フクロウ型ビデオ会議特化型360度カメラ「Meeting Owl Pro」

筆者:阿久津 碧

仕事の多様化が進んでいる昨今、遠隔地にいる仕事仲間とのビデオ会議を導入している個人や企業は爆発的に増えています。しかしビデオ会議は直接会って話すのとは感覚が違うので、多人数を相手に会話をする際にはどうしても混乱してしまいがちです。そんなリモートワークの課題を解決する360度カメラが登場したので、今回はその製品についてご紹介していきます。

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ビデオ会議とは

ビデオ会議とは、チャットツールやビデオ会議特化型プラットフォームのビデオ通話機能を利用して、離れた場所に住んでいる人と会議を行うことを指します。会議以外に面接や簡単な打ち合わせ、緊急の連絡などにも活用することができるので、近年は多くの企業で導入されています。

オフィスを構えずに、フルリモートで仕事を行う企業なども存在するのですが、そういった企業ではビデオ会議はまさに生命線のようなもの。実際に顔を合わせて喋ったことはないけれど、社員同士という関係性も珍しくありません。むしろ今後は、益々こういった働き方が増えていくかもしれませんね。

私も基本的にはリモートで働いているので、地方に住みながら都内の企業と打ち合わせや面接を行うことが日常的にあります。その際にはやはりこういった会議ツールを必ず使いますが、本当に便利だと痛感します。面接のために都内へ行く必要もなく、服装も上だけ着替えれば大丈夫。十年前なら想像もできなかった働き方ですが、今や世界の多くでそんな働き方が浸透しています。

ビデオ会議に特化した360度カメラ

ビデオ会議を行う場合、通常であればパソコンに内蔵されているカメラを使います。Mac系のカメラであればモニターの上部にカメラが標準搭載されていますし、Windowsモデルでも、量販店などで探してみると大抵のラップトップにカメラが内蔵されています。

とはいえそれらのカメラ機能はおまけのようなもので、本当にただ映すことだけを目的としています。ビデオカメラなどと比較すると画質も悪いですし、室内の明かりによっては角度の調節も必要になってしまいます。白飛びするようなこともあるので、天気や日差しの入り具合によっては場所を移動しなければいけない、なんていうこともしょっちゅうです。

しかしそんな問題を解決してくれる360度カメラも存在します。OWLLabsが開発したフクロウ型の360度カメラ「Meeting Owl Pro」もそのうちの一つです。同製品はビデオ会議に特化している製品で、密かに注目を集めているのですが、その見た目はまさしくフクロウそのものです。

Meeting Owl & Meeting Owl Pro | The best 360° smart conference camera experience

カラーはホワイトで、サイズは大きめのタンブラーと同じくらいです。圧迫感もないですし省スペースなので、机の上に置いても邪魔になりません。使っているビデオ会議ツールの中で、プラグインとして「Meeting Owl Pro」を選択すれば接続が完了するので、操作も極めてシンプルです。

価格はおよそ10万円で、廉価版の「Meeting Owl」は8万円ほどで購入することができます。ただしマイクピックアップ範囲や、ビデオの解像度などでは差が出てくるので、ここは予算や使用用途と相談する必要がありそうです。様々なビデオ会議プラットフォームとの連携が可能ですが、公式サイトで紹介されているのは以下のような会議ツールです。

・zoom
・Skype
・Google Hangouts
・GoTo Meeting
・Slack
・Microsoft Teams
・Bluejeans
・cisco
・WebEx

Skypeやzoom、Slackなどは私も頻繁に使いますが、初めて名前を聞くようなツールも沢山あります。WiFiによる接続の他、USBによる有線での接続にも対応しているので、会議を行っている環境によって臨機応変に使い分けることが可能です。

実際に使用している映像も公式サイトでは確認することができますが、その機能の高さを垣間見ることができます。搭載されている360度カメラの画質は非常に高く、会議に参加しているメンバー一人ひとりの表情を細かく確認することができます。

また、発言している人を認識し、その人の顔を分割してスクリーンに映し出す機能などもあり、大人数が参加する集まりの中でも、誰がどのタイミングでどのような発言をしているのかが一目で確認できます。

企業側の必需品となりそうな製品

 

画像引用:https://www.owllabs.com/meeting-owl

「Meeting Owl Pro」は高い性能を備えた魅力的な会議特化型360度カメラだと思いますが、一方でリモートワーカー側にはあまり需要のない製品でもあると感じました。最初にネックとなるのが、その価格です。会議用の360度カメラという極めて局所的な使い方ですが、価格はおよそ10万円と高価で、気軽に導入できないのが正直なところです。

また、どちらかと言えばこの製品の特徴は、多人数を正確に撮影して、発言者を認識するところにあります。つまり、会議に参加している企業のオフィスや、複数人が集まっている空間において活躍する製品なのです。リモートワーカー側は基本的に一人ですから、その空間を360度カメラで映し出すことのメリットはあまり感じられません。

コワーキングスペースやレンタルオフィスで打ち合わせに参加している場合は別ですが、自宅を職場としている人は家の中を丸ごと公開してしまうことになるので、そこもマイナスポイントです。

パソコンに搭載されているカメラの画質では満足できない場合には、別途会議用カメラを買い足すのはいいかもしれませんが、その際にこの製品が選択肢にあがるかも少々疑問です。360度カメラではなく通常の平面カメラであれば、もっと安い金額で買うこともできますし、画質的にも満足のいくものが見つけられるからです。

そう考えると、この製品は個人のリモートワーカー向けではなく、法人を対象とした製品であると結論付けることができます。多人数対個人でのビデオ会議を頻繁に行う企業や、遠隔地に住んでいる人にプレゼンを行う企業にとっては、かなり役立つアイテムではないかと思います。よほど頻繁に会議を行う企業でない限り、「Meeting Owl Pro」一台で事足りますし、業務の効率化を考えれば、企業単位の出費としてはそれほど大きくもありません。

「Meeting Owl」とどちらを購入するかは悩みどころですが、画質やマイク感度を鑑みると、「Meeting Owl Pro」の方が価格差から考えてお買い得でしょう。スタートアップなどを中心に業務委託やリモートワークの導入は活発に進んでいますが、その流れの中で、「Meeting Owl Pro」は相当な需要を見込めるのではないかと思います。

取引している企業がこういった会議ツールを導入していたら、リモートワークに理解のある企業なのだなと感じますし、業務を進行する面でも大変助かると思います。都内一極集中の流れが年々加速している今だからこそ、地方と都内の距離をなくすことが重要なのかもしれません。

今後は国内の企業でも同様の製品が続々と出てくるかもしれないので、そういった動きにも注目していきたいところです。

「Meeting Owl Pro」はビデオ会議特化型360度カメラですが、別の用途にも使えたり、更に価格を抑えたりした製品も登場してくるのではないでしょうか。既存の360度カメラを、ビデオ会議用カメラとして使えるようにするアダプターのようなものも出てくるかもしれません。ビジネスの世界でも注目され続ける360度カメラの動きから、今後も目が離せません。

終わりに

リモートワークという働き方は今後ますます勢いづいていくのではないかと予想されますが、その中でこういった会議特化型360度カメラの需要も付随して伸びていくのではないでしょうか。将来的には、360度カメラ搭載型会議用カメラは、リモートワーカーを抱える企業の必需品となるかもしれませんね。そういう動きが加速していくことでビジネスの幅は広がり、多様な働き方も後押しされていくのではないでしょうか。

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