VRで野球が更に面白くなる。甲子園を体験できる「ライトスタンドVR」
野球観戦の楽しみと言えば、臨場感や迫力、生の空気感といったリアリティだと思います。そのリアリティは実際会場に足を運ばなければ中々体験することができませんが、今の時代は技術でそれを実現することもできます。甲子園歴史館では実際にそういったアクティビティを体験することもできます。同施設で体験できる、VRと360 度カメラの力を使ったサービスをご紹介しつつ、今後のスポーツ観戦とVRの関わりについても考察していきます。VRを取り入れた方法は、スポーツ観戦が趣味の人も、これまではあまり興味がなかった人も、全員が楽しめる観戦の方法かもしれません。
甲子園歴史館でVR体験
兵庫県西宮市にある甲子園歴史館では、VRを取り入れた斬新な体験を行うことができます。そもそも甲子園歴史館ではこれまでにもVRコンテンツの提供を行ってきており、今回でなんと第5弾を迎えるのですが、今回も面白そうな題材とVRを組み合わせてきました。
第2弾の記事はコチラ
昨年の12月10日から今年の3月3日まで甲子園歴史館1階入り口右手付近で体験できる新しいコンテンツでは「ライトスタンドVR」を体験することができます。その名の通り、VRヘッドセットを通してライトスタンドにいるかのような体験ができるコンテンツなわけですが、360度カメラを使って実際の球場を撮影したため、臨場感が本当に凄いのです。
撮影されたのはプロ野球のデーゲームで、体験者は阪神タイガースのファンが埋め尽くすライトスタンド上に降り立つことができます。タイガースファンは当然として、野球にあまり興味がない人でも興奮すること間違いなしです。映像時間は2分38秒となっており、その間は360度、現実とは違う世界に身を置くことができます。
甲子園歴史館ではこれまでにも様々なVR映像を配信してきましたが、過去に配信されたコンテンツは以下の通りになります。
・甲子園空中散歩
・高校野球入場行進VR
・プロ野球リリーフカー体感VR
・プロ野球グラウンド整備カー体感VR
・夏の高校野球第100回記念大会「開会式VR」、「決勝戦VR」
上記のコンテンツもこれまで通り視聴可能なので、今回新しく追加されたライトスタンドVRの他に気になるものがあれば、この機会に体験してみるのも良いのではないでしょうか。リリーフカーや整備カーなど、乗り物に乗っているのを体験できるVRはとても面白そうですね。
現状の設置場所は前述した通り甲子園歴史館1階の入り口右手付近にあるVRコーナーですが、3月3日以降は甲子園歴史館「甲子園広場」コーナーに移動となるので注意が必要です。
移動後の設置期間については明言されていませんが、まだしばらくの間は体験することができそうです。気になる利用料金ですが、 甲子園歴史館の入館料(大人600円、子ども300円)に含まれているので、VR体験自体は無料で行えます。わざわざVRだけ体験するのは気が乗らないかもしれませんが、歴史館を見るついでなどに気軽に楽しむことができるのは魅力ですね。
甲子園ファンはもちろんのこと、兵庫県に旅行へ行った際や、野球観戦のついでに立ち寄ることもできるので、気軽に訪れることができます。近くに住んでいる方は休日に散歩がてら遊びに行くのも楽しそうです。
野球とVRの繋がり
実は甲子園歴史館以外でも、VRを取り入れている野球関連のイベントが過去には存在しています。当サイトでもそのことについて触れていますが、それは福岡ソフトバンクホークスの例です。
野球キャンプ地にVR。100円で楽しめる非日常の3分間
上記の場合はソフトバンクホークスの春季キャンプに、VRコンテンツを持ち込むという、イベントとしては期間限定の形ですが、多くの野球ファンや一般の方から注目を集めました。VRという目新しいアイテムに着目したことでも話題になりましたが、一番驚いたのはその内容です。
野球×VRと聞いたら、どうしても野球に関連しそうなVRコンテンツをイメージしてしまいますが、ソフトバンクホークスが提供したサービスは、何と野球とは全く無関係なテーマでした。「親子でブルペン」、「野球ガールにチョコレートをプレゼント」など、野球に関連するイベントもリアルの空間では行われましたが、VRではジェットコースター体験が行われたのです。
VRはおよそ3分間の動画で、ジェットコースターに乗っているかのようなリアルな体験を100円でできるというものでした。しかも体験中に座る椅子も可動式という徹底ぶりで、映像だけでなく動きにもリアリティを追求しています。
このように、野球関連のイベントであえて野球と無関係なVRコンテンツを配信したのはある意味ギャンブルかもしれませんが、結果的には小さい子どもなどのハートも掴み、VRの導入は成功に繋がりました。
いずれにしても、スポーツ業界とVR・360度カメラはとても相性がよく、随所でこのような活躍が見られています。当サイトで掲載している他の記事でも、その繋がりについて触れたものが多数存在するので、その一部を以下に掲載します。
オリンピック×360度カメラ。迫力のスポーツを全天球で体験しよう
冬がもっと楽しくなる!360度カメラとウィンタースポーツ
上記は一例ですが、その親和性の高さ故にVRスポーツ、ARスポーツといった新しい競技のジャンルも生まれてきています。それらも非常に興味深いジャンルではあるのですが、何と言っても注目したいのが、VRや360度カメラと、スポーツ観戦の相性ではないでしょうか。
VRスポーツ観戦が競技の楽しさを何倍にも
様々なスポーツとVRの相性についてはお分かりいただけたかと思いますが、個人的に一番注目するべき点は、何と言ってもスポーツ観戦の幅が広がることだと思います。
例えば、テレビで行われている生放送のスポーツ番組を自宅で視聴する場合、従来であればカメラマンの映している画面、ディレクターが支持しているカメラアングルでしか見ることができませんでした。野球であれば、投球時はピッチャーの後ろからのアングル、ボールが打たれれば飛んだ方向など、ある程度形式化したアングルをテレビの前で見ることになります。
しかしVRであれば、投球中の守備の様子や観客席の盛り上がり、一塁の様子など、一つの番組の中で、チャンネルを変更するように視点を変更できるかもしれません。こういった技術が実用化されるのはまだ先になるかもしれませんが、一般の家庭に普及したら、スポーツ観戦の楽しみは何倍にも広がるのではないでしょうか。
この点について別の記事では更に詳しく掘り下げ、考察しているので、是非そちらもご覧ください。
新しい観戦方法が誕生?次世代のスポーツ観戦はVRでどう変わるのか
360度カメラやVR、テレビ局の技術的障壁だけでなく、5Gの導入といった通信面の課題も必ずクリアする必要性が出てきますが、いずれの問題も解決不可能というレベルのものではありません。今の段階ではちょっと想像しにくいことかもしれませんが、この記事の中で書いたような観戦の形は、近い未来、必ず実現すると私は考えています。
Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA
終わりに
VRはそれ自体も魅力的なプラットフォームですが、スポーツやゲームなど、別の趣味へ足を踏み入れる際のきっかけとしても大きな力を持っていることが着目すべき点ではないでしょうか。今回ご紹介したような野球やスポーツ観戦というのもその一つですが、これはあらゆる物事に当てはまるとも思います。これからは何かに興味を抱いたら、それに関連するVRコンテンツを体験してみるというのが、当たり前の流れになるかもしれませんね。
スポンサーリンク