THETAで撮影した宇宙空間の360度静止画・動画の第二弾が登場

筆者:阿久津 碧

リコーが販売している360度カメラ「THETA」は個人向けだけでなく、多くの法人にも採用されています。政府関係機関と連携している例や、大手企業向けのサービスなど、様々な実績を持っている同機種ですが、2019年はJAXA(宇宙航空研究開発機構)との共同開発が記憶に残っています。そしてそんなJAXA×RICOHにまた、新しい動きが見られました。

RICOH THETA SC2のレビューを見る

JAXAとリコー、共に宇宙へ

そもそもの発端は2015年まで遡ります。宇宙でTHETAを使いたいというJAXA側の着想から全てが動き出しました。その後、宇宙空間で使える360度カメラの開発をリコーとJAXAが共同で行い、2019年9月に打ち上げという運びになりました。

当サイトでもそのことについてご紹介していますが、打ち上げはその後無事に成功し、特製のTHETAは宇宙空間へと旅立っていきました。

THETAとJAXAが宇宙で使える全天球カメラを共同開発

上記の記事の中でも説明していますが、宇宙空間で撮影された映像については、JAXAデジタルアーカイブスにて公開されることが決まっていました。宇宙空間で稼働しているTHETAが、どのような映像を捉えているのかはとても興味深いですね。そしてそんなJAXAとリコーの動きに進展がありました。

宇宙空間での撮影データ、第二弾を公開

宇宙で撮影を続けているTHETAですが、その撮影映像が公開されました。実は2019年の10月にも最初の撮影データ公開を行っており、今回は二度目となります。新しく追加されたのは静止画が3枚と動画が1本となっています。

第一弾同様、内容についてはJAXAデジタルアーカイブスにて確認することができます。その他に、リコーが運営しているサイト「THETA LAB」でも同様の映像を視聴することが可能です。

【宇宙からの写真】宇宙初搭載 RICOHとJAXAの共同開発によるTHETA S ISS(国際宇宙ステーション)船外搭載 更新 | RICOH THETA Lab.

THETAによる撮影データに特化している分、「THETA LAB」の方がすぐに見つけられるかもしれません。また、公開された映像については、一部をこちらのページでも掲載しておきます。

国際宇宙ステーション(ISS)で撮影された360°動画 – YouTube

国際宇宙ステーション(ISS)で撮影された360°動画 ~地球一周 前半~ – YouTube

国際宇宙ステーション(ISS)で撮影された360°動画 ~地球一周 後半~ – YouTube

この他に全天球の静止画や長時間露光の静止画なども確認できますが、それぞれが違った地球の表情を映し出しています。撮影データには国際宇宙ステーション(ISS)の一部も写り込んでいますが、そこに書かれている文字もはっきりと読むことができます。これだけの高画質で、しかも全天球画像による撮影データとなると、世界的に見てもあまり類のないものなのではないでしょうか。

国際宇宙ステーションは90分の間に地球を一周するそうですが、第二弾の映像公開では、地球丸ごと一周分のタイムラプス映像が撮影されました。水の青と、それを所々覆う白い雲のコントラストはとても美しいです。

幻想的な景色に、思わずそれが自分たちの住んでいる惑星であることを忘れてしまいそうになりますね。

VRによる映像体験も

宇宙空間で撮影された映像は360度カメラで撮影されているので、当然VRで体験することもできます。単なる静止画として見るだけでなく、VR体験することで、更に高い没入感を味わうことができそうですね。国際宇宙ステーションという、カメラが設置されている場所も魅力です。

まるで宇宙飛行士にでもなったかのようなリアルな視点で地球を体験することができるので、VRゴーグルをお持ちの方は是非試してみてください。

VR体験は「THETA LAB」から簡単に誰でも行えるので、自分なりの楽しみ方を模索するのもいいでしょう。布団の上に寝転びながらVR体験をしたら、プラネタリウムのような感覚を味わえるかもしれません。非日常的な体験を可能にしてくれるのが360度カメラでありVRでありますが、宇宙という題材はその究極系と言えるのではないでしょうか。

