2020年最初の衝撃。目的別にパーツが選べる、Insta360の最新機種が発表

筆者:阿久津 碧

360度カメラで有名なブランドはいくつかありますが、その中でも中国企業が手がけているInsta360は世界的に見てもかなりのシェアを誇っています。そんな人気ブランドから今年、ついに新しい機種が発表されました。お年玉で財布が潤っている人も、親戚にお年玉をあげて財布が寂しい人も、等しく購買欲が刺激されること間違いなしの最新機種の概要を見ていきましょう。

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選べるカメラ『Insta360 ONE R』

「あらゆるシーンに寄り添うアダプティブなアクションカメラ」というコンセプトで開発された『Insta360 ONE R』は、用途に合わせてカメラレンズを選ぶことができます。レンズが決まったら、別ユニットと組み合わせて一つのカメラにするのですが、これだけでも今までにない革新的な発想ですよね。

当然どのようなレンズを選ぶのかによって価格も微妙に異なってくるので、購入前に目的と予算の折り合いを付けながら吟味していく必要があります。選ぶことができるのは主に3種類で、一番安い4K広角モジュールセットの4K版が税込39,600円となっています。

次に安いのが360度カメラと4K広角モジュールの二つがセットになっているモデルで、こちらは税込59,400円です。そして最も高価なモデルは1インチ広角モジュールセットで、税込68,200円です。こうして見てみると、360度カメラのミドルレンジモデルとしては平均的な価格と言えるのではないでしょうか。

大手通販サイトのAmazonやYahoo、ヨドバシ.comなどで取り扱いがあるので、居住地を問わず、日本国内での入手も非常に容易です。モジュール構造のアクションカメラという時点でメカ好きの心をくすぐってくれそうですが、本体は「プロセッサーモジュール」、「レンズモジュール」、「バッテリーベース」の3つから組み上がっています。

汎用性の高い機構なので、今後上記以外のレンズモジュールも登場するかもしれません。或いは、複数のレンズモジュールを取り付けることのできる大型プロセッサーモジュールなども登場するかもしれませんし、可能性がたくさんあるカメラだと感じさせられます。

斬新さと実用性を備えた一台

ONE Rは販売形態や見た目など、これまでの360度カメラと比較して斬新で革新的ですが、見かけ倒しの商品ではありません。画質の面でもこれまでのモデルより向上しており、アクションカメラとしては過去最高の動画を実現したと謳っています。

360度モジュールには、一般的な360度カメラ同様2枚のレンズが搭載されていますが、このレンズではあらゆる角度で5.7Kの撮影を行うことが可能になっています。

また、撮影した動画はタッチスクリーンを介して、リアルタイムでプレビューすることもできます。スマートフォンのアプリなどを経由せず、すぐに完成映像を確認することができるのは嬉しい機能ですね。加えてHDRにも対応しているので、光の少ない環境での撮影でも、安定した映像を記録することができます。

4K広角モジュールも4K/60fps対応で、小型な本体からは想像もできないほど、ハイビジョンな映像や写真を記録してくれます。そして広角モジュールの性能も素晴らしいものとなっています。

アクションカメラという厳しい条件下でありながら、最高クラスの1インチセンサーを搭載し、5.3K動画と19MPの静止画を、暗所でも記録できる仕様となっています。

AIによる優秀な動画編集

Insta360 ONE Rについて記述する上で、忘れずに触れなければいけないのが、AIによる動画編集機能です。動画の中で最も良いとされる部分をAIが判断して、ユーザーにオススメする「オートフレーム」機能や、直感的な操作で被写体をフレームの中央に固定する「Deep追跡」機能などが搭載されています。

他にも被写体が電車や車、建物などの障害物に隠れてしまった場合でもアルゴリズムが記憶し、再出現後に再び追跡するなどの便利機能も備わっている上、暗所での撮影も容易にこなせる「ナイスショットモード」など、とにかくAIによる撮影補助機能が豊富に備わっています。

「360度カメラの操作は難しそう」と感じる方や、特殊な環境下では使えないのではないかと危惧している方でも、自信をもってオススメできる一台となっています。こうして考えてみると、集大成的な機種でありながら、エントリーユーザーにも親しみやすい完成度となっており、全体的にとてもバランスがいいですね。

一眼レフカメラのような使い方が楽しめる

レンズを選んで組み替えられるという機構は、考えてみるとデジタル一眼レフカメラに似ているのではないでしょうか。被写体や環境に合わせて、単焦点レンズや広角レンズ、マクロレンズや望遠レンズを付け替えられるのは一眼レフやミラーレスカメラ独自の楽しみです。わざわざレンズを交換しなくてもスマートフォンに内蔵されているカメラで、ある程度のズームは可能だと思われがちですが、光学ズームとデジタルズームでは、同じズームでも、どうしても画質に差が生まれてしまいます。

新しく発表されたONE Rは現段階ではレンズの種類も限られているので、デジタル一眼レフカメラほど応用が利くわけではありません。しかしそれでも、目的別にレンズを付け替えて、異なる写真や動画を記録する楽しみ方は十分にできそうです。

リコーのTHETAやGoProの全天球カメラでも、こういったモデルの製品はこれまでに登場しておらず、全く新しい試みとなっているわけですが、それに対して市場がどのような反応を示すのかにも注目したいところです。

仮にこれが多くの人に受け入れられ、レンズ付け替え式の360度カメラが主流になったら、ONE Rはそのパイオニアとしての地位を確立することにもなるでしょう。

また、これは360度カメラ業界に限った話ではありません。ONE Rはレンズユニットによってはアクションカメラとしての性能に軸を振ることもできるので、この部分を評価するとアクションカメラ業界に与える影響も大きいのではないでしょうか。GoProが360度カメラ業界に進出したように、今度はInsta360の方がアクションカメラ業界に進出するという構造になっています。

デジタルカメラ、360度カメラ、アクションカメラは本体が小さいことや、同じカメラであることから、年々その境目が消え、ボーダーレスな市場へと変化していっている印象を受けます。電話やパソコン、カメラ、電卓、ゲーム機、音楽プレーヤーなどの機能が一つになったスマートフォンという端末が登場したように、このボーダーレス化は将来的に、デジカメと360度カメラ、アクションカメラが一体化したガジェットが登場することを予見しているのかもしれませんね。

終わりに

アクションカメラ業界と360度カメラ業界の競争は年々激しさを増していますが、お互いがお互いに入り乱れたり、機能を合体させたりしている例は、とても特殊で興味深いものです。今後は他のカメラもこの競争に参入して、360度写真が撮れるデジタル一眼レフカメラや、アクションカメラ的な要素を備えたデジカメなんていう商品も出てくるかもしれません。進化と変化が目覚ましいからこそ、今後も色々な商品が見られるのではないでしょうか。私も一カメラファンとして、その動きに今後も目を向けていきます。

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