アストンマーチンに新型が登場。標準装備には360度カメラも
イギリスの高級乗車ブランド、アストンマーチンに新型が登場しました。映画などにも度々登場し、スポーツカーとしても全世界で高い人気を誇っている同車ですが、今尚その進化は続いています。最新型の「ヴァンテージ ロードスター」はオープンタイプのスポーティーな仕上がりですが、その標準装備には360度カメラも搭載されており、見た目だけでなく、機能性にも注目が集まっています。魅力タップリな一台ですが、本稿ではアストンマーチンの歴史や新型車のスペックなどをご紹介していきます。
アストンマーチンの歴史
車に疎い人でも、アストンマーチンの名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか? その歴史はかなり古く、設立は1913年と、100年以上も遡ります。当初から高級思考の車両製造に注力しており、高い品質や美しいデザイン性を常に追い求めていました。妥協を許さず、良い車を純粋に追い求めた代わらない姿勢が、今日のアストンマーチンに受け継がれていますね。
しかし常に順風満帆だったかというとそんなこともなく、長い歴史の中では経営不振や倒産危機など、穏やかでない時期も度々ありました。第二次世界大戦などの危機を経験し、何度も窮地に陥り、不安定な時期が続いたこともあります。それでも今日まで脈々と歴史を紡ぎながら、今も世界中で愛されている同車の製品は、まさにロマンの結晶です。
イギリスの王族であるプリンス・オブ・ウェールズも愛用していることで知られ、それをきっかけにロイヤル・ワラント(王室御用達)の称号も授けられています。バーバリーやジョンロブ、スマイソン、ジェームスロックアンドコーなど、名だたるブランドがこの称号を受けていますが、アストンマーチンもその一つとして名を連ねたことで、名実ともに世界クラスのカーメーカーに仲間入りを果たしました。
更にアストンマーチンは高級車としてだけでなく、モータースポーツ界でも素晴らしい成果を残しており、1959年にはWSC(世界スポーツカー選手権)と世界三大レースの一つ、ル・マン24時間レースで優勝しています。現在もモータースポーツ界の一線で活躍を続け、着実に成績を残しています。来年にはレーシングポイントを買収し、F1にも参入する計画が立っており、今後もその活躍から目を離せません。
アストンマーチンの最新モデル
そんなアストンマーチンに最新モデル、『ヴァンテージ・ロードスター』が加わったことが、先月21日、アストンマーチン・ジャパンによって発表されました。同日には東京と六本木ミッドタウンで世界初の実車披露も行われ、ファンを沸かせました。
同車はヴァンテージのコンバーチブルモデルに当たる車種で、価格は12万6950ポンド(日本円2159万9000円)となっています。地方ならちょっとした家が建ってしまう価格ですが、その走行性やデザイン性、細かな機能などは全て一流です。デザイン面での最大の特徴はオープン化するところだと思いますが、そこにも妥協はありません。ヴァンテージ・ロードスターは世界最速の電動ソフトトップを搭載しており、開閉が非常にスムーズです。
トップのオープン、クローズ、共に7秒以内(オープン6.7秒、クローズ6.8秒)に完了し、走行中でも50kmまでなら操作可能です。急な雨や天候変化でも敏速に対応できるため、国や土地を選ばず快適に乗ることができます。ソフトトップのメリットは何といっても、車体が軽量化して走行性が向上することですが、同車はその部分にも隙がありません。
軽量設計されたソフトトップは小型にまとまっており、関連装備を全て含めても、クーペよりわずか60キロの増量に抑えました。トランク前に小さく畳めることによって、全体的にコンパクトな車体でありながら、荷室も十分に確保しています。パワーユニットも強力で、クーペと共通のものを採用しています。これにより、出力やトルクの面でも優秀な性能を実現し、停車時から100キロまでの加速は3.8秒、最高速度も306km/h(ルーフクローズ時)と、スポーツカーメーカーに相応しい結果を出しています。これだけ力強い走りのできる一台ですから、あらゆるカーマニアを満足させられることは間違いありません。
それ以外にも贅沢が尽くされており、搭載されているディスプレイは8インチと大型で見やすく、オートパーキング機能、ブラインドスポット警告、360度カメラ装備など、通常であればオプション搭載するような機能が標準装備されています。
360度カメラが装備されることで、車の性能は大幅に向上しますが、今回はオートパーキング機能にそれが現れていますね。デザイン、走行性、インテリア、機能。それら全てを兼ね備えたハイパフォーマンスなアストンマーチン。トップをオープンにしながらエンジン音を聞いて広い道を走れたら、さぞ爽快なことでしょう。
007とアストンマーチン
現実のアストンマーチンももちろん魅力的ですが、日本国内ではどちらかというと、公道よりもスクリーンで観ることの方が多い車種だと思います。アストンマーチンの名前を聞いて、あの映画を最初に思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。同車はイギリスの諜報部員が主人公のスパイ映画『007シリーズ』で、主人公のジェームズ・ボンドが愛用している車としてもお馴染みです。
今年の11月20日にはシリーズ最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が全国公開することも決まっており、アストンマーチンによって、『DB5』、『ヴァルハラ』、そしてヴァンテージシリーズから『V8ヴァンテージ』の合計三台が起用されることも発表されました。
往年の名車の再登場から最新車両のお披露目に加え、映画『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディー・マーキュリー役を演じたラミ・マレックがヴィランとして登場するなど、面白くないはずがない条件が揃いきっています。劇場へ足を運ぶ予定のある方は、作中に出てくるアストンマーチンの活躍にも注目すると、より一層楽しめるかもしれません。
誰でもアストンマーチンに乗れるVR試乗
本物のアストンマーチンを購入する余裕はないし、試乗する機会もないという方でも、実はアストンマーチンに試乗したかのような体験をできます。それがVR体験という方法です。アストンマーチンのドライバーとして活躍する桂伸一さんがアストンマーチン『DB11』に乗って走行した360度動画が動画サイトにはアップされており、VRヘッドセットさえ用意すれば、誰でもリアルな感覚でその様子を体験できます。
実際の車両のようにアクセルやブレーキを踏んだり、ハンドルを握ったりできるわけではないので、どうしても違いはありますが、その美しいエンジン音やスピード感は十分に伝わってきます。日本だとスバルが、更にリアルなVR試乗を実施しており、このような取り組みが他のメーカーでも浸透すれば、今後はよりリアルな試乗体験が海外車両でも実現するかもしれませんね。
「360度カメラ×車。スバルも注目する全天球カメラの有用性 – Wrap」
終わりに
小さい頃から007シリーズが大好きで、全作品を視聴しましたが、その中で出てくるアストンマーチンが時代の変化と共に少しずつ姿を変えていくのが非常に刺激的でした。作中では様々なスパイアイテムが登場するのも楽しみの一つですが、時計やボールペンだけでなく、アストンマーチンにもミサイルや機関銃、火炎放射器など、色々な仕掛けが施されていました。そして今、現実のアストンマーチンにも、映画さながらの機能が搭載されています。それらは敵を倒すための武器ではありませんが、ドライバーを危険から守る盾として、これからもファンを楽しませてくれることでしょう。
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