360度カメラ×車。スバルも注目する全天球カメラの有用性
360度カメラの技術は車の安全に関連する分野でも用いられています。大手自動車メーカーもその有用性に注目しており、カー用品や関連装備でも360度カメラの名前を目にする機会が少しずつ増えてきています。その中でも日本を代表する自動車メーカー、スバルの例などを見ながら、自動車業界に浸透している360度カメラやVR技術について見ていきます。
360度カメラと車の相性は抜群
360度カメラと言えば、記念写真を撮るなどの、個人の撮影用カメラだと思われる方が多いかもしれませんが、法人利用や、趣味以外の実用分野でも多く用いられています。特に自動車の場合、安全装備関連で360度カメラが活用されているのをよく目にします。
自動車と言っても幅広いですが、我々の生活に身近なところで言えば、ドライブレコーダーが挙げられます。360度カメラを搭載しているドライブレコーダーは一般化しており、量販店でも簡単に購入することができる時代になりました。
価格も通常のものと比べて大きく差があるわけではありませんし、記録能力も高いので人気を集めています。360度カメラを搭載したドライブレコーダーに関する記事は当サイトでもいくつかご紹介しているので、宜しければそちらもご覧ください。
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その他で360度カメラが車に用いられている場面となると、自動運転技術があります。自動運転は遠い未来の話ではなく、すぐそこまで実用化の波が来ています。そしてその実現には、360度カメラの存在が不可欠です。こちらに関しても以前、横浜の相鉄バスの事例について以下の記事で詳しくご紹介しました。
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このように、車と360度カメラの相性は非常に良く、随所で活用されています。そしてその試みは、アプリやVRの世界にも広がりを見せています。アプリやVRと聞くと、どうしても車とは無関係な領域をイメージしてしまいがちですが、そこを逆手に取ったのがスバルです。
スバル×VRの試み
360度カメラなどで撮影された全天球映像は、VRで体験することも可能です。量販店などでは360度カメラとVRヘッドセットが一緒に売られている様子などを目にしますが、両者の結び付きはとても強いのです。スバルはそこに着目しました。
スバルでは『SUBARU VR EXPERIENCE』というアプリをリリースしており、Google play StoreとApp Storeの両方でダウンロードすることができます。このアプリとVRヘッドセットを組み合わせると、スバルの車に乗りながら世界中を走り回っているかのような体験をすることができます。

かなり細部まで作り込んでいるアプリなのですが、無料でダウンロードすることができるので、評価も非常に高いです。スバルが販売している自動車の助手席に座りながらドライブを楽しんでいるような体験をすることができ、車内の様子だけでなく、町のディティールなどもリアルなので、車好きな人以外でも楽しめる内容となっています。

勿論実際に試乗する感覚とは全く異なる体験ではありますが、車に興味を抱くきっかけになったり、スバル車の購入を検討したりしている層に訴求する上では、斬新で効果的なアプローチだと思います。
アプリ以外でもスバルはVRに力を入れており、店頭でVR体験ができる『先進体感試乗』というキャンペーンも行っています。一部店舗で実施しているこのサービスは高い没入感を売りにしており、体験するときには本物の車両に乗り込みながら360度のVR映像を楽しむことができます。
単純に車に乗っているような感覚を味わえるだけでなく、スバルの総合安全システム『アイサイト』を可視化するなどの工夫もなされています。VR体験場ではその中でも、以下の4つの先進安全技術を体験することができます。
・ツーリングアシスト(車線中央維持機能)
車線中央維持機能であるツーリングアシストは、道路の真ん中を走れるように車が自動的に調整してくれます。長時間の運転などで疲れていても、ある程度までは矯正してくれるので安心です。
・ツーリングアシスト(全車速追従機能、渋滞時支援)
速度追従機能であるツーリングアシストは、いかなるスピードでも前方の車両についていくことができます。渋滞時のような疲れやすいシーンでもハンドルをアシストしてくれるので、疲労を軽減してくれます。
・スバルリヤビークルディテクション
ヒヤリハットを防いでくれる機能で、視界が確保しにくい場面でもセンサーが危険を知らせてくれます。
・プリクラッシュブレーキ
追突の危険などがある際に自動でブレーキをかけてくれる安全装置です。アクセル、ブレーキの踏み間違い事故などを防いでくれます。
スバルでは他社同様実際の車両にも試乗することができますが、高速道路での試乗は難しいので、そういった際にはVR体験が役立ちます。また、アイサイトのような安全装置の実演も試乗では体験できませんから、そういった性能面の解説においてもこのサービスが活躍してくれそうですね。
実際の車両に試乗をするのは緊張してしまう人や、アイサイトなどの安全装置について詳しく知りたい人は、『先進体感試乗』を実施している店舗に足を運んでみるのもいいかもしれません。
自動車免許の取得にも役立つか
VRによる自動車運転体験は、免許センターでも活用できるかもしれません。具体的には、現状の免許取得制度には特段問題はないと思うので、VRは特殊な事例を学ぶのに活用するという方法が考えられます。
例えば、煽り運転や危険運転に遭遇したケースのシミュレーションです。ビデオなどでこれらの危険行為に対する対処法を学ぶことができますが、やはり実際目の当たりにするのとでは全く違う効果が得られるはずです。煽り運転に遭遇した場合の対処法や、煽り運転の定義、罰則などについてもリアルに学ぶことができるのではないでしょうか。昨今運転マナーに対する問題が表面化しているからこそ、こういったアプローチの方法は有効かもしれません。
他にも、運転中に災害や事故車両に遭遇した場合の対処法、高速道路上での事故やトラブルなどもVRを通して学ぶことで大きな効果を期待できるのではないでしょうか。私も高速道路上で、自分が乗っている車のタイヤがバーストしたことがありますが、こういった事故は誰にでも起こる可能性があります。
そのときになって慌てるのではなく、事前に事故を体験しておくことで、いざ遭遇しても適切に対処できると思います。免許センターだけでなく、煽り運転に対して警鐘を鳴らすキャンペーンや、実際にそういった行為を行なった犯罪者の更生プログラムとして導入するなどの応用も利きそうですね。
終わりに
自動車業界以外に不動産業などでも、360度カメラやVR技術は大いに活用されていますが、今後も社会の至る所でこれらのテクノロジーを目にする機会が増えていくことが予想されます。当サイトでも、今後も引き続き車や生活に関連する360度カメラ、VR技術をご紹介していきますが、その中には皆さんの生活を直接的に支えてくれるようなテクノロジーも存在するかもしれません。
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