パノラマ画像で360度物件閲覧。『バーチャルツアー』がサービス開始
世界的にサービスを提供しているバケーションレンタルサイト「ホームアウェイ」が、自社サイトに360度コンテンツの掲載を開始しました。「バーチャルツアー」と名付けられたこのコンテンツは、物件情報をこれまでよりも正確に把握することができます。不動産業界との相性が抜群の360度コンテンツですが、物件掲載サイトは、今後どんどんホームアウェイのようになっていくかもしれませんね。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000024333.html
世界中の物件を立体的に見られる
不動産情報を360度画像で見ることのできる「バーチャルツアー」は、その名の通り擬似的なツアー体験をもたらしてくれます。2020年2月19日から開始したばかりのサービスですが、既に多くの物件に導入されています。
ホームアウェイ | 民泊予約 : ヴィラ、コテージ、ロッジ、アパート等
現在日本国内では東京、大阪、京都、北海道、沖縄が対象エリアとされており、国内外の顧客を対象にサービス提供が開始されています。日本に住んでいながら、旅行先での宿泊施設を探している人はもちろん、海外からやってくる訪日外国人からも重宝されそうなサービスですね。
ホームアウェイはブッキングサイト、「エクスペディア」のグループですが、今回新規始動したバーチャルツアーも、エクスペディアグループが行う事業の一環として進められてきたそうです。大手予約サイトのノウハウが詰まっているので、物件見学から宿泊予約までの流れもスムーズです。物件検索から内覧、予約まで、オンライン上で全ての手続きが完結することを強みとしています。
オーナー側のメリットも多数
バーチャルツアーは宿泊客にとっても魅力的なサービスですが、オーナーとしてもメリットがあります。ホームアウェイの海外グループサイトでは既に同様のサービスを導入し、様々なデータを集めているのですが、バーチャルツアーを採用していない物件に比べて、導入している物件のコンバージョン率は高くなるという結果が出たそうです。
例えば宿泊を検討している地域に、同じような物件がいくつかあって悩んでいるとしたら、写真しか掲載していない物件よりも、3D体験できる物件の方が安心できますし、得られる情報も多いと思います。そういう顧客心理を鑑みると、この結果は納得ですね。特に海外の大きな物件を見る場合、写真だけだとそれぞれの位置関係や、全体の広さがどうしても浮かんできません。
実際の物件を目にしてから細かいイメージの修正をしていくことになるので、「思ったよりも狭かった(広かった)」、「天井が想像よりも低かった(高かった)」などのギャップが生じやすくなります。それがプラスのギャップであればいいですが、マイナスだったとき、それも長期滞在だったときにはどうしてもテンションが下がってしまいますよね。バーチャルツアーはそんな心配を確実に排除してくれます。
立体的な画像をパソコン画面やスマホ画面で見るだけでなく、VR体験もできるので、まるで事前に現地へと赴き、実際の建物を内覧しているかのような感覚を味わうこともできます。この驚きは対象物件が広ければ広いほど増すので、広大な物件を管理しているオーナーほど、導入した際の恩恵も大きくなりそうです。
ホームアウェイは一室や一区画ではなく、一棟丸ごとの貸し出しに注力しているサイトなので、バーチャルツアーの導入によって高い効果を期待できる物件ばかりです。既に日本での応募期間は過ぎていますが、応募条件として、実施対象地域であることと、50平方メートル以上の敷地を有していること、丸ごと一棟貸しであることが挙げられていました。海外に比べて日本の物件は小型なので、この条件を満たすオーナーはある程度限られてくるかもしれません。
しかし大きな物件を探している訪日外国人からしたら、あらゆる物件が対象になることで、目当ての一軒を探すのが難しくなってしまいますし、このように明確な応募規定があった方がいいのかもしれません。日本に多いワンルームホテルは海外から訪れた人にひんしゅくを買うことも珍しくありませんから、このようなサービスが増えることで、住み分けも進むでしょう。
小さなベッド、スーツケースも開けないほどの床面積、手狭なユニットバスなど、昨今多いビジネスホテルは、我々日本人が訪れても最初は戸惑ってしまいます。特に最近は全部屋同タイプのホテルも増えているので、ルームチェンジをオーダーされても対応できないことも多く、それによるクレームも度々発生しています。全員が一軒家のレンタルをできるわけではないので、この問題が完全になくなることはありませんが、金銭的な余裕のある富裕層外国人は、今後このようなサービスを活用することで、宿泊後のトラブルを回避できるかもしれませんね。
進化するバーチャルサービス
ホームアウェイでは今回発表した「バーチャルツアー」より以前に「バーチャルアシスタント」というサービスも導入しています。こちらはホームアウェイに掲載されている全ての物件を対象に導入されているサービスで、簡単に言ってしまえば、自動回答システムです。宿泊を検討している顧客から寄せられる質問に対して、頻繁に聞かれる事柄については、オーナーの掲載情報を元に自動回答するチャットボットツールで、オーナーの負担軽減を目的に開発されました。
部屋の広さや洗面所の形式(ユニットバスか、独立タイプか)、近くの施設やベッドのサイズなど、物件によって聞かれる質問には傾向があります。それらを毎回手動で返信するとなると、オーナーの負担が大きくなってしまいますし、最終的にコピーアンドペーストで済ませたとしても、完全に作業を自動化できるわけではありません。タイミングが悪く返信が遅れてしまったら、せっかくの顧客を逃してしまうリスクもあるでしょう。
バーチャルアシスタントはそういった小さな、けれど積み重なると面倒な業務を代行してくれる執事のようなサービスです。自動回答できないような、複雑な質問や珍しい質問のみが物件オーナーに流れてくるので、オーナーはそれらの質問回答にだけ注力すればよくなります。
個人によるバーチャルツアー
宿泊ビジネスが激化する中で、全ての物件がバーチャルツアーのようなサービスを導入できるわけではありません。実際今回の例を見れば、敷地面積や地域、掲載可能物件数に制限がありました。そんな中で広告費をかけずに、3Dの物件情報を全世界に公開する方法として、360度カメラによるセルフブランディングが挙げられます。
360度カメラ自体は誰でも簡単に購入できますし、操作も簡単です。自分で物件の撮影を行なって、それをインターネット上に公開することだって、普通にできるのです。もちろん綺麗に撮るためには照明や角度など、それなりの工夫と知識が必要にはなってきますが、勉強すれば誰でも綺麗に撮れます。自作のバーチャルツアーは、お金をあまりかけずに発信ができる、最高の方法かもしれません。
終わりに
今後はオリンピックなどの影響も手伝って、徐々に訪日外国人が増えていくと予想されますが、ホテルではなく一軒家やコテージを選択する訪日外国人も大勢いるでしょう。彼らの宿選びに際してバーチャルツアーは大きな効果を発揮するでしょうし、事前に建物の様子が把握できることによって、実際宿泊する際のトラブルも回避できると思います。宿泊客は理想の宿を見つけられ、オーナーは利益を上げることができる。バーチャルツアーは、旅行をより楽しくしてくれるサービスとして、今後のスタンダードになるかもしれませんね。
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