無重力アクティビティにも使えるか

宇宙とVRの組み合わせは、単なるVR体験として完結させる以外の選択肢もあります。昨今はインドアスカイダイビングをはじめとした、無重力体験アクティビティなるものもありますが、宇宙空間VRはこのアクティビティと相性抜群です。インドアスカイダイビング施設は日本国内にそれほど多くはありませんが、関東圏内ではじわじわと人気を獲得しています。

今後はそれらの要素にVRなどを組み込むことで、身体的な面だけでなく、視覚的にも楽しむことができるようになるかもしれません。宇宙以外に、実際のスカイダイビング映像などとリンクさせても楽しそうです。

アクティビティを体験する前からゴーグルを付けてもらい、飛行機に乗り込む映像から始めれば、更に没入感も上がるのではないでしょうか。音響などにもこだわったら、もはやVRなのか現実なのかの区別も付かなくなりそうです。

宇宙を学ぶ教材にも

硬派なジャンルでも宇宙空間のVRには活用のチャンスがあります。例えば、宇宙空間のVRをそのまま教材として使用する例です。地理などの授業に導入するのもいいですが、VR地球儀という形で製品化する選択肢もあります。VRではなくARですが、過去には地球儀とテクノロジーを合体させた例が存在しました。

手のひらに地球を。小型AR地球儀「EARTH」

AR地球儀は大人も楽しめる商品となっていましたが、VRで製品化した場合も、やはり老若男女を魅了するアイテムになるのではないかと思います。近い未来、地球儀は回す時代から体験する時代になるかもしれませんね。

将来的には記録特化の360度カメラも出るか

ここまで色々な憶測について触れてきましたが、個人的に最も注目しているのは、宇宙空間の記録や撮影に特化した360度カメラも出てくるのではないかという可能性です。現在JAXAによって公開されている360度映像は、小型衛星光通信実験装置のジンバル部動作確認用のカメラです。

つまりメインの用途は宇宙空間の撮影ではなく、システム監視のためのモニターカメラなのです。しかしモニターカメラとは言え、映像を見ても分かるようにその画質はとても美しいものです。ですが将来的に画質やステッチング技術が向上したり、宇宙空間で撮影できる上位機種の360度カメラを採用したりすれば、今以上の映像が撮影できるということでもあります。

リコーは2019年にTHETAのハイエンドモデル「THETA Z1」を発売したばかりですから、今後様々な実験や改良を重ねていく中で、宇宙空間に対応したZ1が完成するかもしれません。スマートフォンの小さな画面で見ている分には違いに気付きにくいかもしれませんが、VRや大きなモニターで確認すれば、その差は大きく出てくるはずです。

Z1で撮影したリアルな宇宙映像をVR体験できたら、それだけでも一つのコンテンツとして立派に成立するでしょう。実際にそういう計画が進むかは全く未定ですが、THETAの活躍ぶりを考えると、全くあり得ない話とも言えないのではないでしょうか。

いずれにしても、JAXAとリコーによる一連の取り組みは世界的に見ても革新的で、海外にも大きなインパクトを与えたはずです。今後も二つの組織が協力していけば、これまで以上の科学変化が起こりそうですね。

終わりに

私たちが住んでいる地球の様子を俯瞰的に撮影している映像というのは、何だか現実味がない反面、ロマンのようなものを感じます。宇宙空間で使うことのできる360度カメラは、今後地球以外の惑星を撮影するのにも役立ってくれるかもしれません。JAXAによる映像公開は毎度新鮮な驚きを与えてくれますが、次回もどのような更新がされるのか、とても楽しみです。


RICOH THETA SC2のレビューを見る

Like@Wrap
Follow@Wrap

スポンサーリンク