日本の入り口を360度カメラで守る。最新型警備ロボットが空港に配備
年も変わり、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが目前に迫ってきたわけですが、楽しみなことだけではありません。多くの訪日外国人が日本に訪れることで治安の悪化などは懸念されますし、テロなどの危険性も増加します。そんな脅威に対抗するべく、日本の玄関口、成田空港では警備ロボットを導入する試みが行われました。
日本の玄関口をロボットで守る
2020年、1月23日、成田国際空港会社(NAA)は、警備用ロボットの導入を成田空港第3ターミナルで行うことを発表しました。導入日は2月4日からなので、既に現場で活躍している姿を見ることができます。
NAAでロボットの導入を行うのはこれが初めてではなく、2019年の6月にも第1、第2ターミナルで自律走行型巡回監視ロボット「X2」を合計4台配備しています。今回はそのときのロボットとは異なる「SQ-2」と呼ばれるシークセンス社製のロボットを投入しています。
これによって成田空港では、全てのターミナルに警備型ロボットが配備されることとなりました。導入された「SQ2」は既に投入していたロボットよりも小回りなどの面で優っており、人の多い空港という環境で、より機敏に動くことができるようになっています。主な役割は立哨警備、巡回警備となっていますが、今後どのような活躍をしてくれるのか、大いに期待したいところですね。
実用的な装備を取り入れたロボット
警備型ロボットと聞いて、私は正直「まだ実用面では課題が多分にあるのでは?」と考えていました。というのも、私も過去にロボットがいる職場で働いた経験があるのですが、どうしても不完全な部分が目についてしまい、結局人の手でやった方が早いという結論に行き着いたことがあるからです。
私が一緒に働いたのはpepper君で、任せていた役割は接客補助でした。そのため今回の「SQ-2」とは根本的な条件が異なるのですが、警備となると接客よりも高度な技術が求められる印象だったので、どうしても懐疑的になってしまったのです。
そこでまずは「SQ-2」の基本性能について調べてみたのですが、特筆するべきはその移動性能です。人の多い空間で、歩行者や職員が障害物となって動けないというのでは話になりませんが「SQ-2」には空間認識3Dセンサーが搭載されています。
これは特許技術なのですが、これによって遠隔、リアルタイムを問わず、スムーズで快適な操作・監視活動を実現しており、離れた場所からでも危険行為や不審人物を見逃さないようになっています。
重量は65キロと、小柄な大人と同じくらいの重さに設計されています。稼働時間は6時間までとなっており、高さも129センチあるので、近くで見ると中々に存在感があります。また、操作面や空間認識面だけでなく、監視カメラとしての能力値も高いのが「SQ-2」の凄いところです。
本体には360度カメラが搭載されており、人の多い場所や開けた場所でも死角を生まずに映像を記録することができます。万一空港で不審人物を取り逃すようなことがあっても、参考映像や証拠映像を記録することができれば犯罪の抑止力にもなるので、そういった部分にも期待したいですね。
このように、「SQ-2」には多彩な機能が備わっており、実用性が求められる警備の現場でも十分に活躍を期待できることが分かりました。流石に不審者を取り調べたり逮捕したりといった領域までは難しいかもしれませんが、警備・監視などの局所的な業務であれば、無人ロボットとは言え、十分に任せることができるのではないでしょうか。
まだまだ実用化から間もないので、実際にどれくらいの効果を発揮するのかはこれからに期待したいところですが、多くの人々が入り乱れる空港に、こういった心強いロボットがいてくれるのは安心材料になりますね。
空港に配備される多様なロボット
本稿では新型警備ロボット「SQ-2」を中心に取り扱いましたが、実はNAAでは他のロボットを導入することも検討しています。この春には多言語情報を扱うサイネージロボット、夏には案内特化型ロボットの導入などが考えられていますが、これによって空の旅をする人々は更に快適に空港での時間を過ごせるのではないでしょうか。
空港内の案内もそうですが、目的地別の案内方法や電車の乗り継ぎ方、時刻表なども表示されると嬉しいですね。日本の、特に関東は列車の路線図が複雑なので、海外から来た訪日外国人はこの部分で最初に躓くのではないかと思います。
そういった、空港の外に出てからの動き方も教えてくれる親切心というのは、日本人の得意とするところなのではないかとも思います。どういったロボットが配備されるのかはまだ分かりませんが、早くも待ち遠しいですね。
360度カメラで監視体制を盤石に
「SQ-2」には360度カメラが搭載されていると前述しましたが、監視カメラとしての360度カメラは本当に優秀です。死角を生まないのもそうですが、VR体験することで、事件が起こった際の様子を体験したり、行動予測をしたりするのにも役立つからです。
設置型の監視カメラでも360度録画型のものが一般に普及していますが、「SQ-2」のような警備ロボットと、360度カメラ搭載監視カメラを組み合わせることで、より一層盤石な警備体制を敷くことができるのではないでしょうか。
東京オリンピックに合わせて街中に監視カメラを増量する話は出ており、そのカメラとして360度タイプのものを採用する話も報道で出ています。空港内もそうですが、今後は街中にも360度カメラタイプの監視カメラが増えていくと思うと、いよいよ街中から死角が消えていきそうです。
それはプライバシーの侵害や監視社会という目線で見れば恐ろしいことなのかもしれませんが、未然に犯罪を防ぐ抑止力という視点で見て見れば、逆に心強いことなのかもしれません。今後はそういったことに対しても賛否両論の意見が聞こえてきそうですが、いずれにしても360度カメラの監視能力は高く評価できるものだと思います。
人々を助ける360度カメラ
オリンピックに合わせて配備される360度カメラ技術は、何も監視面に特化したものばかりではありません。360度カメラで撮影した映像はVR体験することができますから、地方都市に住んでいる人もオリンピックに参加したり、体験したりすることができるようになります。実際そういったコンテンツも少しずつ登場しており、VRや360度カメラは、国民がオリンピックを楽しむキーアイテムとなっています。
報道関係者にとっても360度カメラは重要なツールです。現場の様子をリアルに記録し、ウェブサイトなどにアップロードする上で、360度カメラが発揮する臨場感は相当なものです。オリンピックの決定的瞬間を収めようと、360度カメラを片手に奔走する記者の姿をあちこちで見られるかもしれません。
そういった360度カメラ可能性について、他の記事でもご紹介しているので、宜しければそちらもご覧ください。
オリンピックに360度カメラを搭載したロボットが登場か
終わりに
いよいよ間近に迫ってきた東京オリンピックですが、様々な機関が警備面でも力を入れています。当サイトでもその一部を紹介していますが、やはり随所で360度カメラの活躍を見られるのが興味深いところです。記録用のカメラとしてだけでなく、遠隔操作用カメラや監視カメラとしての可能性も大いに期待されている360度カメラが、今後どのようなシーンで見られるのかも非常に楽しみですね。
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