスを目にして最初に思い出したのが『THETA360.biz』のことです。こちらはリコーが提供する360度コンテンツの制作・公開ツールで、既に多くの企業(約5000社)に導入されています。リコーといえば360度カメラのTHETAで有名ですが、『THETA360.biz』はTHETAで撮影したコンテンツをVRデータに編集して公開するというサービスです。
どちらも類似した部分があり、ニーズも被っています。こうなると、以前からサービス提供をしていた『THETA360.biz』の方が有利ですし、『Accelia VR PanoStudio』の方が顧客の獲得に苦労するかもしれません。『THETA360.biz』には月々5,000円から50,000円、4つのプラン(30日限定の0円フリープランを合わせれば5つ)が用意されており、それぞれ機能も異なっています。
ユーザーはそれぞれのサービス、そしてそれぞれの料金プランや機能を比較しながら最適なものを選ぶことができます。一方でサービスを提供する企業側は、今後料金だけでなく、様々な面でライバル企業に勝ち抜くための戦略を練っていくことでしょう。VRが盛り上がりを見せる中で類似のサービスは更に増えていくかもしれませんが、当サイトでもその動きに注目していきたいと思います。
終わりに
本文中でもお伝えしましたが、『Accelia VR PanoStudio』は誰でも簡単に利用できるというのが最大の強みです。インターネットが各家庭に当たり前に普及していなかった時代があったように、一昔前はVRも高度な専門性が求められる領域でした。しかしこういったサービスの登場により、その浸透速度は爆発的に早まるかもしれませんね。簡単に使えるVRサービスの登場、そして企業の努力は我々消費者にとって、本当にありがたいものです。
参考:
アクセリア、360度静止画VRをオンラインで簡単に編集できる新サービス『Accelia VR PanoStudio』の提供開始!
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