全天球が今アツい!急増する360度カメラのセミナー
人々の仕事やプライベート、両方の場面で活躍の幅が広がっている360度カメラですが、広がっていくニーズに合わせて、関連するセミナーの数も急増しています。「360度カメラを活用したいけれど、どのようなアイディアが有効なのか分からない」、「ビジネスに導入したいけれど、手続きが分からない」そんな方は、取り敢えず360度カメラのセミナーに参加してみてはいかがでしょうか。
個人向けセミナーは写真教室タイプ
360度カメラに関連するセミナーの多くは、法人を対象にしたものです。個人向けのものを開催している例もありますが、その多くは360度カメラの撮り方というテーマに収束しています。
通常のデジカメや一眼レフと比べて、360度カメラは少し不思議な形をしています。これは日本でポピュラーなリコーのTHETAだけでなく、海外製のInsta360やGoProシリーズにも共通して言えることです。形状だけなく、写真写りも当然変わってきます。
平面的な映像ではなく、全方位の空間を切り取れる360度カメラをどのように活用すればいいのか、カメラ初心者の方は悩んでしまいがちです。個人向けセミナーはそういった方々を対象に、フィールドワークなどを通して360度カメラの撮影方法を伝授するといった内容が多くみられる印象です。
いわゆる写真教室形態のセミナーが中心となるわけですが、基本的な撮影方法や編集方法を学びたい方にはニーズが期待できそうですね。初心者を対象にしたセミナーが増えることで、360度カメラに対する認知度や興味も広がっていきそうです。
リコーの法人向けセミナー
一方で法人を対象にしたセミナーの種類は豊富で、それぞれのビジネスに合わせたものを探すことができます。例えば、THETAを手がけているリコー株式会社が主導になって行っているものでは、不動産に関連するものがあります。
360度カメラと不動産業界の相性はとてもよく、当サイトでも不動産と360度カメラに関する記事をいくつかご紹介してきました。
有名な360度カメラの不動産活用方法としては、直接物件を見なくても、360度カメラで撮影したデータをVRヘッドセットで確認するといったものがあります。
このやり方なら、北海道にいながら沖縄の物件を内覧できますし、物件を案内する人員のコストや時間を節約することもできます。顧客側も一日で複数の物件を見ることができるので、双方にとってプラスしかない合理的なシステムと言えるのではないでしょうか。
リコーでは法人を対象に、不動産業に特化したパノラマ活用術や実践ノウハウをセミナー形式で紹介しています。2020年度でも、既に2件(2019年12月現在時点)のセミナーが1月に予定されています。リコーとしてはTHETAの普及も兼ねてこういったセミナーを開催している側面もあると思うのですが、驚くことにこれらのセミナーは無料で実施されています。
法人向けのセミナーは、参加するのに10万円前後必要な例も珍しくないので、これはかなり良心的です。不動産業における360度カメラの活用は今後も確実に加速していくことが予想されるので、導入を検討している企業はこの機会を見逃さないようにしましょう。

セミナー情報はこちらからご覧ください。リコーではこの他にも無料のセミナーを行っています。同社はプレスリリースなどの発表を行っているメディア「PR TIMES」を運営している株式会社PR TIMESと業務提携をしているのですが、両社の担当者が登壇しながら、広報・マーケティング担当者向けのセミナーを2019年9月に開催しました。
参加可能人数は20名で一社1名までとなっていましたが、360度コンテンツを活用したプロモーション戦略についての話をしました。プレスリリースに360度写真を載せられるようになったことで、プレスリリースを一つの形式的な発表に終わらせるのではなく、読んで楽しめる、見ても楽しめるコンテンツへと昇華させました。
しかしどのような360度写真を埋め込めばいいのか、読者は何を求めているのかを瞬時に判断するのは容易ではありません。そこを考えず、闇雲に適当な画像を掲載しても効果は期待できませんし、このセミナーは360度写真を活用したい企業と、360度カメラと関連サービスの販促を行いたいリコーの橋渡しを、円滑に行うことに成功したのではないでしょうか。
Insta360のワークフローセミナー
世界的にも高いシェア占めるInsta360に関連するセミナーも過去にはありました。『Insta360 Pro2 ワークフローセミナー』と名付けられたこのセミナーは昨年の10月に行われています。定員は30名で、こちらも料金は無料となっています。
業務用の360度カメラ「Insta360 Pro2」に関連するセミナーで、当時は同機種が出荷された直後でもありました。当サイトでご紹介したInsta360 Pro2に関連する記事は以下をご覧ください。
セミナーの中では基本的な機能説明と、Adobe Premiere Proを利用した編集方法について紹介しています。業務用の360度カメラを導入しようと検討している方や、今後360度のVR撮影に挑戦したい方を対象に行われたセミナーで、非常に実践的な内容となっています。
残念ながら私は実際に足を運んではいませんが、YouTube上にセミナーの様子を撮影した動画がアップロードされていたので、そちらを視聴しました。
[セミナー]プロ向け360度カメラ「Insta360 Pro 2」ワークフローセミナー – YouTube
動画編集に特化したセミナー
ここまでご紹介したタイプのセミナー以外も、動画編集に特化したタイプのセミナーも存在しました。受講料は税込11万円という設定でしたが、受講時間も5時間と長く、内容もステッチ処理や編集、出力と多岐に渡ります。出来上がった写真も、編集のポイントも普通のカメラとは異なる360度カメラの場合、こういったセミナーには需要が期待できそうです。
そもそも360度カメラの場合は、それ以外のカメラには存在しないステッチングと呼ばれる処理が必要になります。THETAなどの360度カメラは前後に1つずつ、合計2つのレンズを備えています。それぞれのレンズで撮影した別々の広角画像を、後から繋ぎ合わせることで一枚の360度写真や動画の撮影を実現しているのですが、この繋ぎ合わせる作業をステッチング処理と呼びます。
THETA以外の360度カメラもこの方法を採用しており、上位機種になるほど、レンズの数も増えていく傾向にあります。ステッチング処理はカメラ側に行ってもらうこともできますが、細かい修正を行うときや、より自然に繋ぎ合わせるときには手動が確実です。
初めて360度カメラに触れるという人にとっては、ここが最初の鬼門かもしれません。個人利用で観光写真の撮影や記録をしている限りでは、カメラ側のステッチング処理に依存して問題ないですが、法人利用を検討しているのであれば、ここを避けて通ることはできません。
編集に特化しているセミナーでは、こういう細かい技術に関しても教えてもらうことができるので、書籍やネットの情報だけでなく、生身の人間から学びたいという人にはオススメです。
終わりに
一つのアイテムに対して色々なセミナーが開かれている例はこれまでにもありましたが、360度カメラはその中でも特に幅広い気がします。それは360度カメラが秘めている可能性の広さや、ビジネスとの相性の良さが要因なのだと思いますが、今後もどのようなアイディアが出てくるのかとても楽しみです。セミナーの開催は関東と関西が中心ですが、自分でも探してみて、気になるテーマのものがあれば、足を運んでみるのもいいかもしれませんね。
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